WOWOWにてハリソン・フォード主演の「正義のゆくえ I.C.E 特別捜査官」を観ました。
原題は「CROSSING OVER」・・・こっちの方が良いな。
2009年製作のアメリカ映画。
アメリカの抱える移民問題を描いた社会派ドラマですが、ウェイン・クラマー監督自身も南アフリカ出身の移民だそうです。
おもなあらすじは・・・
多様な人種、様々な背景を抱えた移民の集まるロサンゼルス。
その移民局に勤めるベテラン捜査官マックス(ハリソン・フォード)は、おもに不法就労者の摘発を任務としている。
時として彼は、不法就労者に同情的な感情を持ち、自分の気持ちに苦しんでしまう事も。
多くの人々が「グリーンカード」を得るために様々な方法を見つけようとする姿を群像劇のように描いているドラマです。
ちょっとお年を召したハリソン・フォード。
でも相変わらず何の職業でも「誠実さ」は変わらない。
この作品では多くの人のドラマをオムニバス的に描いているので捜査官マックスばかり目立つ訳ではないです。
私は特にマックスの相棒であるハミード(クリフ・カーティス)の話や、バングラディッシュ出身の少女タズマリのエピソードの印象が強かったです。
自由を求めてアメリカに来た人達が、あの「911」のテロから全てが変わってしまったようで、アメリカの独自のやり方で移民を排除しようとする強い動きを感じました。
それでも移民の子どもがアメリカで生まれればその時から「アメリカ国民」という太鼓判つき。
そんな事情から家族がバラバラになってしまう苦悩も新たに生まれるのですね。
捜査官マックスはメキシコからの不法就労者の女性ミレアのために奔走するのだけど、ミレアの最期はあまりにも悲しい結末でした。
マックスの苦悩する顔は捜査官としてよりも人間としての感情なのでしょう。
国を守るために任務を遂行するべきか、それとも人を守るために寄り添うのか・・・
それからレイ・リオッタが期待を裏切らない怪しい(?)男ぶりでした。
この人いつからこんな役が似合うようになったんだろう?
(レクターに脳みそを食べられてからかも。)
今回も女性の弱みにつけ込んで、イヤな役だったな~
肌の荒れ具合も彼のこだわりに感じてしまうほど、レイ・リオッタは負の存在感たっぷりでした。
自由の国アメリカと言われたのはもう昔の事。
911以降のアメリカの政策をとっても、さらに昨今の不景気、広がる格差社会を見ても「アメリカの苦悩」をたくさん感じました。
テーマの通り重い内容でしたが、いろいろ考えさせられた作品です。
今回の評価は・・・ 星3つ半 ☆☆☆★