[1月5日18時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家(新居)]
パール「明日、急に御出張ですか?」
愛原「そうなんだ」
私は大きく頷いた。
あの後、私は栗原重蔵氏から、日光の民泊施設について、もっとよく調べて欲しいと依頼された。
2階はもう無いから、実質的に地下室跡を調べることになる。
愛原「もう1回、日光に行くことになるよ。今度は車でな」
パール「そうですか」
何だか事件の匂いがするので、色々と準備していった方がいいだろう。
そんな時、電車で行くよりは車で行った方が良い。
そう思った。
愛原「高橋、さすがにもう免停は解除になってるだろ?また運転頼むな?」
高橋「も、もちろん。任せてください」
リサ「わたしも行く!」
愛原「そうだな。よろしく頼む。パールは事務所にいてくれ」
パール「かしこまりました。その為に雇われたわけですものね。御掃除なら任せてください」
高橋「こいつ、事務所荒らしも『掃除』する気ですよ?」
愛原「は、はは……。この事務所に現れないことを祈るよ」
こんな感じで、最近の夕食は進む。
パール「明日は何時に出発されますか?」
愛原「なるべく早い方がいいな。ほら、まだ冬休み期間中だから、観光地の日光は混むだろう。渋滞にハマらないように注意する必要がある」
高橋「そうっスね」
愛原「ここから車で日光まで、どのくらいだろう?」
高橋「高速飛ばせば、2時間で着けそうな気がしますね」
愛原「安全運転で行ってもらう。2時間半と見るか」
高橋「へーい……」
愛原「リースのバネットで行くんだから、そんな飛ばせないだろ」
高橋「まあ、そうなんスけどね……」
愛原「というわけだ、リサ。明日は朝早く出発するから、早く寝ろよ?」
リサ「はーい」
[同日21時00分 天候:晴 愛原家(新居)]
その夜、善場主任から私のスマホに電話が掛かって来た。
善場「夜分遅くに申し訳ありません」
愛原「いえ、とんでもないです。大丈夫ですよ」
善場「メールを拝見しました。明日、日光へ行かれるそうですね?」
愛原「はい。栗原さんの依頼で。少々危険かもしれないので、それなりに装備をさせて頂きます」
善場「承知しました。栗原さんというのは、栗原蓮華の関係者ですね?」
愛原「その祖父の方からです」
善場「なるほど。何か情報を言ってましたか?」
愛原「大江山の鬼のことです。鬼狩りの家系である栗原家は、関西の方も警戒しているようで、そこの情報でした。正直、善場主任の方と被る恐れがありますが」
善場「ということは、あの鬼の兄妹の事ですね?」
愛原「そうです。源頼光に退治されたということから、それは酒呑童子のことだと思いますが、その末裔が今でも生きていると。ただ、それから何百年も経っているから、殆どは人間と変わらないと。それでも中には、先祖返りを起こす者がいると。そういう話でした」
善場「さすがは鬼狩りの家系です。かなり真実に近いところまで知っているようですね」
愛原「やはりそうですか?白井は“彼岸島”の五十嵐中佐みたいなことをしようとしたんですか?」
善場「何を仰っておられるのかは分かりませんが、ロクでもない理由であったことは確かです」
愛原「失礼しました」
善場「それと、“鬼ころし”の件ですが……」
愛原「あの、酒の?」
善場「はい。もしも、リサに暴走の恐れがある時は飲用させて結構です」
愛原「ええっ!?」
善場「本来は未成年飲酒となり、違法ですが、調査の結果、有用であることが分かりましたので、それに関してだけは特例で認めます。後ほど正式に認められる見込みですので、先にお伝えしておきます」
愛原「あ、ありがとうございます」
善場「あくまでも、“鬼ころし”だけですよ?他の酒はダメですよ?」
愛原「わ、分かってますよ」
実はこの前、天長園に泊まった時、上野利恵から渡されたお土産がそれであった。
牛乳パックのような容器に入ったものではなく、ちゃんと酒瓶に入ったものである。
一応、保険としてウィスキーボトルに移し替えておこうかな。
善場「満月の夜は暴走しやすい傾向がありますので、その時は保険として飲ませておくという手はありです」
とのことだった。
それは一考の価値ありだな。
どうやら、京都で主任は色々と情報を仕入れたようである。
[1月6日06時30分 天候:晴 愛原家(新居)]
それから翌朝。
愛原「それじゃ、行ってくるよ」
パール「お気を付けて」
車の後ろに荷物を乗せ、私は助手席に。
リサは助手席の後ろに座った。
愛原「じゃあ、出してくれ」
高橋「了解っス」
高橋は車を出した。
まずは、事務所前の細い道に出て、それから都道の三ツ目通りに出る。
リサ「先生、朝はどこで食べるの?」
リサが聞いてきた。
今日のリサは、ショーパンではなく、黒いスカートを穿いていた。
太ももが見えるほどのミニである。
そういえばリサ、学校のジャージ以外で、太ももが隠れる服を着たことがあまり無いような気がする。
スキーに行った時のウェアとか、着物や浴衣を着る時くらいか。
愛原「高速のサービスエリアで食うさ。高橋、東北道経由で行くだろ?」
高橋「まあ、ベタな法則ですね」
愛原「そうなると、最初のサービスエリアは蓮田か」
高橋「そうなります」
愛原「ここから蓮田まで、どのくらいだ?」
高橋「まあ、およそ1時間弱ってとこっスね」
愛原「ということは、だいたい7時半くらいか」
高橋「そういうことになります」
愛原「ちょうどいい時間じゃないか。リサ、そこで食うよ」
リサ「分かった。7時半くらいね」
リサは頷くと、グレーのパーカーのフードを被り、座席をリクライニングした。
どうやら、少し寝るつもりであるようだ。
高橋「着くまで寝てるとは、いい身分ですね」
愛原「別にいいだろ。どうせやることないんだから」
リアシートから後ろの窓ガラスにはスモークが貼られているので、外からリサの様子は見えないはずだ。
愛原「今回は仕事なんだから、お前のタバコ代とジュース代以外は俺が面倒看てやる」
高橋「あざざーっす!」
パール「明日、急に御出張ですか?」
愛原「そうなんだ」
私は大きく頷いた。
あの後、私は栗原重蔵氏から、日光の民泊施設について、もっとよく調べて欲しいと依頼された。
2階はもう無いから、実質的に地下室跡を調べることになる。
愛原「もう1回、日光に行くことになるよ。今度は車でな」
パール「そうですか」
何だか事件の匂いがするので、色々と準備していった方がいいだろう。
そんな時、電車で行くよりは車で行った方が良い。
そう思った。
愛原「高橋、さすがにもう免停は解除になってるだろ?また運転頼むな?」
高橋「も、もちろん。任せてください」
リサ「わたしも行く!」
愛原「そうだな。よろしく頼む。パールは事務所にいてくれ」
パール「かしこまりました。その為に雇われたわけですものね。御掃除なら任せてください」
高橋「こいつ、事務所荒らしも『掃除』する気ですよ?」
愛原「は、はは……。この事務所に現れないことを祈るよ」
こんな感じで、最近の夕食は進む。
パール「明日は何時に出発されますか?」
愛原「なるべく早い方がいいな。ほら、まだ冬休み期間中だから、観光地の日光は混むだろう。渋滞にハマらないように注意する必要がある」
高橋「そうっスね」
愛原「ここから車で日光まで、どのくらいだろう?」
高橋「高速飛ばせば、2時間で着けそうな気がしますね」
愛原「安全運転で行ってもらう。2時間半と見るか」
高橋「へーい……」
愛原「リースのバネットで行くんだから、そんな飛ばせないだろ」
高橋「まあ、そうなんスけどね……」
愛原「というわけだ、リサ。明日は朝早く出発するから、早く寝ろよ?」
リサ「はーい」
[同日21時00分 天候:晴 愛原家(新居)]
その夜、善場主任から私のスマホに電話が掛かって来た。
善場「夜分遅くに申し訳ありません」
愛原「いえ、とんでもないです。大丈夫ですよ」
善場「メールを拝見しました。明日、日光へ行かれるそうですね?」
愛原「はい。栗原さんの依頼で。少々危険かもしれないので、それなりに装備をさせて頂きます」
善場「承知しました。栗原さんというのは、栗原蓮華の関係者ですね?」
愛原「その祖父の方からです」
善場「なるほど。何か情報を言ってましたか?」
愛原「大江山の鬼のことです。鬼狩りの家系である栗原家は、関西の方も警戒しているようで、そこの情報でした。正直、善場主任の方と被る恐れがありますが」
善場「ということは、あの鬼の兄妹の事ですね?」
愛原「そうです。源頼光に退治されたということから、それは酒呑童子のことだと思いますが、その末裔が今でも生きていると。ただ、それから何百年も経っているから、殆どは人間と変わらないと。それでも中には、先祖返りを起こす者がいると。そういう話でした」
善場「さすがは鬼狩りの家系です。かなり真実に近いところまで知っているようですね」
愛原「やはりそうですか?白井は“彼岸島”の五十嵐中佐みたいなことをしようとしたんですか?」
善場「何を仰っておられるのかは分かりませんが、ロクでもない理由であったことは確かです」
愛原「失礼しました」
善場「それと、“鬼ころし”の件ですが……」
愛原「あの、酒の?」
善場「はい。もしも、リサに暴走の恐れがある時は飲用させて結構です」
愛原「ええっ!?」
善場「本来は未成年飲酒となり、違法ですが、調査の結果、有用であることが分かりましたので、それに関してだけは特例で認めます。後ほど正式に認められる見込みですので、先にお伝えしておきます」
愛原「あ、ありがとうございます」
善場「あくまでも、“鬼ころし”だけですよ?他の酒はダメですよ?」
愛原「わ、分かってますよ」
実はこの前、天長園に泊まった時、上野利恵から渡されたお土産がそれであった。
牛乳パックのような容器に入ったものではなく、ちゃんと酒瓶に入ったものである。
一応、保険としてウィスキーボトルに移し替えておこうかな。
善場「満月の夜は暴走しやすい傾向がありますので、その時は保険として飲ませておくという手はありです」
とのことだった。
それは一考の価値ありだな。
どうやら、京都で主任は色々と情報を仕入れたようである。
[1月6日06時30分 天候:晴 愛原家(新居)]
それから翌朝。
愛原「それじゃ、行ってくるよ」
パール「お気を付けて」
車の後ろに荷物を乗せ、私は助手席に。
リサは助手席の後ろに座った。
愛原「じゃあ、出してくれ」
高橋「了解っス」
高橋は車を出した。
まずは、事務所前の細い道に出て、それから都道の三ツ目通りに出る。
リサ「先生、朝はどこで食べるの?」
リサが聞いてきた。
今日のリサは、ショーパンではなく、黒いスカートを穿いていた。
太ももが見えるほどのミニである。
そういえばリサ、学校のジャージ以外で、太ももが隠れる服を着たことがあまり無いような気がする。
スキーに行った時のウェアとか、着物や浴衣を着る時くらいか。
愛原「高速のサービスエリアで食うさ。高橋、東北道経由で行くだろ?」
高橋「まあ、ベタな法則ですね」
愛原「そうなると、最初のサービスエリアは蓮田か」
高橋「そうなります」
愛原「ここから蓮田まで、どのくらいだ?」
高橋「まあ、およそ1時間弱ってとこっスね」
愛原「ということは、だいたい7時半くらいか」
高橋「そういうことになります」
愛原「ちょうどいい時間じゃないか。リサ、そこで食うよ」
リサ「分かった。7時半くらいね」
リサは頷くと、グレーのパーカーのフードを被り、座席をリクライニングした。
どうやら、少し寝るつもりであるようだ。
高橋「着くまで寝てるとは、いい身分ですね」
愛原「別にいいだろ。どうせやることないんだから」
リアシートから後ろの窓ガラスにはスモークが貼られているので、外からリサの様子は見えないはずだ。
愛原「今回は仕事なんだから、お前のタバコ代とジュース代以外は俺が面倒看てやる」
高橋「あざざーっす!」