[6月23日06:15.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅・新幹線乗り場]
アリス:「ねむ……」
アリスは大きな欠伸をした。
敷島:「着くまで寝てていいよ。その代わり、朝飯は抜きな」
アリス:「いや、食べるって」
まずは在来線改札口に入る。
朝早いということもあってか、多くの人で賑わうエキナカも今は人がまばらだ。
敷島:「朝飯は駅弁でいいな」
エミリー:「私が買ってきますよ」
敷島:「いや、お前達は荷物を見ててくれ」
エミリーとシンディは、大きなスーツケースを両手に2個ずつ持っていた。
まるで、これから海外にでも行くかのようだ。
……というのは日本人の観点で、もしかしたら、『帰国する』という見方の方が適切かもしれない。
もちろん、それぞれ中にあるのはRデコイなどのサブウェポンやロイド達の交換パーツなどが入っているのである。
敷島:「何がいい?」
アリス:「……ベーコンエッグ弁当」
敷島:「無ェよ!」
アリス:「『三元豚とんかつ弁当』」
敷島:「これか。朝から随分とボリューミーなの食うな。まあいいや」
敷島も自分のを探す。
敷島:「どれにしようかな……。おっ、『日本のおもてなし弁当』なるものがあるぞ」
アリス:「おもてなしする側が、されてどうするのよ?」
敷島:「うるせぇな。……おっ、『深川めし』も美味そうだ。これにしよう。あとはお茶を……」
アリス:「じゃ、お会計よろしくw」
敷島:「ちょw おまwww 自分の飯代くらい……」
だが、アリスは商品を敷島に託して行ってしまったのである。
エミリー:「あの、社長。そろそろ列車が来る時間ですので……」
敷島:「おっと!いけね!」
[同日06:30.天候:晴 JR大宮駅・新幹線ホーム→JR東北新幹線“やまびこ”41号9号車内]
〔17番線に、“やまびこ”41号、盛岡行きが10両編成で参ります。この電車は途中、宇都宮、郡山、福島、仙台と仙台から先の各駅に止まります。グリーン車は9号車、自由席は1号車から7号車です。まもなく17番線に、“やまびこ”41号、盛岡行きが参ります。黄色い線まで、お下がりください〕
自動接近放送がホームに響き渡る。
敷島:「エミリー。リンとレンはもう列車に乗ってるかな?」
エミリー:「はい。予定通り、乗車しております。あと、上野駅からは村上博士とロイが乗車しました」
敷島:「上野から?珍しいな。ついリン・レンと一緒に東京駅から乗るか、平賀先生と一緒に仙台駅から乗るかのどっちかだと思ってたのに……」
エミリー:「東京でのご自宅が京成線の沿線にあるみたいですよ」
敷島:「ふーん……?まあ、東京都心大学に行くには、上野から地下鉄に乗ってもいいのか」
エミリー:「そういうことですね。都営浅草線直通に乗っても良いみたいです」
敷島:「都営浅草線で行けたっけ?」
敷島が首を傾げていると、列車がやってきた。
東北新幹線では最古参となったE2系である。
敷島:「平賀先生みたいな人ならグランクラスでもいいと思ったんだけど、E2系じゃ無いからな」
アリス:「じゃ、アタシが代わりに乗るわ」
敷島:「だから無ェっつってんだろ」
〔「おはようございます。大宮ぁ、大宮です。17番線に到着の電車は6時30分発、東北新幹線“やまびこ”41号、盛岡行きです。……」〕
ドアが開いて列車に乗り込む。
シンディ:「社長、荷物はここに置いていいですか?」
敷島:「いいよ。盗難防止装置は作動させとけよ」
シンディ:「はい」
デッキには大きなスーツケースを置いておくスペースがある。
当然ながら客席からは見えない位置となるので、防犯については考える必要がある。
村上:「よお!おはようさん」
ロイ:「おはようございます」
敷島:「村上教授、おはようございます」
エミリー:「社長方の御席はこちらです……って」
本来、敷島とアリスが座る席には何故か鏡音リンとレンがいた。
しかも2人とも、携帯型ゲーム機に夢中だ。
エミリー:「おい」
シンディ:「あんた達……」
鏡音リン:「……あ。殿、温めておきました!」
リンとレンは慌てて席を立った。
エミリー:「アホか!」
シンディ:「あんた達の席はこっち!」
エミリーとシンディが鏡音姉弟を退かした。
そんなことしている間に、列車が走り出す。
エミリー:「本当にあんなので役に立つのですか?」
敷島:「まあ、やってみなきゃ分からんさ」
村上:「おお〜、敷島社長とアリス君も駅弁じゃな」
敷島:「旅の楽しみですからねぇ……」
アリス:「アムトラックじゃ、なかなか売ってないもの」
村上:「アムトラックか。だがその代わり、向こうには日本では無くなった食堂車があるではないか」
アリス:「そうね」
敷島:「それは羨ましい。またアメリカに行く機会があったら、今度はグレイハウンドバスじゃなく、アムトラックに乗ってみようかな」
アリス:「タカオ、本来なら車かアメリカン航空で移動するのが普通だからね?」
実はそうである。
映画の“ホームアローン”シリーズでも、主人公を置いてけぼりにした家族は、国内旅行でも飛行機を使っていた。
中流の上以上の家庭では飛行機を使い、中流の下以下の家庭ではバスか鉄道というのが向こうのセオリーである。
……日本と同じか?
敷島:「向こうには新幹線が無いからいいの」
村上:「日本の新幹線みたいな列車のようなものに、アセラ・エクスプレスなるものがあるが、まあ限定的じゃからの」
ロイ:「あそこの車内販売限定サンドイッチは美味でしたね」
村上:「うむ」
敷島:「へぇ!いいなぁ……」
ロイ:「シンディ様も是非御一緒に……」
シンディ:「私達は食えねーだろ、コラ!」
敷島:「まあまあ。村上博士は上野駅から何か駅弁でも?」
村上:「牛肉弁当ぢゃ」
敷島:(爺さん、元気!?)
村上:「これから死地に赴くに当たって、『テキにカツ(敵に勝つ)』為のゲン担ぎじゃわい」
敷島:「はあ……」
敷島は老博士の元気ぶりに少し呆れた。
アリス:「ねむ……」
アリスは大きな欠伸をした。
敷島:「着くまで寝てていいよ。その代わり、朝飯は抜きな」
アリス:「いや、食べるって」
まずは在来線改札口に入る。
朝早いということもあってか、多くの人で賑わうエキナカも今は人がまばらだ。
敷島:「朝飯は駅弁でいいな」
エミリー:「私が買ってきますよ」
敷島:「いや、お前達は荷物を見ててくれ」
エミリーとシンディは、大きなスーツケースを両手に2個ずつ持っていた。
まるで、これから海外にでも行くかのようだ。
……というのは日本人の観点で、もしかしたら、『帰国する』という見方の方が適切かもしれない。
もちろん、それぞれ中にあるのはRデコイなどのサブウェポンやロイド達の交換パーツなどが入っているのである。
敷島:「何がいい?」
アリス:「……ベーコンエッグ弁当」
敷島:「無ェよ!」
アリス:「『三元豚とんかつ弁当』」
敷島:「これか。朝から随分とボリューミーなの食うな。まあいいや」
敷島も自分のを探す。
敷島:「どれにしようかな……。おっ、『日本のおもてなし弁当』なるものがあるぞ」
アリス:「おもてなしする側が、されてどうするのよ?」
敷島:「うるせぇな。……おっ、『深川めし』も美味そうだ。これにしよう。あとはお茶を……」
アリス:「じゃ、お会計よろしくw」
敷島:「ちょw おまwww 自分の飯代くらい……」
だが、アリスは商品を敷島に託して行ってしまったのである。
エミリー:「あの、社長。そろそろ列車が来る時間ですので……」
敷島:「おっと!いけね!」
[同日06:30.天候:晴 JR大宮駅・新幹線ホーム→JR東北新幹線“やまびこ”41号9号車内]
〔17番線に、“やまびこ”41号、盛岡行きが10両編成で参ります。この電車は途中、宇都宮、郡山、福島、仙台と仙台から先の各駅に止まります。グリーン車は9号車、自由席は1号車から7号車です。まもなく17番線に、“やまびこ”41号、盛岡行きが参ります。黄色い線まで、お下がりください〕
自動接近放送がホームに響き渡る。
敷島:「エミリー。リンとレンはもう列車に乗ってるかな?」
エミリー:「はい。予定通り、乗車しております。あと、上野駅からは村上博士とロイが乗車しました」
敷島:「上野から?珍しいな。ついリン・レンと一緒に東京駅から乗るか、平賀先生と一緒に仙台駅から乗るかのどっちかだと思ってたのに……」
エミリー:「東京でのご自宅が京成線の沿線にあるみたいですよ」
敷島:「ふーん……?まあ、東京都心大学に行くには、上野から地下鉄に乗ってもいいのか」
エミリー:「そういうことですね。都営浅草線直通に乗っても良いみたいです」
敷島:「都営浅草線で行けたっけ?」
敷島が首を傾げていると、列車がやってきた。
東北新幹線では最古参となったE2系である。
敷島:「平賀先生みたいな人ならグランクラスでもいいと思ったんだけど、E2系じゃ無いからな」
アリス:「じゃ、アタシが代わりに乗るわ」
敷島:「だから無ェっつってんだろ」
〔「おはようございます。大宮ぁ、大宮です。17番線に到着の電車は6時30分発、東北新幹線“やまびこ”41号、盛岡行きです。……」〕
ドアが開いて列車に乗り込む。
シンディ:「社長、荷物はここに置いていいですか?」
敷島:「いいよ。盗難防止装置は作動させとけよ」
シンディ:「はい」
デッキには大きなスーツケースを置いておくスペースがある。
当然ながら客席からは見えない位置となるので、防犯については考える必要がある。
村上:「よお!おはようさん」
ロイ:「おはようございます」
敷島:「村上教授、おはようございます」
エミリー:「社長方の御席はこちらです……って」
本来、敷島とアリスが座る席には何故か鏡音リンとレンがいた。
しかも2人とも、携帯型ゲーム機に夢中だ。
エミリー:「おい」
シンディ:「あんた達……」
鏡音リン:「……あ。殿、温めておきました!」
リンとレンは慌てて席を立った。
エミリー:「アホか!」
シンディ:「あんた達の席はこっち!」
エミリーとシンディが鏡音姉弟を退かした。
そんなことしている間に、列車が走り出す。
エミリー:「本当にあんなので役に立つのですか?」
敷島:「まあ、やってみなきゃ分からんさ」
村上:「おお〜、敷島社長とアリス君も駅弁じゃな」
敷島:「旅の楽しみですからねぇ……」
アリス:「アムトラックじゃ、なかなか売ってないもの」
村上:「アムトラックか。だがその代わり、向こうには日本では無くなった食堂車があるではないか」
アリス:「そうね」
敷島:「それは羨ましい。またアメリカに行く機会があったら、今度はグレイハウンドバスじゃなく、アムトラックに乗ってみようかな」
アリス:「タカオ、本来なら車かアメリカン航空で移動するのが普通だからね?」
実はそうである。
映画の“ホームアローン”シリーズでも、主人公を置いてけぼりにした家族は、国内旅行でも飛行機を使っていた。
中流の上以上の家庭では飛行機を使い、中流の下以下の家庭ではバスか鉄道というのが向こうのセオリーである。
……日本と同じか?
敷島:「向こうには新幹線が無いからいいの」
村上:「日本の新幹線みたいな列車のようなものに、アセラ・エクスプレスなるものがあるが、まあ限定的じゃからの」
ロイ:「あそこの車内販売限定サンドイッチは美味でしたね」
村上:「うむ」
敷島:「へぇ!いいなぁ……」
ロイ:「シンディ様も是非御一緒に……」
シンディ:「私達は食えねーだろ、コラ!」
敷島:「まあまあ。村上博士は上野駅から何か駅弁でも?」
村上:「牛肉弁当ぢゃ」
敷島:(爺さん、元気!?)
村上:「これから死地に赴くに当たって、『テキにカツ(敵に勝つ)』為のゲン担ぎじゃわい」
敷島:「はあ……」
敷島は老博士の元気ぶりに少し呆れた。