WHITE FANG
1906年 ジャック・ロンドン
私は完全にネコ派で、子どもの頃数頭の野犬に追いかけられた経験から
今でも “ 猛犬注意 ” のシールにびびるわけですが、こんな犬なら…と
思わないでもありません。
とはいっても、ホワイト・ファング(白い牙)という名を持つ主人公は
ほぼオオカミなんです、¼だけ犬なのね。
野生に生まれたオオカミが、人間に飼われることによって、
また、飼う人物によってどのように成長していくかを描いた物語で
だったら生まれたところから書きゃいいわけだが…
冒頭、アラスカで犬ぞりを曳く二人の人間を幾晩も追って来るオオカミの群れが登場します。
犬が一匹づつやられ、そして人間も…ものっすごくスリリングです。
否応無しに物語への期待が膨らみます。
その群れの中でひときわ目を引く牝オオカミと、争いに精通した老オオカミの子が
ホワイト・ファングで、未亡人となった母オオカミと自然から様々なことを教わります。
このまま野生動物の厳しい世界を描くのかと思ったら
ホワイト・ファングはひょんなことから母子ともども人間に養われることになります。
一人目はインディアンのグレー・ビーヴァ、公平ではありますが残酷な支配者です。
犬たちにはこん棒で規律を教え、殴打で非を悟らせる、という昔ながらのご主人様です。
二人目はビューティー・スミスという醜い白人です。
残酷な気質を持つ臆病者で、グレー・ビーヴァから授けられたこん棒以上に非情な手段で
ホワイト・ファングを服従させます。
三人目はウィードン・スコットという鉱山技師です。
歪みきってしまい獰猛になったホワイト・ファングを創った人間の罪を償おうとします。
ホワイト・ファングはそれぞれの主人を “ 神 ” と考えて服従はするんだけど
それぞれに抱く感情はまったく違います。
言うことを聞いてるから好かれてると思ったら間違いなのね
グレー・ビーヴァだって酷いじゃないかと思う方がいるかもしれませんが
過酷な大地で食料と安全な寝床を与えられる変わりに服従して労働するという関係は
間違っていない気がします。
しかもアラスカの犬ってオオカミの子孫みたいじゃない?
集団で暮らすためにはそれなりの教育がいるんじゃないか、とも思えます。
そんな長い時間を経て野生動物が人間のパートナーになり
今のワンちゃんと飼い主さんの愛ある関係が形成されたのかもしれないし。
どんな感情を抱いても主人には服従し、忠誠を誓えば主人の財産を守り
命を賭けて救おうとするホワイト・ファングの姿勢は “ 真っ当な犬 ” という印象を与えます。
甘えたりべたべたしないだけに余計ね。
もちろん、愛でるために創造された小ころいワンちゃんは
お洋服を着て癒して下されば、じゅうぶんご主人に報いることができますとも!
主人によってこれだけ変わるか? というホワイト・ファングの内面。
これから何か飼われる方は読んでみられては?
私はいつか『野生の呼び声』を読もうと思っています。
こちら、光文社刊
1906年 ジャック・ロンドン
私は完全にネコ派で、子どもの頃数頭の野犬に追いかけられた経験から
今でも “ 猛犬注意 ” のシールにびびるわけですが、こんな犬なら…と
思わないでもありません。
とはいっても、ホワイト・ファング(白い牙)という名を持つ主人公は
ほぼオオカミなんです、¼だけ犬なのね。
野生に生まれたオオカミが、人間に飼われることによって、
また、飼う人物によってどのように成長していくかを描いた物語で
だったら生まれたところから書きゃいいわけだが…
冒頭、アラスカで犬ぞりを曳く二人の人間を幾晩も追って来るオオカミの群れが登場します。
犬が一匹づつやられ、そして人間も…ものっすごくスリリングです。
否応無しに物語への期待が膨らみます。
その群れの中でひときわ目を引く牝オオカミと、争いに精通した老オオカミの子が
ホワイト・ファングで、未亡人となった母オオカミと自然から様々なことを教わります。
このまま野生動物の厳しい世界を描くのかと思ったら
ホワイト・ファングはひょんなことから母子ともども人間に養われることになります。
一人目はインディアンのグレー・ビーヴァ、公平ではありますが残酷な支配者です。
犬たちにはこん棒で規律を教え、殴打で非を悟らせる、という昔ながらのご主人様です。
二人目はビューティー・スミスという醜い白人です。
残酷な気質を持つ臆病者で、グレー・ビーヴァから授けられたこん棒以上に非情な手段で
ホワイト・ファングを服従させます。
三人目はウィードン・スコットという鉱山技師です。
歪みきってしまい獰猛になったホワイト・ファングを創った人間の罪を償おうとします。
ホワイト・ファングはそれぞれの主人を “ 神 ” と考えて服従はするんだけど
それぞれに抱く感情はまったく違います。
言うことを聞いてるから好かれてると思ったら間違いなのね
グレー・ビーヴァだって酷いじゃないかと思う方がいるかもしれませんが
過酷な大地で食料と安全な寝床を与えられる変わりに服従して労働するという関係は
間違っていない気がします。
しかもアラスカの犬ってオオカミの子孫みたいじゃない?
集団で暮らすためにはそれなりの教育がいるんじゃないか、とも思えます。
そんな長い時間を経て野生動物が人間のパートナーになり
今のワンちゃんと飼い主さんの愛ある関係が形成されたのかもしれないし。
どんな感情を抱いても主人には服従し、忠誠を誓えば主人の財産を守り
命を賭けて救おうとするホワイト・ファングの姿勢は “ 真っ当な犬 ” という印象を与えます。
甘えたりべたべたしないだけに余計ね。
もちろん、愛でるために創造された小ころいワンちゃんは
お洋服を着て癒して下されば、じゅうぶんご主人に報いることができますとも!
主人によってこれだけ変わるか? というホワイト・ファングの内面。
これから何か飼われる方は読んでみられては?
私はいつか『野生の呼び声』を読もうと思っています。
白い牙 光文社 このアイテムの詳細を見る |
こちら、光文社刊