日々、心のつぶやき☆

映画やフィギュアや好きな事を勝手につづっています。最近、弱気なのでダニエウ・アウヴェスのようなタフさが欲しいです。

「ぼくのエリ、200歳の少女」

2011-02-06 10:35:00 | 映画・DVD・音楽・TV・本など
フィギュアスケートが一段落したので久しぶりの映画鑑賞です。
「ぼくのエリ、200歳の少女」をDVDで観ました。
最近とても気になる国、スウェーデンの作品です。



2008年製作。
スウェーデンの人気作家ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストのベストセラー作品「モールス」を映画化したものです。
監督はトーマス・アルフレッドソン。


原題の意味は「正義なるものを入れよ」というような意味で、「200歳の少女」はまったく意味がありませんね。
その辺はいつもの邦題って事で不満です。


おもなあらすじは・・・

同級生からひどいいじめにあっている12歳の少年オスカー(カーレ・ヘーデブラント)はいつも一人ぼっちで過ごしていた。
そして彼の住むアパートの隣室に越してきた少女エリと父親らしき男。
そんなオスカーとエリが知り合い、お互いの孤独を感じながら少しずつ親しくなっていく。
でも夜にしか出歩かないエリの本当の正体はなんとヴァンパイヤだった・・・
ストーリーはそんな話だったのですが、とてもいろんな意味で奥が深い作品でした。


北欧スウェーデンの静寂な空気の中、無駄な場面や会話は少なくて映像を観ているだけでオスカーの切ない心情が手にとるように伝わってきました。
離婚した母親と二人で暮らしているけれど、母はオスカーを見ていない・・・
学校ではひどいいじめのターゲットになってしまい、オスカーは立ち木にナイフを刺して心のバランスをとっている状態だった。
別れて暮らす父親の家に行った時は無邪気な笑顔で嬉しさを出していたが、父親もお酒を飲んだり
知人男性(特別なパートナーか)が来ると空気は一気に変わってしまう・・・

そんなオスカーがアパートの中庭で不思議な少女エリと出会うのです。
薄着でちょっと変な臭いをさせている時もあるエリ。
ある日、エリの本当の姿を知ってしまいますが、お互いを理解しあえる絆は変わりませんでした。
壁伝いに交信するモールス信号の会話がお互いの心を温かくするのでしょう。


しかし、ストックホルムの町では不思議な殺人事件が多発。
そして血を飲む事でしか生きられないエリの周囲ではいろんな事が起こり過ぎてしまいます。
その上、オスカーを陥れるいじめっ子の動きもますますひどいものに。
後半、プールで命まで狙われるオスカーのシーンは息をのみました。
音のないプールの水中に落ちてくる頭部や腕・・・すごかった。
不謹慎かもしれませんが、胸がスッとした場面です。

ラストのシーンではトランクにエリを入れ、列車に乗って逃避行をするオスカー達。
12歳の子どもにはできる事じゃないだろうけど、トランク越しにモールスで会話をする二人。
オスカーは自分の未来を予測できているのだろうか。
それはきっと凄惨な未来だろうけど、孤独の絆で結ばれた今はこういう生き方しかできないのでしょうね。
でもそれって本当に切ないです・・・


映画を観終わってから妙に余韻の残る作品でした。
スウェーデン独特の冬の空気を感じながら、どこか心が落ち着かない映像が多かった。
一方、白銀に輝く地面に散る真っ赤な血を美しいと思ったり。
本当に不思議な気持ちになります。


さて、原作ではもっと奥深い真相がいろいろあるそうですね。
エリの父親に見えた男性は本当は「小児性愛者」であるという事。
エリが「私が少女でなくても良いの?」と何度も尋ねるのは「もう何百年も生きているから」なのか「ヴァンパイヤだから」なのかと思ったら、実際は少年だった身体を去勢されていたから!だなんて・・・
映倫のぼかしの真実を知ってしまうと、なぜ邦題にさえも「・・・少女」をわざわざ付けたのか意味不明です。
私は原作は読んでいないけれど、隠しようのない原本なんだから無理してぼかしたりする必要はないように思えます。
そうしないとこの作品の本質がちょっと替えられてしまうようで嫌だな。


何だかいろんな事を考えた作品でした。
これをハリウッドでもリメイクしたそうですが、スウェーデン作品独特のモノにはならないと思います。
というより、何でもリメイクはやめようよ。


そんな訳で今回の評価は・・・  星3つ半   ☆☆☆★


同じヴァンパイヤ映画の「トワイライトサーガ・・・」にはまったく興味がわかないけど、これはなかなか秀作でした。


   

   

   
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