[12月5日21:30.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
愛原:「うぃ~、次いいぞー」
風呂から上がった私は、高橋に言った。
高橋:「うっス!先生の残り湯、堪能させて頂きやす!」
愛原:「だから、サラッと気持ち悪いこと言うなって」
リサ:「お兄ちゃん、次は私だからね!先生の残り湯!」
高橋:「あー、聞こえねぇ!聞こえねぇ!」
愛原:「オマエらなぁ……」
私は呆れ顔と苦笑を混じらせながらキッチンへ向かった。
愛原:「ビール、ビールっと」
冷蔵庫の中から缶ビールを取り出す。
リサ:「ねー、私も一口ちょうだい」
愛原:「出たな!妖怪ヒトクチチョーダイ!あと5年待て!」
リサ:「えー」
愛原:「『えー』じゃない!」
リサ:「でもぉ……」
愛原:「『でも』じゃない!」
リサ:「だってぇ……」
愛原:「『だって』じゃない!」
私はリビングのソファに座ると、テレビを点けた。
バラエティ番組で、芸能人のペットの特集をやっている。
〔「凄い大きい犬ですねぇ!?」「でも性格は大人しいんですよ?」「私が触っても大丈夫なんですかぁ~?」「もちろん!」〕
リサ:「滑稽だねぇ!」
リサ、私の隣にダイブしてくる。
愛原:「ちょっ……!ひっつくな!」
リサ:「人間と馴れ合うなんて、所詮はペット~!」
愛原:「オマエが言うな!」
〔「ちょっとドーベルマン、怖いんですけどォ~?」「いやいや!ドーベルマンってのはですね、こう見えて結構臆病な種類なんですねぇ~!」「ホントですかぁ~?」〕
愛原:「ゾンビ化したドーベルマンは除く」
リサ:「言えてる。愛原先生達が来た時には既に外に連れ出されてたけど、私がいた研究所には……頭が3つあるケルベロスみたいなヤツもいたからね」
愛原:「ちょっと待て!それ初耳だぞ!?それ何!?ヘタすりゃ俺達、そいつと戦ってたってこと!?」
リサ:「まあ、私が最初に目を付けてたんだから、たかだかワンコ如きに先生は殺させないけどね」
愛原:「そのケルベロスみたいな奴はどうなった!?」
リサ:「さぁ?あの後さっぱり出て来なかったから、殺処分されたんじゃないの?」
愛原:「メチャクチャ怖いんだけど、そういうの」
リサ:「名前をティンダロスって言うんだって」
愛原:「あ、そのまんまケルベロスじゃないのか」
リサ:「私の言う事全然聞かないから、全然可愛くない犬だったね」
愛原:「首が3つある時点で、可愛さマイナスだけどな!」
リサ:「私にも首輪着けていいよ?リードも着けてね」
愛原:「オマエが動物系のBOWなら、そうしてるよ。だけど、こうやって人型のBOWなんだから、そんなことするわけにはいかないだろう?」
リサ:「そうかな?」
リサはテレビのチャンネルを変えた。
今度は歌番組である。
そこでは女性バンドユニットが、ちょうど新曲を披露していた。
リサ:「ほら、この人、首輪着けてる」
リサがアップで映った女性ボーカルを指さした。
愛原:「それはチョーカーって言ってだな、ただのファッションであって、犬猫に着ける首輪とはワケが違うの」
リサ:「私も似合うかな?」
愛原:「そりゃオマエは可愛いから、何でも似合うと思うよ」
リサ:「! おー!」
愛原:「人間形態よりは、鬼形態の方が似合うかもな」
リサ:「ほんと!?」
するとリサは第1形態に変化した。
リサ:「これとか?」
愛原:「『飼われてる鬼』ですよってか?いやいや、やっぱダメだな……」
リサ:「ふーん……?」
リサ、更に私にひっついてくる。
リサ:「この姿も好きだよね?『人食い鬼』を押し倒したら先生、最強だよ……?」
愛原:「ん?」
リサは少し開けた口から、吐息を漏らした。
リサ:「先生……」
リサは妖艶な顔になっている。
心なしか、リサの体から女の匂いが漂って来た。
愛原:「リサ、落ち着け!」
リサ:「食べたい……」
リサが私の口に吸い付こうとした時だった。
リサのスマホがブーブー震え出した。
リサ:「チッ、誰だよ?こんな時間に……」
リサは舌打ちをすると、テーブルの上の自分のスマホに向かった。
リサ:「サイトー?何の用?」
リサは不機嫌そうに出た。
それっ、今のうちに!
リサ:「あっ、待て!」
私はサーッと自分の部屋に逃げると、鍵を掛けた。
因みに鍵は3つ付いている。
変化したリサにはどんな鍵を付けていても焼け石に水だが、時間稼ぎにはなる。
また、リサの部屋には外から鍵を掛けることができる。
リサが暴走した場合、外から鍵を掛けて閉じ込めるのだが、それとて変化したリサにはやっぱりただのお飾りでしか無いのである。
斉藤:「り、リサさん、急にお腹が痛くなってきたから、またね……」
リサ:「あー、漏らす前にさっさと行っといで。今度私の邪魔をしたら、コジマみたいになるからね?」
リサのヤツ、斉藤さんに植え付けたウィルスを少し活性化させたようだ。
普段は休眠状態にさせているが、リサの不興を買った場合、活性化させられてしまう。
リサの場合はまだ力を抑えて胃腸炎を起こさせる程度にしているが、本気を出せばゾンビ化したり、全身から血を噴き出させて殺すこともできる。
『1番』はそうした。
リサ:「ちっ、もうちょっとだったのに……」
リサの悔しそうな声が外から聞こえてくる。
ドアを開けようとしたが、鍵が掛かっているので諦めたようだ。
無理やりこじ開けることも可能だが、大騒ぎして追い出されるのは困るので、そこまでは考えられるらしい。
それにしても、いくら生理前でムラムラしているんだか何だか知らないが、第1形態に変化する度に性欲も強くなっているような気がする。
リサも年頃の女の子になってきたが、早いとこ人間に戻してあげないと、後で大変なことになるような気がした。
愛原:「リサ、明日は大事な日だろ?さっさと寝る準備しろ」
リサ:「はぁい」
ようやく高橋が風呂から出て来て、やっとリサが風呂に入ると、私はそのタイミングで部屋から出ることができた。
ところが、私の部屋の前に、さっきまでリサが着けていたブラショーツが置かれていて、改めて私は食欲から性欲の『捕食対象』へと変化したのだと改めて認識させられた。
いや、両方かもしれない。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
愛原:「うぃ~、次いいぞー」
風呂から上がった私は、高橋に言った。
高橋:「うっス!先生の残り湯、堪能させて頂きやす!」
愛原:「だから、サラッと気持ち悪いこと言うなって」
リサ:「お兄ちゃん、次は私だからね!先生の残り湯!」
高橋:「あー、聞こえねぇ!聞こえねぇ!」
愛原:「オマエらなぁ……」
私は呆れ顔と苦笑を混じらせながらキッチンへ向かった。
愛原:「ビール、ビールっと」
冷蔵庫の中から缶ビールを取り出す。
リサ:「ねー、私も一口ちょうだい」
愛原:「出たな!妖怪ヒトクチチョーダイ!あと5年待て!」
リサ:「えー」
愛原:「『えー』じゃない!」
リサ:「でもぉ……」
愛原:「『でも』じゃない!」
リサ:「だってぇ……」
愛原:「『だって』じゃない!」
私はリビングのソファに座ると、テレビを点けた。
バラエティ番組で、芸能人のペットの特集をやっている。
〔「凄い大きい犬ですねぇ!?」「でも性格は大人しいんですよ?」「私が触っても大丈夫なんですかぁ~?」「もちろん!」〕
リサ:「滑稽だねぇ!」
リサ、私の隣にダイブしてくる。
愛原:「ちょっ……!ひっつくな!」
リサ:「人間と馴れ合うなんて、所詮はペット~!」
愛原:「オマエが言うな!」
〔「ちょっとドーベルマン、怖いんですけどォ~?」「いやいや!ドーベルマンってのはですね、こう見えて結構臆病な種類なんですねぇ~!」「ホントですかぁ~?」〕
愛原:「ゾンビ化したドーベルマンは除く」
リサ:「言えてる。愛原先生達が来た時には既に外に連れ出されてたけど、私がいた研究所には……頭が3つあるケルベロスみたいなヤツもいたからね」
愛原:「ちょっと待て!それ初耳だぞ!?それ何!?ヘタすりゃ俺達、そいつと戦ってたってこと!?」
リサ:「まあ、私が最初に目を付けてたんだから、たかだかワンコ如きに先生は殺させないけどね」
愛原:「そのケルベロスみたいな奴はどうなった!?」
リサ:「さぁ?あの後さっぱり出て来なかったから、殺処分されたんじゃないの?」
愛原:「メチャクチャ怖いんだけど、そういうの」
リサ:「名前をティンダロスって言うんだって」
愛原:「あ、そのまんまケルベロスじゃないのか」
リサ:「私の言う事全然聞かないから、全然可愛くない犬だったね」
愛原:「首が3つある時点で、可愛さマイナスだけどな!」
リサ:「私にも首輪着けていいよ?リードも着けてね」
愛原:「オマエが動物系のBOWなら、そうしてるよ。だけど、こうやって人型のBOWなんだから、そんなことするわけにはいかないだろう?」
リサ:「そうかな?」
リサはテレビのチャンネルを変えた。
今度は歌番組である。
そこでは女性バンドユニットが、ちょうど新曲を披露していた。
リサ:「ほら、この人、首輪着けてる」
リサがアップで映った女性ボーカルを指さした。
愛原:「それはチョーカーって言ってだな、ただのファッションであって、犬猫に着ける首輪とはワケが違うの」
リサ:「私も似合うかな?」
愛原:「そりゃオマエは可愛いから、何でも似合うと思うよ」
リサ:「! おー!」
愛原:「人間形態よりは、鬼形態の方が似合うかもな」
リサ:「ほんと!?」
するとリサは第1形態に変化した。
リサ:「これとか?」
愛原:「『飼われてる鬼』ですよってか?いやいや、やっぱダメだな……」
リサ:「ふーん……?」
リサ、更に私にひっついてくる。
リサ:「この姿も好きだよね?『人食い鬼』を押し倒したら先生、最強だよ……?」
愛原:「ん?」
リサは少し開けた口から、吐息を漏らした。
リサ:「先生……」
リサは妖艶な顔になっている。
心なしか、リサの体から女の匂いが漂って来た。
愛原:「リサ、落ち着け!」
リサ:「食べたい……」
リサが私の口に吸い付こうとした時だった。
リサのスマホがブーブー震え出した。
リサ:「チッ、誰だよ?こんな時間に……」
リサは舌打ちをすると、テーブルの上の自分のスマホに向かった。
リサ:「サイトー?何の用?」
リサは不機嫌そうに出た。
それっ、今のうちに!
リサ:「あっ、待て!」
私はサーッと自分の部屋に逃げると、鍵を掛けた。
因みに鍵は3つ付いている。
変化したリサにはどんな鍵を付けていても焼け石に水だが、時間稼ぎにはなる。
また、リサの部屋には外から鍵を掛けることができる。
リサが暴走した場合、外から鍵を掛けて閉じ込めるのだが、それとて変化したリサにはやっぱりただのお飾りでしか無いのである。
斉藤:「り、リサさん、急にお腹が痛くなってきたから、またね……」
リサ:「あー、漏らす前にさっさと行っといで。今度私の邪魔をしたら、コジマみたいになるからね?」
リサのヤツ、斉藤さんに植え付けたウィルスを少し活性化させたようだ。
普段は休眠状態にさせているが、リサの不興を買った場合、活性化させられてしまう。
リサの場合はまだ力を抑えて胃腸炎を起こさせる程度にしているが、本気を出せばゾンビ化したり、全身から血を噴き出させて殺すこともできる。
『1番』はそうした。
リサ:「ちっ、もうちょっとだったのに……」
リサの悔しそうな声が外から聞こえてくる。
ドアを開けようとしたが、鍵が掛かっているので諦めたようだ。
無理やりこじ開けることも可能だが、大騒ぎして追い出されるのは困るので、そこまでは考えられるらしい。
それにしても、いくら生理前でムラムラしているんだか何だか知らないが、第1形態に変化する度に性欲も強くなっているような気がする。
リサも年頃の女の子になってきたが、早いとこ人間に戻してあげないと、後で大変なことになるような気がした。
愛原:「リサ、明日は大事な日だろ?さっさと寝る準備しろ」
リサ:「はぁい」
ようやく高橋が風呂から出て来て、やっとリサが風呂に入ると、私はそのタイミングで部屋から出ることができた。
ところが、私の部屋の前に、さっきまでリサが着けていたブラショーツが置かれていて、改めて私は食欲から性欲の『捕食対象』へと変化したのだと改めて認識させられた。
いや、両方かもしれない。