まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『木星の月』愛の難しさを知る一冊

2015-03-18 23:21:54 | カナダの作家
THE MOONS OF JUPITER 
アリス・マンロー

解説によると、この本がアリス・マンローの単行本としては日本初だそうで
去年のノーベル賞受賞を受けて再販されたようです。

実は『善き女の愛』を読む前にこちらを読んでいたのですが
その時はあまりピンときませんでした。

新潮クレストの『イラクサ』『林檎の木の下で』『小説のように』
けっして簡単な小説ではありませんでしたが、この『木星の月』はかなり難しかった。
最初にこれを読んでいたら、アリス・マンローにはハマらなかったかもしれないなぁ…なんて
思っていました。

でも『善き女の愛』読後に再度読んでみたら、著者が貫いてきた
人生や愛や死についての向き合い方が少し理解できた気がして面白く読めました。

12篇の物語がおさめられていますが、いずれからも愛の難しさを感じました。
ただそれは男女が恋に落ちた、別れた、っていう話しだけではなく…

家族の愛、祖先を思う愛、報われない愛、成就した愛、幼い愛、老いたる愛、
壊れそうな愛、忘れたい愛、忘れられない愛、他人の愛、遊びの愛…などなど
いくつかの愛をとりまぜて一編が書かれているのですが
どれも愛という言葉の虚しさがひゅーひゅー吹きまくって風邪ひきそうな話しばかりでした。

12篇すべてが、人として女性として、なにか教訓を与えてくれているのではないかと思えて
印象深かったのですが、それはおいといて、物語として楽しめたいくつかを書いてみますね。

『チャドリーとフレミング 一、繋がり』
私が少女だったある夏、母方の三人の未婚のおばがそろってわが家に泊まりにやって来た。
三人は世界で見てきたことを話し、自然を満喫し、パーティーを開き
チャドリー家の話しをする。
何年も後、そのうちのひとりアリスおばが、私たち夫婦を訪ねて来ることになった。

この話しはけっこう長くて、とてもあらすじが書けたものじゃないのですが
とにかく、幼い頃には都会的で素敵に思えたおばが、自分が成長して見直してみると
夫に会わせるのが恥ずかしい存在に変わっているという思いをとても正直に表現しています。
だけど、やはり血の繋がり、思い出は簡単に覆るものではないのですよね。

『アクシデント』
ハイスクールに音楽を教えに来ているフランシスは、理科の教師テッドと情事を重ねている。
ある日、二人が理科室にいると事務員がドアをたたいてテッドの息子が事故に遭ったと言う。
息子の葬式のために、テッドの妻グレタの一族がやって来る。

情事の最中に息子の事故の報せを受け、その後息子を失うという状況に
浮気をしていた男と浮気相手の心はどんな影響をうけるのでしょうね?
そしてやって来た妻の一族が、二人にどんな状況をっもたらしていくのか…
けっこう興味深い展開でした。

『ミセズ・クロスとミセズ・キッド』
幼稚園の時からの80年来の知り合い、ミセズ・クロスとミセズ・キッドは、お互い家庭を持ち
人生を送ってきた後、今は二人ともヒルトップ・ホームというケア施設で暮らしている。
二人は再び親交をあたためていたが、卒中で口がきけず半身不随になって入居して来た
ジャックという男性にミセズ・クロスが目をとめ、保護者として世話を焼くようになる。

二人だったところへ、一人加わり二人加わり…となるうちに、各々の関係性が変化します。
家族もそうだし友人もそう、どんな関係にも起こることですよね。
そういう人間関係の脆さを、少し残酷に描いている作品だと思います。
老いた二人に平安が訪れますように… と願うしかないラストでした。

本作にはあまり関係ないのですけれど、アリス・マンローを読んでいると
よくワイドショーとかで “ 妻が離婚を決めた瞬間!” みたいなのやってるじゃない?
ああいうふうに、ブチぎれる瞬間があった離婚というのは幸せな離婚に思えるよ。

キレる前にガラガラと崩れていくというか、ずぶずぶと沈んでいく結婚生活を
ただ眺めているしかないというような主人公が多い気がします。

例によって著者の生い立ちや半生などは読んでないのですが、よっぽど酷い目に遭った?と
聞いてみたくなっちゃいますね。
でも写真を見るとそんなこともなさそうなので、 やはり作家だけあって
想像力がものすごく豊かな人だという結論に至る…ってことにしたいと思います。

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2 コメント

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木星 (iina)
2015-07-12 09:13:33
木星の実態は、水素ガスでできているそうです。
ということは、あ゛~ 地表はないということになります。

返信する
こんばんわ (まりっぺ)
2015-07-17 22:48:21
iinaさま、はじめまして
こんばんわ

そうなんですね? はじめて知りました。

この物語の中では、父親が死を前にして手術を受ける前の日に、娘がプラネタリウムで見た巨大な木星と13個(当時)の月について書いてあるくだりがあって、その後病室で父親とそのことを語っています。
娘が父親に、新しい月は2個だったと言っているのですが、木星の月は増え続けているのですか?

宇宙には疎くて… すみません
返信する

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