[1月4日12時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家(新居)→珈琲館菊川店]
お昼を回る頃になり、新居の方の引っ越しは大体終わろうとしていた。
愛原「よーし。一旦、昼休憩にしよう。午後からは、事務所の引っ越しをするということで」
高橋「ういっス!おう、オメーラ!昼飯にすっぞ!」
私の部屋は4階の和室。
旧居の洋室と比べれば、雰囲気がガラリと変わった。
しかし、畳などは新しい物に交換されている。
畳を傷めないよう、机や椅子の所にはカーペットを敷いてある。
座卓と座椅子は新調した。
ベッドはそのまま旧居からの物を持って来ており、こちらも畳を傷めないようにカーペットを敷いてある。
広さは6畳間である。
1人で使う部屋なのだから、これで十分である。
同じ4階にあるリサの部屋は洋室で、こちらは7帖ほどある。
愛原「昼食代は、1人1000円ずつでいいかな?」
高橋「サーセン。なるべく、無駄遣いはさせないんで」
愛原「別にいいよ」
高橋「釣銭はチーム会費として全額徴収……」
愛原「すなっ!」
新居の引っ越しはこのくらいにしておいて、昼食を挟むことにした。
午後は旧事務所に集合してもらって、今度は事務所の什器の運び出しと、その搬入である。
といっても、実は什器の殆どは借り物なので、置いて行って良い。
そして、新事務所には前のオーナーが置いていった什器や事務机があるので、これを使わせてもらえば良い。
ぶっちゃけ、家の引っ越しよりも荷物は少ないかもしれない。
何しろ、事前の見積もりで、トラックは2トン車1台で良いということが分かったくらいだ。
まあ、私を入れてスタッフ3~4人程度の零細事務所だからな……。
高橋やパールの知り合い達は、マックに行ったり、吉野家に行ったりとバラバラに昼食を食べに行く。
私達は珈琲館に寄った。
そこでは昼食でカレーとかを注文したのだが、パールはナポリタンを注文した。
で、リサはカツカレー。
リサ「キャビネットくらい、わたし1人で運ぶから、パワーを付ける為に」
愛原「だからって、午前中みたいに食器棚を1人で運ぶ必要は無いんだぞ?」
さすがにリサが1人でそんな重い家具を1人で運んだ時には、高橋の知り合い達もびっくりしていたが。
リサ「さすがに張り過ぎた」
高橋「で、先生。部屋には、リサ侵入防止の為の鍵を付けるんスか?」
愛原「元が和室ということもあって、引き戸だからな。引き戸はさすがに密閉性が悪い」
高橋「じゃ、普通のドアにリノベーションするんスか?」
愛原「いや、引き戸の方が出入りは楽なんだよな。因みに……お前らも気づいたか?」
高橋「えっ、何がっスか?」
愛原「家のドア……。ドアというドアに、必ず鍵が付いている」
引き戸であるにも関わらず、私がこれから使う部屋の扉にも鍵が付いていた。
互い違いの2枚扉であるが、扉が交差する部分にネジ式の鍵が付いている。
もっとも、リサのことだ。
この程度の鍵では簡単にこじ開けてしまうだろう。
そもそも、扉はもちろん、壁すらブチ破って来ると……ダメじゃん。
リサ「ん?なに?」
愛原「いや、あの扉だと、最低でも鉄扉にしないと、お前がブチ破って侵入してくるだろうなぁ……」
リサ「鉄扉にしたって無駄だよ。むふー」
リサは少し鼻息を荒くして答えた。
リサ「それより、埼玉の『鬼の棲む家』みたいな仕掛けは無いの?」
愛原「いや、図面を見る限り、そんな怪しい間取りは無かったよ」
リサ「日光の民泊みたいなのは?」
愛原「それも無いな。とにかく、普通の駐車場付き事務所兼住宅だよ。エレベーター付きの」
尚、1階ガレージ奥のエレベーターの隣には物置部屋もある。
物置部屋というか、倉庫だろう。
いずれにせよ、物置に使えそうだ。
埼玉の『鬼の棲む家』には物置部屋の天井が子供部屋の床と繋がっていたが、少なくとも今回の家は2階が事務所になっているので、そんな仕掛けは存在しない。
因みに外からは必ず駐車場を通らないといけないのかというと、そんなことはない。
本来の正面入口は駐車場の横にあり、そこから階段が上へと繋がっている。
事務所の2階までならともかく、家の3階まで階段で上がるのは大変だからと、前のオーナーはエレベーターを設置したのだろう。
ビルの正面入口に郵便受けと施錠できるガラス戸があるので、住居部分の玄関のドアには簡単な鍵しか無い。
愛原「あー……まあ、不思議だなと思う部分はあるか」
高橋「何スか?」
愛原「階段だよ。3階と4階を結ぶ階段も、外側にあるだろう?」
ビルの中にはあるから、本来の意味での外階段ではない。
ただ、住居部分の中に階段があるわけではない。
だから、3階と4階の行き来は一旦、住居部分の外に出る必要がある。
それは屋上に出る場合も同じ。
屋上には物干し台があるので、洗濯物はそこで干せるようになっているのだろう。
ただ、エレベーターは4階までしか行かないので、屋上に行くには4階から階段で上がることになる。
随分、面倒な構造ではあるが、多分何かが増設されるなどして、そういうことになったのだろう。
あと、それとは別にベランダもある。
……ベランダが増設部分かもしれない。
何しろ、そこでも物干し竿を掛けておくアームが付いているので。
もしかしたら、前のオーナーも、いちいち洗濯物を干すのに、3階の脱衣所に設置した洗濯機から4階の上の屋上まで干しに行くのが面倒だと思ったのかもしれない。
いずれにせよ、庭は無いから、庭の代わりになるかもしれない。
高橋「それもそうっスねぇ……」
愛原「もしかしたら不便な所もあるかもしれないが、住んで都にするしか無いよ」
高橋「そうですね」
尚、エレベーターを使えば、外階段に出ずに済むという解決策はある。
リサ「わたしが、『鬼の棲む家』にすればいいのかな?」
愛原「流血の惨はやめてくれな?」
私はやんわり釘を刺しておいた。
お昼を回る頃になり、新居の方の引っ越しは大体終わろうとしていた。
愛原「よーし。一旦、昼休憩にしよう。午後からは、事務所の引っ越しをするということで」
高橋「ういっス!おう、オメーラ!昼飯にすっぞ!」
私の部屋は4階の和室。
旧居の洋室と比べれば、雰囲気がガラリと変わった。
しかし、畳などは新しい物に交換されている。
畳を傷めないよう、机や椅子の所にはカーペットを敷いてある。
座卓と座椅子は新調した。
ベッドはそのまま旧居からの物を持って来ており、こちらも畳を傷めないようにカーペットを敷いてある。
広さは6畳間である。
1人で使う部屋なのだから、これで十分である。
同じ4階にあるリサの部屋は洋室で、こちらは7帖ほどある。
愛原「昼食代は、1人1000円ずつでいいかな?」
高橋「サーセン。なるべく、無駄遣いはさせないんで」
愛原「別にいいよ」
高橋「釣銭はチーム会費として全額徴収……」
愛原「すなっ!」
新居の引っ越しはこのくらいにしておいて、昼食を挟むことにした。
午後は旧事務所に集合してもらって、今度は事務所の什器の運び出しと、その搬入である。
といっても、実は什器の殆どは借り物なので、置いて行って良い。
そして、新事務所には前のオーナーが置いていった什器や事務机があるので、これを使わせてもらえば良い。
ぶっちゃけ、家の引っ越しよりも荷物は少ないかもしれない。
何しろ、事前の見積もりで、トラックは2トン車1台で良いということが分かったくらいだ。
まあ、私を入れてスタッフ3~4人程度の零細事務所だからな……。
高橋やパールの知り合い達は、マックに行ったり、吉野家に行ったりとバラバラに昼食を食べに行く。
私達は珈琲館に寄った。
そこでは昼食でカレーとかを注文したのだが、パールはナポリタンを注文した。
で、リサはカツカレー。
リサ「キャビネットくらい、わたし1人で運ぶから、パワーを付ける為に」
愛原「だからって、午前中みたいに食器棚を1人で運ぶ必要は無いんだぞ?」
さすがにリサが1人でそんな重い家具を1人で運んだ時には、高橋の知り合い達もびっくりしていたが。
リサ「さすがに張り過ぎた」
高橋「で、先生。部屋には、リサ侵入防止の為の鍵を付けるんスか?」
愛原「元が和室ということもあって、引き戸だからな。引き戸はさすがに密閉性が悪い」
高橋「じゃ、普通のドアにリノベーションするんスか?」
愛原「いや、引き戸の方が出入りは楽なんだよな。因みに……お前らも気づいたか?」
高橋「えっ、何がっスか?」
愛原「家のドア……。ドアというドアに、必ず鍵が付いている」
引き戸であるにも関わらず、私がこれから使う部屋の扉にも鍵が付いていた。
互い違いの2枚扉であるが、扉が交差する部分にネジ式の鍵が付いている。
もっとも、リサのことだ。
この程度の鍵では簡単にこじ開けてしまうだろう。
そもそも、扉はもちろん、壁すらブチ破って来ると……ダメじゃん。
リサ「ん?なに?」
愛原「いや、あの扉だと、最低でも鉄扉にしないと、お前がブチ破って侵入してくるだろうなぁ……」
リサ「鉄扉にしたって無駄だよ。むふー」
リサは少し鼻息を荒くして答えた。
リサ「それより、埼玉の『鬼の棲む家』みたいな仕掛けは無いの?」
愛原「いや、図面を見る限り、そんな怪しい間取りは無かったよ」
リサ「日光の民泊みたいなのは?」
愛原「それも無いな。とにかく、普通の駐車場付き事務所兼住宅だよ。エレベーター付きの」
尚、1階ガレージ奥のエレベーターの隣には物置部屋もある。
物置部屋というか、倉庫だろう。
いずれにせよ、物置に使えそうだ。
埼玉の『鬼の棲む家』には物置部屋の天井が子供部屋の床と繋がっていたが、少なくとも今回の家は2階が事務所になっているので、そんな仕掛けは存在しない。
因みに外からは必ず駐車場を通らないといけないのかというと、そんなことはない。
本来の正面入口は駐車場の横にあり、そこから階段が上へと繋がっている。
事務所の2階までならともかく、家の3階まで階段で上がるのは大変だからと、前のオーナーはエレベーターを設置したのだろう。
ビルの正面入口に郵便受けと施錠できるガラス戸があるので、住居部分の玄関のドアには簡単な鍵しか無い。
愛原「あー……まあ、不思議だなと思う部分はあるか」
高橋「何スか?」
愛原「階段だよ。3階と4階を結ぶ階段も、外側にあるだろう?」
ビルの中にはあるから、本来の意味での外階段ではない。
ただ、住居部分の中に階段があるわけではない。
だから、3階と4階の行き来は一旦、住居部分の外に出る必要がある。
それは屋上に出る場合も同じ。
屋上には物干し台があるので、洗濯物はそこで干せるようになっているのだろう。
ただ、エレベーターは4階までしか行かないので、屋上に行くには4階から階段で上がることになる。
随分、面倒な構造ではあるが、多分何かが増設されるなどして、そういうことになったのだろう。
あと、それとは別にベランダもある。
……ベランダが増設部分かもしれない。
何しろ、そこでも物干し竿を掛けておくアームが付いているので。
もしかしたら、前のオーナーも、いちいち洗濯物を干すのに、3階の脱衣所に設置した洗濯機から4階の上の屋上まで干しに行くのが面倒だと思ったのかもしれない。
いずれにせよ、庭は無いから、庭の代わりになるかもしれない。
高橋「それもそうっスねぇ……」
愛原「もしかしたら不便な所もあるかもしれないが、住んで都にするしか無いよ」
高橋「そうですね」
尚、エレベーターを使えば、外階段に出ずに済むという解決策はある。
リサ「わたしが、『鬼の棲む家』にすればいいのかな?」
愛原「流血の惨はやめてくれな?」
私はやんわり釘を刺しておいた。