日々、心のつぶやき☆

映画やフィギュアや好きな事を勝手につづっています。最近、弱気なのでダニエウ・アウヴェスのようなタフさが欲しいです。

「君が生きた証」

2016-04-10 14:48:48 | 映画・DVD・音楽・TV・本など





ずっと気になっていた作品「君が生きた証」をWOWOWで観ました。

原題は「RUDDERLESS」・・・舵のない船というような意味。
2014年製作のアメリカ映画。
監督は「ファーゴ」などでお馴染みの役者、ウィリアム・H・メイシー。
初監督作品なんですが、なかなか良い映画でした。

おもな内容は・・・

銃乱射事件で息子がこの世を去りすさんだ生活を送るサム(ビリー・クラダップ)は、別れた妻から息子が遺した自作曲のデモCDを渡される。
その曲を聴き息子のことを何も知らなかったことに気付いたサムは、遺品のギターを手に息子の曲を場末のライブバーで演奏する。
その演奏に魅了された青年のクエンティン(アントン・イェルチン)はサムを説得し、年の離れた2人でバンドを結成するが……。

                                    シネマ・トゥデイより抜粋

公開から時間が経っているのでネタばれになっています。



途中まで観ていて、最初は自分で想像していた通りの展開でした。
亡くなった息子の登場シーンはとても短く、その後に哀しみに暮れる父親サムについての描写にも小さな違和感があったのも事実。

中盤でバンド仲間と別れたあと、観客に明かされた本当の真実。
「あぁ、そうだったのか・・・」とすべてが納得できるストーリーでした。

被害者の家族の苦悩はほとんど出てこなくて、ただ淡々と物語は進んでいきます。
実際は銃乱射事件を起こし、多分その後自殺したと思われる息子が加害者だったという残酷な真実。
彼が何に苦悩していて、自分の心を吐き出すかのように曲を作っていたのかはわかりません。
理由はわからないけれど、6人もの大学生が無慈悲にも殺されてしまった。

いつも犯罪が起こると、人々は被害者に対して心を寄せる事が多く、加害者に対しては怒り、憎しみがつのるのが普通だと思います。
そして加害者側の人間には多くの苦悩や辛い仕打ちが生きている限り続くのも伝えられます。
罪を憎んで人を憎まず・・・なんてなかなかできないこと。
犯罪被害者(およびその家族)の苦しみは加害者側(およびその家族)の苦しみよりもずっとずっと重いはずだから。
そんな事を考えながら後半のストーリーを観ました。

後半に父サムが大学構内にある慰霊碑の前で号泣します。
やっとやっと事件に向き合えたのでしょうか。
息子ジョシュを失った悲しみ以上に、大切にしていたお子さんを失った方々がたくさんいるという現実に向き合えたのかもしれない。


音楽がとても良かったです。
気取ることなくストレートにぶつける歌詞や曲。
実際にバンド活動をしているドラマーやベーシスト。
サムに最初声をかけた青年クエンティンも声が良いし、うまかった。

このクエンティンを演じるアントン・イェルツィンの出演作はたくさん観ているけど
いつも「犬」のように雰囲気・・・悪い意味ではなく(笑)
サムがクエンティンにアドバイスする「やめたら負け」という言葉。
未来のある若者にしっかり届いたでしょうか。


・・・という訳で、被害者の父だと思っていたら加害者の父だったという真実。
それを知ったあとでは確かに作品に対する感想が複雑になってきます。
だから、もう一度最初から観てみました。
それゆえに理解ができる言葉の数々、そして曲の歌詞の意味もさらに深く染み入る感じでした。

バンド仲間から離れ一人でバーで歌うサム。
「My son」・・・「My son」・・・「My son」・・・
その後のシーンも撮影したそうですが、あえてこの歌うシーンでTHE END。


とっても複雑な心境になった映画でした。
でもそのアプローチの意味がとても大きいし、全体の音楽が本当に最高だったのも事実。
中でも「HOME」と「REAL FRIENDS」 ラストの「SING ALONE」が好き。
心に響く作品でした。

今回の評価は・・・   星4つ   ☆☆☆☆

ウィリアム・H・メイシー監督は素晴らしい。


   

   

   

   

   

   

   

後記

2016年6月19日にアントン・イェルツィン君は事故で亡くなりました。
それも自宅車庫のそばで自分の車に挟まれるという不運・・・
この速報を知った時はすごくショックでした。
彼の映画はたくさん観ているし、声や演技が好きだったのです。

好きな俳優が次々と亡くなってしまうのはただただ哀しい・・・
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