報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「『鬼の棲む家』地下探索」 2

2023-08-11 20:27:01 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月6日11時30分 天候:曇 栃木県日光市某所 某民泊施設地下]

 再び地下室へ戻った私達。
 先ほどと比べれば、薄暗いものの、だいぶ明るくなっていた。

 愛原「ん?何か聞こえないか?」
 高橋「そう言えば……」

 リサは尖った耳を澄ましてみた。

 リサ「音楽?」
 愛原「音楽か。何だろう?」
 リサ「多分、わたしのテーマ曲だと思う」

 https://www.youtube.com/watch?v=BayW7aXI0zI(原曲“終焉の始まり”、当作品では愛原リサのテーマ)

 愛原「事務室の中から聞こえるな」

 リサのテーマがループして流れてきている。

 愛原「開けてみてくれ」
 リサ「うん」

 リサは自分のカードキーで、事務室の鍵を開けた。

 愛原「中に敵が潜んでるかもしれん。油断するな」
 高橋「はい」

 私はショットガンを構え、高橋はマグナムを構えた。

 リサ「わたしが開けるよ」

 リサはドアノブを掛けた。
 そして、向こう側にドアを開ける。
 私と高橋は銃を構えたまま、事務室内に入った。
 室内は真っ暗だった。
 だが、リサがドア横のスイッチを入れて照明を点ける。

 愛原「これは……!」

 確かに事務机とかが置かれているが、書類などが散乱していた。
 それだけではない。
 ミイラ化したり、白骨化した職員らしき死体が累々と転がっていた。

 リサ「ゾンビの臭いがする。多分、このミイラは元ゾンビだったんだ」
 愛原「そうなのか」

 そして、白骨死体の方は、そんなゾンビに食い殺された人間であろうとリサは言う。
 人間の血肉を食い散らかしたゾンビだが、その後、新たな食料の供給が無くなってしまい、餓死したのだろうとリサは言う。

 愛原「うえー……。こんな惨劇の真上で俺達、寝泊まりしたのかよ……」
 高橋「今思うとおぞましいっスねぇ……」

 さすがに、もう起き上がって襲ってくることはなさそうだ。
 問題は、何故バイオハザードが起きたのかだ。
 私達は事務室内を探索することにした。

 愛原「業務日誌……」

 パラパラと捲ってみると、白井のことが出てきた。

 愛原「『天長会より素材を提供』『教祖様の為とすれば、洗脳信者を実験に使うことなど容易い』か……考えたな」

 とはいえ、白井自身も天長会の信者だったはずだ。
 自分が信者だったからこそ、逆に他の信者を使いやすかったのだろうか。

 愛原「……ああ、なるほどな」
 高橋「何スか?」
 愛原「日本版リサ・トレヴァーの男を作ろうとしていたらしいぞ。もちろん、『10番』に男はいたけどな」
 高橋「そうなんですか」
 リサ「先生、ここに指示書が」
 愛原「んー?」

 それは恐らくWordで作成された赤文字の指示書だった。

 愛原「『警告 少年Aは処遇が決まるまで、B2倉庫に監禁しておくこと。世話係の選定は追って行う』だって?」
 高橋「何スか、このB2倉庫って……」

 その時、ループして流れていたリサのテーマが止まった。
 そういえば、音楽がどこから流れていたのかをまだ調べていなかった。
 それは、アンティークな蓄音機を模したオーディオ装置から流れていた。
 カセットテープから流れているのだが、それが8トラック式と呼ばれるテープだった。
 いわゆる、エンドレステープというヤツである。
 取り外すと、手書きでタイトルが書かれていた。

 愛原「『2番』のテーマか。やっぱり、リサのテーマらしいな」
 リサ「何度も聴かされたよ」

 オーディオの下には、他にもカセットテープが置かれている。

 愛原「色々あるな」

 その時、1つのテープに目が留まった。

 愛原「何だこれ?『新堂誠』?」

 というか、そもそもどうしてここにこんなオーディオ装置があるのだろうか。
 いや、まあ、作業用BGMのつもりなのだろうが、それにしてもこんな不気味な音楽を流しておくとは……。

 高橋「先生!」
 愛原「何だ?」
 高橋「このキャビネット、何か動きそうっス」
 愛原「なにィ?リサ、手伝ってやれ!」
 リサ「分かった!」

 高橋とリサはキャビネットを動かした。
 すると、キャビネットの向こう側には鉄扉があった。

 愛原「何だ、このドアは?こんなもの図面に……あるな」

 どうやら、これが非常口の入口らしい。
 内鍵になっていて、こちら側からでないと鍵が開かない仕組みになっていたようだ。
 良かった。
 中庭側から下りようとすると、結局は行き止まりだったというわけか。
 そこから下りなくて良かった。
 一応、脱出路を確保する為に鍵を開けて、向こう側を確認しておこうと思った。

 愛原「うー、寒い」

 非常口のドアを開けると、寒風が吹き込んで来た。
 そういえば、この地下室は比較的温かい。
 通電したことで、暖房も入るようになったのだろうか。

 鬼の男「この下どうなってんだ?……あ?」
 愛原「…………」
 高橋「…………」
 リサ「…………」

 上から鬼の男が飛び降りて来て、私の目の前に着地した。
 まさかの鉢合わせに、一瞬互いに固まる。

 鬼の男「て、テメェら!!」
 愛原「わーっ!」

 高橋が咄嗟に鬼の男にマグナムを放つ。
 それは見事に命中した。
 だが、リサとは互角以上の強さを持つ男だ。
 それ1発だけで倒せるわけがない。
 私は鬼の男が怯んだ隙に、鉄扉を閉めて鍵を掛けた。

 愛原「早く、キャビネットを!!」
 高橋「は、はい!リサ、手伝え!!」
 リサ「う、うん!」

 高橋とリサは、再びキャビネットをドアの前に置いた。
 しかし、向こうから激しくドアを叩いたり蹴ったりする音が聞こえる。

 鬼の男「テメェ!コラ!開けやがれ!!」
 愛原「このままじゃ、脱出困難になるぞ!」

 私は踵を返した。
 と、何かを踏んづける。
 それは、ゾンビのミイラだった。
 もう1匹潜んでいたのだった。

 愛原「ったく、邪魔だ!」

 私がミイラを退かすと、その下に1枚の書類が隠れていた。
 取り出すと、もう1枚の指示書だった。

 『B2に行くには、トイレのテーマをピアノに轢かせろ

 愛原「何だこれ?」

 しかも手書きで、『細田だろ!』とも書かれていた。

 愛原「ピアノって何だよ!?」

 少なくとも、事務室には無い。

 高橋「先生、取りあえずこっちへ!」

 まずは事務室を脱出する必要があった。
 何と、ドアを閉めると、自動でロックが掛かり、再びカードキーを使わないと開かないようである。
 もしかしたら、ここの職員達はカードキーを紛失して出られなくなったのだろうか?
 もちろん、リサのカードキーで脱出した。

 愛原「外へ逃げますか!?」
 愛原「そうだな……」

 ①地上へ逃げる。
 ②地下室の奥へ向かう。
 ➂電話で救助を求める。
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“私立探偵 愛原学” 「『鬼の棲む家』地下探索」

2023-08-11 16:11:31 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月6日11時00分 天候:曇 栃木県日光市某所 某民泊施設]

 愛原「いや、物置部屋の方から行こう。こっちはあくまでも非常口。本来の出入口は向こうみたいだからな」
 高橋「分かりました」

 私達は再び家の中に入った。
 一応念の為、鍵だけは掛けておく。
 元は階段室だった物置部屋に戻り、そこから跳ね上げ式扉の中を覗く。
 マグライトを点灯させて、階段を下りる。

 愛原「チッ、ヒドい臭いだ」
 高橋「放置されてから、何年も経ってるって感じっスね」

 階段を下りた先には照明のスイッチがあったが、こちらをカチカチ操作しても、天井の照明は点かなかった。
 普通の蛍光灯だが、どうやらこちらは停電しているらしい。
 まあ、2階と共に地下室も減築しただろうから、通電させておく必要は無いのだろう。

 リサ「う……」

 リサは口元を押さえた。
 その理由は分かった。

 愛原「何だこれは?」

 コンクリートの壁はかなり汚れていた。
 その汚れ方は、尋常ではない。
 大きな黒い染みの汚れなのだが、まるで血しぶきが掛かってそのまんまといった感じであった。
 実際リサに言わせると、血の臭いだという。
 それも、人間の血の臭い。
 リサはついに第0形態から第1形態へと戻ってしまった。

 リサ「うう……人間の……血の匂い……」

 血の匂いにやられて、リサが暴走しかねない。

 愛原「リサ、もしも耐えられなくなったら、これを飲め」

 私はリサに水筒を渡した。
 中身は日本酒の“鬼ころし”である。
 人間にとっては普通の酒だが、鬼が飲めば、その力を封じる効果があるという。
 最近ではリサのような鬼型BOWの力を削ぐ効果があることが判明しており、暴走状態でも飲ませれば鎮めることができるとのことだ。

 リサ「わ、分かった……」
 高橋「一体、何があったんでしょうか?」
 愛原「分からんが、何かの惨劇があったんだろうな」

 もしも壁の黒い染みが本当に人間の血であるのなら、相当な量だ。
 恐らくこの血の主は、もうこの世にはいないだろう。
 しかも、1人ではないだろう。
 何人もの人間が、ここで血しぶきを上げ、壁に染みを作ったと思われる。

 高橋「先生、これを!」
 愛原「うわ……」

 血しぶきだけではなく、血の手形もあった。
 綺麗に手形を押したわけではない。
 多分、血まみれになった人間が、手探りで壁に手をつけながら歩いたのだろう。
 それで、血の手形がベタベタと付いた形になっているのだ。
 奥の方から、こっちの方……つまり、私達が下りて来た階段の方を目指していたといった感じだった。
 この血の主は、上手く地上へ逃げることができたのだろうか?

 愛原「えーと……」

 私は栗原重蔵氏から頂戴した、地下室の間取り図を確認した。

 愛原「やっぱり、この事務室からかな」
 高橋「え、でも、先生……」
 愛原「何だ?」
 高橋「鍵が掛かってますよ?」

 高橋は図面上、事務室になっている部屋のドアを指さした。
 ただの鍵ではなく、どうやらカードキーで開けるタイプのようだ。
 カードキーなんて、どこにあるのか……って、ああっ!?

 愛原「おい、これ……。アンブレラのマークだで?」

 私はカード読取機の上のマークを指さした。
 それは、開いた傘を上から見た図をデザイン化した物だった。
 明らかに、アンブレラのマークであった。
 或いは、ルーマニアのマザー・ミランダのマークか。
 アンブレラの創業者、オズウェル・E・スペンサーは医学生時代、ルーマニアにて特異菌を研究していたマザー・ミランダに師事していたことがあったという。
 アンブレラのマークは、そのマザー・ミランダの研究施設にあったマークを借用したものだということが“青いアンブレラ”の調査で分かっている。
 特異菌とは新種のカビのこと。
 しかしスペンサーはカビの繁殖力やその条件がネックと考え、より感染力の強いウィルスに勝るもの無しと判断し、マザー・ミランダの元を離れている。
 但し、けして憎んだというわけではなく、後に師事させてくれたことに対する礼状と勝手に師事から離れたことに対する詫び状を送っている。

 高橋「するとここは……?」
 愛原「天長会の施設であり、日本アンブレラの施設でもあったというわけだ。日光市といったら、他にも白井の出先があったくらいだからな」

 私は写真を撮った。
 それにしても、こう暗いのでは探索しにくい。
 それに、カードキーを開ける為の電源を確保しないといけない。
 1階部分は通電しているわけだから、どこかで何かを操作すれば、地下室も通電すると思うのだが……。

 愛原「分電盤を探せ!もしかしたら、ブレーカーが落とされてるだけかもしれん!」
 高橋「分電盤ですか?それなら……」
 愛原「知ってるのか?」
 高橋「あ、はい。この前泊まった時、1階の台所にありましたが……」
 愛原「それ、1階だけじゃなくて?」
 高橋「よくは見てませんでしたけど……」
 愛原「まあいい。ちょっと1階を見てこよう。リサも限界のようだし……」
 リサ「ウウ……!」

 リサの目は『鬼の目』となっていた。
 白目は赤黒くなっており、黒目の部分が逆に白っぽくなっている。

 愛原「リサ、“鬼ころし”を飲め!」

 リサは震える手で水筒のキャップを取ると、“鬼ころし”を一口、二口飲んだ。

 リサ「ふう……」

 効いたのか、リサの目が元に戻る。
 もっとも、白目と赤い瞳という第1形態の通常状態だが。

 愛原「一旦、地上に戻ろう」

 私達は地上に戻った。
 そして、台所に向かう。

 高橋「これなんスけどね?」

 確かに高橋が指さした所にはブレーカーがあった。
 しかし、どれもヒューズはONになっており、どうやら1階だけのようだった。

 愛原「いや、待てよ……」

 私は大広間に入った。
 布団などが入っている押し入れを開けると、分電盤の箱のようなものがあり、そこを開けると……。

 愛原「あったあった!これだ!」

 着脱式のヒューズが外れている箇所があり、その部分を見ると、掠れた文字で『B』とあった。
 他に『2』と『1』があり、それからすると、『B』とは、Basement(地下室)のBだろう。
 やはりこの家には、2階があったことを示す分電盤だ。
 しかも、もう2階なんか無いのに、『2』の部分にヒューズがはまっており、『B』の部分は外されていた。

 愛原「ヒューズを交換してやろう」

 私はゴム手袋をはめると、『2』のヒューズを外した。
 そして、代わりに『B』の部分にヒューズをはめた。

 愛原「これでいい。これで通電したはずだ」
 高橋「地下室に行ってみましょう」

 私達は再び地下への階段に向かった。

 愛原「やった!どうやら本当に通電したみたいだで!」

 階段下が明るくなっていた。
 私が入れっ放しにしたスイッチの照明だろう。

 愛原「これで、カードキーが使えるはずだ」
 高橋「でも先生、カードキーなんてどこに?」
 愛原「リサが持ってるだろう?ゴールドカードキー」
 リサ「はい」つ💳
 高橋「なるほど」

 私達は再び地下室へと向かった。
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