トマス・ハーディ
暗いわけ・・・
ハーディはことさら倫理観や宗教観が強い気がします。
田舎が大好きだった彼だけに、もちろん大都会の酒池肉林は気にくわなかったとは思うけど
今読むと、ちょっとお堅い感じがしすぎますよね。
まあ少しは貞操観念を持つっていうのも、必要かもしれませんけどね
『気休めに(For Conscience' Sake)』
老境にさしかかったミルボーンは、過去に裏切った女に償いをしようと
いやがる彼女を説き伏せてなんとか結婚にこぎつけます。
彼が捨てた時、彼女のお腹には子供がいたのですが
成人した娘は大事な縁談を控えていました。
自己満足だけで良いことをしようって思われても困るのよね
ってことは、多々あります。
マンションにもさぁ、親切すぎる奥さんがいてね・・・まぁいいけど。
『妻ゆえに(To Please His Wife)/1891年』
嫉妬のために友人エミリィからジョリフを奪って結婚したジョアナですが
数年後、エミリィが裕福な商人と結婚したことから、自分のみじめな生活を恨みます。
妻の気持ちを察したジョリフは、息子たちを連れて航海に出ます。
同窓会で、やけに羽振りが良くなった人とか
別人みたいに綺麗になってる人とか、女なら嫉妬しますよね、少しはね。
悪気はないんでしょうが・・・
『アリシアの日記(Aricia's Diary)』
パリで妹キャロラインが恋に落ちて婚約した相手、シャルルは
訪ねて来た時から、キャロラインの姉アリシアを愛してしまいます。
二人の想いの行方を、アリシアが日記に書き記します。
これはね、嫌いなんです
アリシアいわく、「相手が勝手に・・・困るわ」って感じで自分をすごくいい人にしていて
ナニゲに妹の悪口書いてるし。
うちは姉弟だから分からないけど姉妹が同じ人を取り合ったりしたら、凄い地獄絵巻かもね。
暗いけど嫌いじゃないかも・・・
ただ暗いだけじゃなくて、ちょっぴりの皮肉と哀しいユーモアがミックスされてます。
読書で気分を明るくしようと思う時にはNGです。
ちょこっと暗い気分になりたい時にいいかも・・・です。
ハーディ短篇集 岩波書店 このアイテムの詳細を見る |