masumiノート

何を書こうかな?
何でも書こう!

請負人 越後屋 №11

2010年05月05日 | 作り話
「ただいま」

ドアを開けると明子が飛んで来て、出迎えてくれる。

「おかえり」と、首に腕を廻して頬を首筋に押し当てる。

一緒に暮らし始めてから、この歳になっても変わらない習慣だ。

夕飯の準備をしているときでも、テレビを見ているときでも、
私が帰宅すると、何をおいても飛んで迎えに来てくれる。

しかし一度だけ出迎えてくれなかった事があった。

結婚して3年目、「私が浮気している」・・という、明子の勘違いで。

子連れの再婚という事で、それまでは私に遠慮しているような所がありそれが歯痒かったのだが、あの時、素直に感情をぶつけてきてくれた事が嬉しくて、目に涙を溜めて怒っている明子を見て私がニヤニヤ笑うものだから益々顔を真っ赤にして・・・

そんな明子が愛しくて、私は思わず明子を抱き上げ
「明子、お前は最高だ!最高に愛しているよ!」と叫んだのだ。

・・・

思い出し笑いをしている私を見て
「なぁに?今日のお出掛けで何かいい事があったの?」

途端に現実に引き戻されてしまった。

三沢との事を思い出し、「いいや」とムニュムニュと答える。

「お腹空いてるでしょ?すぐに焼くわね、お好み焼き♪」



思わずゲップが出た石崎であった。


つづく



※この物語はmasumiさんの被害妄想に基づくフィクションです(^^;
実在の人物及び団体とは一切関係ございません。

尚、加筆修正及びキャラの変更等もあるやも知れませぬことをお断り申しておきまする(^^;



GW 最終日

2010年05月05日 | ガソリンスタンド
GWも今日でお終いですね。

皆様は楽しく過ごされましたか?
農家の方にとってGWは田んぼウィークですね(汗)
どちら様もお疲れ様でしたm(_ _)m

当店では前半は燃料油が良く出ました(^^)
中盤は洗車と混合油で忙しかったです。

最終日の今日は・・・ぽろんぽろんで、楽をさせて頂いてま~す(^^;


さて、全く反響の無い「請負人 越後屋」でございますが、masumiさんはへこたれずに書き続けますともp(T-T)q

でもって、作り話とは言え、業界の「失われた10年」と「現状」を消費者の皆様に知って頂くことが目的でございますゆえ、現実の業界新聞からも関連記事を紹介させて頂きまーす(^^)v

5月6日 燃料油脂新聞より

「社説」より抜粋

(1)
元売系列のSS在籍数(本誌調べ)は3月末現在前年比1492ヶ所減少し、30339ヶ所になった。
千ヶ所を越す減少は1997年度から13年連続である。

セルフは増加し、6906ヶ所と、一年間で341ヶ所も増えた。
セルフ比率は22.6%と前年を上回った。

(2)
規制緩和でSS間競争が強まったことで運営力や競争力に拍車がかかったともいえよう。
一方で公平なルールの確立もないまま、なし崩し的な競争原理が導入されて販売業者に適者生存を強いたことは否めない。
だが、現実は、低コスト・量販型のセルフ台頭などで運営の効率化・合理化が強く求められているのも事実。
経営も自己責任を貫く以外にないと思える。

(3)
SS減少は競争の結果とはいえ、元売所有の年間減少数は477ヶ所と特約店所有の減少に比べて少ない。
元売は小規模業者に撤退を求めるならば、自ら不採算SSをまず廃止し率先模範の姿勢を示すべきだろう。
社有の中には赤字SSも少なくない。廃止を長引かせれば販社の財務体質はそれだけ悪化する。
数量維持で運営の肩代わり先確保に奔走する場合ではあるまい。
社有の不採算SSこそ廃止を急ぐべきだと主張する。


中国版より

元売子会社が平気で安値合戦

「量から質への転換」を唱えた元売だが、また元の「量販志向に戻っている」との声がある。
これは元売子会社の攻勢をみても明らか。

今では多くの市況混乱には
「必ず元売会社が絡んでいる」との厳しい声もある。

今でも元売は公の場では「質への転換」を訴えてはいるが、その前提には「販売量確保」がある。

周辺に安値が出て、減販になると元売から「価格追随を勧められる」というのはその好例。

何より販売量の減少にうるさく、油外収益は落ち込もうと伸びようと「それほど関心はない」ようだが、ガソリン減販には「敏感に反応」

活発な、フルSSのセルフへの切り替えを勧める動きもそのひとつ。

こうした元売の姿勢に苛立つ業者もいる。
それはこうした「元売の量販志向」による同系列業者無視の姿勢に対して。
その典型が、同系列SSの近くで「平気で安値合戦を仕掛ける」子会社の動向。

地場業者の不満は臨界点に達している。



雪だるま式の赤字で閉鎖も現実問題化

「今のままでは赤字が増える一方」と閉鎖を視野に入れた考えを示す民族系業者

マージンの圧縮、需要減少、セルフSS増による販売量減少に歯止めがかからず「思い切る(閉鎖)ことも必要かもしれない」

創業から30年、「系列一筋」で地道な経営をしてきたが、相談した元売の反応は「あっさりしたものだった」

掛け客からセルフの安値を引き合いに出されて対応を余儀なくされている。
無視すれば顧客の流出は避けられない。
利益も販売量も増える要素がなく、セルフへの改造やタンク問題をクリアする余力はまったく残っていない。

こうした窮地に陥っている系列業者の相談に対して、「はい、そうですか」では、寂しすぎる。

・・・・・

「子会社でも何でも安けりゃイイじゃん」という、あなた様

市内にひとつしかGSが無くなったら不便だと思いますよ・・・しかもセルフしか無いんでっせ
それに、競合相手が居なくなったら、売り値は・・・「売り手の思いのまま」でっせ(汗)

食物連鎖を見てみなされ
プランクトンや小魚がいるからアジやイワシも生きられる。
そしてシャチやくじらも生きられるんでっせ。

わてら、プランクトンがおらへんようになったら、結構、弊害出る、思いまんねんけどなぁ・・・

(by 誰やねん)

(^^;
これらの事を踏まえて、「請負人 越後屋」をお読み頂けますと、作り話とはいえ、真実味が出るのでござりまするよ(^^)v



請負人 越後屋 №10

2010年05月05日 | 作り話
コンコン

窓をノックする音で目が覚めた。

目を上げると、キラキラダイヤ石油の制服を着た若者が息を弾ませながら座席を覗き込んでいる。

どうやら信号で停車していたこの車まで、100mほど後方のGSから追いかけて来たようだ。

運転手が私の左側のパワーウィンドウを開ける。
と同時に信号が青になった。
「脇に移動させるからちょっと離れてくれないか」
咄嗟に声を掛ける。

ちょうど横に農道があったのでそこへ車を停めさせた。

「あれ?朝の車かと思ったんだけど・・・違うかな?」とぶつぶつ言いながら
「あのぅ・・朝、トイレ借りに来た車じゃないですか?」

ああ、今朝中藤常務がトイレを借りたGSの子か・・・
「そうだよ」

「えっと?あの・・・眼鏡の人は?」

「ああ、彼は違う車で帰ったからね。どうしたんだい?」

「あの、コレ」とシガレットケースを見せる。
「忘れてたんスけど」

「そうなんだ。ありがとう。じゃあ僕から返しておくよ」と、受け取りながら
「よく車が分かったね」

「だって、これハイブリッドのプリウスでしょ。」
「珍しいから通ったら分かるから、もし又店の前を通ったら返してあげるようにって言われてたんで」

「そうか、気にしてくれていたんだね」
「ところで君はあそこの息子さんかい?」

「いえ、アルバイトです」

「学生さん?」

「はい、定時制です」
「てか、ちょっと文句言わしてもらっていいっスか?」

「何だい?」

「朝の眼鏡の人、トイレが長かったから『大丈夫すか?』って聞いてあげたのに無視だしぃ、燃料も入れないのにトイレの礼も言わないしぃ・・・トイレもスンゴイ汚してたんスよお」

「そうなのかい、それは済まなかったね」

「おじさんに言っても仕方ないんすけどね」
言ったことを後悔しているように頭を掻きながら
「スミマセン」と言う。

「いや、いや、悪いのはこっちだよ。本当に失礼なことをした。」

GSの方に目をやると、夫婦だろうか?初老の男女がこちらを覗っている。

「あ、俺もう帰ります。じゃあそれお願いしますね」

「わかった。本当にありがとう。お店の人にもよろしく言っておいてください」

ぴょこんと頭を下げて、若者は走って帰って行った。

やれやれ・・・中藤常務は店のことを貶していたが、親切な店じゃないか。
機会があればさっきの店へ顔を出してみよう・・・

そんな事を考えながら石崎はまた帰路についた。


つづく


※この物語はmasumiさんの被害妄想に基づくフィクションです(^^;
実在の人物及び団体とは一切関係ございません。

尚、加筆修正及びキャラの変更等もあるやも知れませぬことをお断り申しておきまする(^^;

請負人 越後屋 №9

2010年05月05日 | 作り話
三沢は、海岸沿いにあるカフェのテラスでメロンソーダを飲みながら物思いに耽っていた。

何故、あんなにペラペラと自分の生い立ちを話してしまったのか?

確かにあの石崎という男は、これまでに仕事で組まされて来た人間とはタイプが違う。

誠実そうな人の良さが感じられた。

だけど、だからって初対面の相手にあそこまで話す必要なんてないじゃない?!

しかも、これからやろうとしている事は、情や情けなんか、邪魔になるのに!

・・・なのに何故?

だけど、ひとつ話していないことがある。
母が何人もの男と関係を持っていたにも関わらず、祖父は嫁である母を責めなかった。
むしろ腫れ物に触るかのような気の使いようだった。

そして、私を見て目を細めながら
「お前は間違いなく三沢家の血を引く者じゃ」と言ったのだ。

三沢は、話してしまった事を後悔する気持ちと、話を聞いてもらえた事を喜んでいる自分・・・そんな感情を持て余していた。

つづく


※この物語はmasumiさんの被害妄想に基づくフィクションです(^^;
実在の人物及び団体とは一切関係ございません。

尚、加筆修正及びキャラの変更等もあるやも知れませぬことをお断り申しておきまする(^^;


請負人 越後屋 №8

2010年05月05日 | 作り話
ひとりで話すだけ話して、行ってしまった三沢を見送ってから、石崎は駐車場へ引き返した。
こうして施設を眺めてみると、どうやらさっきの部屋はこの駐車場の地下になるようだ。

駐車場には、やはりマイナーチェンジしたばかりのトヨタのプリウスが停まっていた。
近づくと運転手が降りてきてドアを開けてくれた。

「石崎様ですね?」
朝の運転手とは違う人物だ。
「ええ」

「行き先は茅ヶ崎のご自宅で宜しかったでしょうか?」
「はい、宜しくお願いします。」
そこまで手配してあったのか、と感心しながら後部座席に乗り込む。

エンジン音の無いままに車は滑り出した。


それにしても、
あの三沢という人物のことを、どう解釈すれば良いのか?
両性具有については幼い頃に母の里で通った銭湯で何度か出会った経験があるのでそれほど驚きはしない。

敵か味方か・・・

少なくとも、中藤常務に対してはあまり良い感情は持っていないようだ。
子供の話になったとき、突然大声を出して話を遮ったのは、私を庇うつもりだったのか?

それにミスターXとは何者なのか?越後屋との関係は?

越後屋といえば元々は確かコンサルティング会社だったと思うが、人材派遣業を皮切りに様々なジャンルの職種をフランチャイズ形式で展開している急成長の企業だが、実態はよく分かっていない。

特約店を統合整理する話は、以前聞いたことがあるが、それも越後屋が請け負っていると三沢は言っていた。

元売の数社はミスターXのモノだとも・・・
そんなことが有り得るのだろうか?!

石崎には信じられない話であった。

つづく



※この物語はmasumiさんの被害妄想に基づくフィクションです(^^;
実在の人物及び団体とは一切関係ございません。

尚、加筆修正及びキャラの変更等もあるやも知れませぬことをお断り申しておきまする(^^;