まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

スペイン王アルフォンソ12世妃 マリア・クリスティネ

2009-05-29 00:34:22 | スペイン王妃・王女
前妻の影を乗り越えて・・・
アルフォンソ12世妃 マリア・クリスティネ・デ・アウストリア


1858~1929/在位 1879~1885

アルフォンソ12世はメルセデスの死後、一時は死に直面するほど打ちのめされたのですが
なんとか持ち直したということで、首相は「そろそろ新しい妃を…」と言いだしました。

首相が推したのはメルセデスの8歳年上の姉マリア・クリスティネで
なんでもメルセデスに酷似しているところが多いということでした。
そこで彼女との婚約が調ったのですが
なんてこと 彼女も婚約中に結核で亡くなってしまいました。

そんなわけで、傷心のアルフォンソ12世は遠縁のマリア・クリスティネとの縁談が
持ち上がった時には「もうどうでもいいよ」という感じでそっけなく承諾したそうです。
ふたりはアルフォンソの亡命中にウィーンで出会っていたかもしれませんが不明です。

      
アルフォンソ12世は母親イサベル2世と違って人望もあつく、難しい時期にあった国政も
上手く舵をとった名君でしたが、27歳で、やはり結核で亡くなってしまいました。
遺されたのは王女ふたりとマリア・クリスティネのお腹の中にいた子だけでした。

王位の継承は保留になって、マリア・クリスティネが摂政につきました。
生まれる子が王子なら王になり、王女ならば長女のマリア・メルセデスが女王につきます。
(しかし長女に前妻の名をつけられちゃうあたり、ムッとしたりしなかったのかしら?
 貴族の世界はけっこう忍耐がいりますね)
半年後王子が生まれてアルフォンソ13世として即位し、マリア・クリスティネも
引き続き摂政として表舞台に留まりました。

これといってエピソードがないところを見ると、若くして未亡人になった王妃にありがちな
寵臣との色恋沙汰や権力の濫用みたいなことはなかったのかもしれないですね。

1902年に摂政を退きましたが、息子アルフォンソ13世はちょっと頼りない王だったらしく
ヤキモキしたんじゃないかしら?
1929年に71歳で亡くなり、アルフォンソ12世の眠る王家の墓所に葬られました。
2年後の息子の退位や共和制への転換を見ずにすんで幸せだったかもしれません。

(参考文献 Wikipedia英語版)
コメント (6)
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『バベットの晩餐会』セピアカラーが似合う

2009-05-29 00:34:05 | その他の国の作家
BABETTE'S FEAST 
イサク・ディネーセン(カレン・ブリクセン)

アカデミー賞とったってことですが、どんなふうに映画化したんだろうか?
かなり地味目な仕上がりになりそうな気がするんですけど…
モノクロームというかセピアカラーの映像が目に浮かぶ…今度観てみましょう。

『アフリカの日々』は持っているのですが覚えてないんです。
ヘミングウェイの『移動祝祭日』でディネーセンのことを読んだら気になったので
とりあえずこちらを手に取ってみました。
表題の他1篇が収められています。

『バベットの晩餐会(Babette's Feast)/1958年』
ノルウェーの小さな町の山麓にマチーヌとフィリッパという老姉妹が暮らしています。
ふたりは厳格な宗教指導者である父の教えに遵って世俗の快楽に背を向けてきました。
姉妹のもとで長年勤めてきたバベットはフランスからの亡命者でしたが
ある日宝くじで1万フランという大金を手にします。
バベットの願いを聞き入れた姉妹は、亡き父の生誕百年祝いの料理を
彼女に任せることにしましたが、キッチンに海亀などが運ばれて来たので
たいそう不安になり、バベットが魔女ではないかと思い始めます。

読む前には『美味しんぼ』みたいに料理の説明が多いのかと思いましたが違いました。
あらすじをさらっと書いちゃったけど、本当はすごく情感豊かな物語です。
料理は芸術なのか些末な家事にすぎないのか? バベットと姉妹の対比が興味深いですね。
言わんとすることは “ 贅沢と浪費は違うのだ ” ということになりますでしょうか?

『エーレンガード(Ehrengard)/1963年』
120年前にドイツのある公国でおこった出来事を老貴婦人が語ります。
孫が早く生まれてしまうことを取り繕うとした大公妃は、息子と気が合う画家のカゾッテに
相談をもちかけ、太子妃を人里離れた城に匿い出産をさせることにしました。
子供が無事生まれた後は3ヶ月間、誰の目にも触れさせないようにしなければなりません。
カゾッテは妃の侍女に将軍の娘エーレンガードを推薦しました。
閉ざされた城で過ごすうち、カゾッテは指一本触れずに
エーレンガードを誘惑したいと思うようになりました。

早いはなし、公子が結婚まで待ちきれなかったもんで、子供が早く生まれちゃう!という
醜聞をどうくい止めようかということから始まる物語なんですけどね。
語り手は物語を3つに分けて聞かせているんだけれども、読み手にしてみたら
なんだか物語のテーマが徐々にずれていってるような気がしないでもない…
カゾッテとエーレンガードの関係が骨子だということは分かりますが
他に目を奪われる要素が多すぎると思うのよね、短篇にしては。
恋愛小説としてもお家騒動を題材にした小説にしても物足りない気がします。
舞台やキャスティングはいい感じなんだけどなぁ…

落ち着いた文体でとても好感が持てる文章だと思いました。
沸き上がるものはありませんけど心穏やかに読めたと思います。

バベットの晩餐会 筑摩書房


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