まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『チャタレイ夫人の恋人』なぜか笑える問題作

2010-06-21 01:01:22 | イギリス・アイルランドの作家
LADY CHATTERLEY'S LOVER 
1928年 D.H.ロレンス

映画にもなったこの物語、階級社会へのアンチテーゼだとか
抑圧された性の解放とか、作者が訴えたいことはたくさんありましょうが
どうも他の部分に目がいってしまいがちです

検閲による削除、店頭からの回収、出版社と作者をめぐる裁判などを経て
1950年以降にやっと全文が読めることになったそうです。
文学として認められたということなんでしょうね?

進歩的な考え方の父のもと自由に育ったコンスタンスという新妻が
戦争によって下半身不随になった夫クリフォードと田舎の領地で暮らすことになります。

準男爵の夫は、領地の炭坑のことより作家として名を成したいという欲望があり
精神生活をネタに議論ばかりを繰り返す友人たちを招待する毎日を過ごしていました。

コンスタンスも最初はそれで良かったのですが、何年もたつとだんだん虚無感に襲われ
夫や友人たちがくだらなく思えてきました。
子どもがほしいという漠然とした望みをいだき、同時に体調も崩していきます。

そんなある日、鳥小屋でばったり会った森番のメラーズの前で涙を見せてしまった彼女は
そのまま彼の言うなりになりました。
最初はちょっとした満足感で関係を持っていたコンスタンスでしたが
絶頂を知り、彼の子を宿したことを感じ、次第に彼から離れられなくなっていきます。

『ボヴァリー夫人』『帰郷』と同じような内容ですかね?
生活が空虚に思えて仕方がないという女性のお話です。

コンスタンスは、何かしでかしてくれそうなタイプの女性に思えたのですが
結局行き着く先が浮気、というのがどうなんだろう?
それしか解決策はないというのかねぇ?
確かに相手は一風変わっていますけど、手近なところですませている気もするし…

どちらかというと、コンスタンスを夫クリフォードから離そうと奮闘する姉ヒルダや
クリフォードの看護婦で彼をうまいこと操るようになるボルトン夫人の方に
強いキャラクターを感じました。

ところで、性描写って過剰に書かれると笑えるのは私だけ?
映画『ナインハーフ』でも話題になりましたが、からだのあんなとこやこんなとこに
いろんなものを塗ったり置いたりってさぁ… どうなの? 素敵なの?
ノーマルなセックスをしっとり描写して頂いた方が、逆に刺激的な気がするんですけどね。

それにしても、途中経過とか達した時の表現って、100年前も変わらないものよのぉ…
コメント
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