昨日に続き、パステルショートストーリー新作のご紹介です。
次良丸忍さんの『ぼくらの種』の表紙が幻想的なので、ファンタジーなのかと思いきや、リアリズムの短編集でした。
プロローグをご紹介させてください。
だれもが心に種をいくつも持っている。
かたい種、やわらかい種、
つるりとした種、とげとげした種
ふくらんだ種、しぼんだ種
やがてからを破って、みずみずしい目があらわれる
でも、すべての種が芽吹くわけではない
ぞくっとしました。
そして、「たかが五百円の……」、はなんと、クラスメートの成績に500円をかけるという、私には絶対書けない物語でした。すごいです。
他のパステルショートストーリーに比べると、割と長めな物語の集まりです。
どの作品も、しっかりと主人公の心情を描いていて、短編のお手本として読むのもありなのでは? と感じました。デビューを目指している方、このごろよく耳にするのは、「プロットの書き方を学びたい」ということ。でも私は一番大事なのは、登場人物の心の動き、他者との関わりを描くことなのではと思うのですよ(自戒も含めて)。まあ、講座などでノウハウを伝えられるようなことでもないので,
ぜひ、こういう作品を読んでいただきたい。不思議なことなど起こらない、リアリズム・・物語の基本です。
さて、シリーズ揃えるとこんな感じになります。
『友だちの木』もどうぞよろしくお願いいたします。