報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「ガチ勢の皆さん、邪教折伏は慎重に!」

2018-06-09 20:19:40 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月13日08:55.天候:晴 東京都豊島区南池袋 日蓮正宗・正証寺]

 威吹は三門前の階段に腰掛けて、煙管に火を点けていた。
 本来は禁煙なのだが、今時煙管など見たことがある者は無く、誰も威吹を注意する者はいなかった。

 威吹:「む!?」

 その時、威吹の長くて尖った耳がピクッと動いた。
 そして、石段から立ち上がる。
 明治通りからバタバタと走って来る2人連れがいた。
 威吹はその2人に見覚えがあった。

 威吹:「キノ!栗原氏!」
 キノ:「妖狐の威吹!?何で、オメェが!?」
 威吹:「それはこっちのセリフだ!」
 栗原江蓮:「間に合った!それじゃキノ、行って来る!」
 キノ:「おうっ、行って来い!」
 栗原:「威吹さん、おはざーっす!」
 威吹:「あ、ああ」

 日本人離れした顔立ちはしているものの、一応は日本人である栗原江蓮。
 彼女もまたこの正証寺の信徒である。

 キノ:「オメェがここにいるということは、ユタが一緒か」
 威吹:「そういうことだ」

 キノ。
 本名は蓬莱山鬼之助。
 八大地獄の1つ、叫喚地獄を総べる獄長家の長男である。
 赤鬼の一種で、全身赤銅色の肌をしている。
 これは地獄界の炎によって、獄卒も肌が焼けるからである。
 下級獄卒だと一張羅に金棒というイメージだが、キノは威吹と同じく着物に袴を穿いている。
 獄卒でも、幹部級でないと許されない帯刀も許されている身分である。
 が、ここでは威吹と同様に帯刀していない。
 剣の腕前は妖狐族でも剣豪とされる威吹と、互角に戦えるほど。
 指導者としての腕も一流で、栗原江蓮を高校女子剣道部埼玉県大会で優勝させるほどである。
 もっとも、最初は剣道着で汗だくになって練習している江蓮に萌えたのが始まりらしいが。
 キノに不純な動機で鍛え上げられた江蓮は当作品初登場時、大石寺の奉安堂に突入しようとしたケンショーレンジャーを手持ちの木刀でボコボコに返り討ちにしたという武勇伝を持つ。
 ていうかこれも、礼拝所不敬罪の未遂罪……。

 威吹:「ていうか今の読者は、上記の説明だけでも思い出せないくらいに忘れてると思うぞ?」
 キノ:「あぁっ!?」

 本来、キノと栗原は他作者の作品からのゲスト出演であった。

 キノ:「ていうか魔界で隠居同然のオメェが、どうして今更ここにいるんだ?」
 威吹:「まあ、色々あってな……」
 キノ:「てか、あの魔女達はどこ行った?」
 威吹:「別行動してるよ。理由は……あ、ちょうど来た」

 そこへあの聖ジャンジョン教会の街宣車が通りがかった。

〔「こちらは敬虔なるキリスト教団、聖ジャンジョン教会である。我らが崇高なる神、イエス・キリストに抗う魔女共に告ぐ。直ちに神への抵抗を止め、我らと共に神の御前に……」〕

 キノ:「何だ、うっせーな!」

 街宣車はゆっくりと三門の前を通過して行った。

〔「日蓮正宗の皆様、悪いことは申しません。どうか、隠匿している魔女達を差し出してください。魔女達を隠匿することは、仏道修行の妨げにもなるはずです」〕

 威吹:「それは言えてるかもしれん」
 キノ:「おい!w」

〔「御町内の皆様、こちらは聖ジャンジョン教会です。本日、日曜礼拝を早めに切り上げ、魔女達の征伐に馳せ参じました。お騒がせしてしまっていることを、心よりお詫び申し上げます」〕

 キノ:「いいのかよ?ミサを早めに切り上げて!?www」
 威吹:「一応、徳川家康は切支丹共には無関心だったんだがな」
 キノ:「向こうにとっちゃ、俺達ゃ悪魔の一種扱いだぜ?」
 威吹:「そうなのか。一応、オレは稲荷大明神の使い狐の資格は持ってるぞ?」
 キノ:「国家資格みてェに言うな。オレだって、地獄界の獄卒だ。今や、閻魔庁勤務だぜ?」
 威吹:「オマエも官吏みたいなこと言うなァ」
 キノ:「いや、オレの場合、マジで官吏職だって」

 しばらくすると、街宣車はそのまま走り去って行った。
 さすがに警察沙汰などは避けたいらしい。

 威吹:「要するに、魔女達は既にあの切支丹共に正体を知られているので、ここには来れないわけだ」
 キノ:「世知辛いことしてくれる連中だぜ」

[同日10:30.天候:晴 正証寺三門前]

 本堂からぞろぞろと信徒達が出て来る。

 稲生:「威吹、お待たせ。……あっ、キノ!」
 キノ:「よお。湘南江ノ島で、危うくキモヲタ痴漢覗き野郎の疑いを掛けられたユタ!」
 稲生:「やめてくれっ!」
 威吹:「キノ!」
 キノ:「ひゃはははっ!」
 稲生:「この鬼!」
 キノ:「鬼だ。文句あっか」

 もちろん、人間界においては角を隠している。
 威吹も稲生より高身長だが、キノはその上を行っている。
 威吹でやっと身長170cm超えだという。
 もっとも、江戸時代ではそれでも高身長者扱いだっただろうが。
 キノは更にその上を行く。
 よく、御伽噺でも鬼はかなり良い体格の表現をされるが、キノとて例外ではなく、どことなく華奢な感じをさせる威吹とは違い、完全に着物の下は筋骨隆々の鬼に相応しい雰囲気を出している。
 藤谷も体格の良い人間ではあるが、こちらはどちらかというと脂肪をイメージさせる部分もある(実際はそれなりに筋肉質ではある)。

 キノ:「オメェのもっと恥ずかしい所、読者に暴露してやる。まず……」
 稲生:「わーっ!」
 栗原:「おい、キノ。いい加減にしろ」
 キノ:「おおっ、江蓮!待ってたぞ!」

 愛しの栗原江蓮が出て来ると、途端にキノはデレッとなる。

 栗原:「稲生先輩、サーセン。相変わらずキノは、ドSで……」
 稲生:「まあ、しょうがないよ」
 威吹:(逆に嗜虐性が旺盛でないと、獄卒は務まらんだろうがな)

 キノは江蓮の肩と腰を抱いた。

 キノ:「そんじゃーよ、オレはこれから江蓮とデートがあっからよ、あばよ」
 稲生:「さ、さよなら……」
 威吹:「あれで獄卒が務まるんだぞ?信じられるか?」
 稲生:「栗原さんが段々人間じゃなくなってくるような気がしてしょうがない……」
 威吹:「いずれは女の鬼と化すんだろうな、きっと。いや、ボクはまだ見たことないけど」

 もっとも、稲生だって今は老化がほぼ止まっている状態。
 これを人外化と言わずして何であろうか。

 稲生:「とにかく、早いとこ先生に連絡してワンスターホテルに行こう」
 威吹:「おっ、そうだね。そろそろ、ボクもさくらや威織が心配だ。早く帰ってあげないと……」
 稲生:「さすが威吹、父親だねぇ……」

 稲生と威吹は正証寺を出ると、池袋駅の方向へ歩いた。
コメント (7)
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幕間 20180609

2018-06-09 19:58:03 | 日記
僧侶を投げ飛ばし「礼拝所不敬容疑」で逮捕 檀家の男

 礼拝所不敬容疑なんて、恥ずかしながら私はこのニュースで初めて知った。
 普通の器物損壊罪とか、そういう話では無いのか。

 いや〜、危なかった〜。

 というのは、実はこれからケンショーレンジャーが御講に乱入して正証寺の御本尊に手を掛けるというストーリーにするところだったのだ。
 そして藤谷が、
「てめぇら!器物損壊罪と威力業務妨害だっ、この!」
 と叫ぶシーンがある。

 危うくOKテイク出すところだったが、藤谷のセリフは大きな誤りだということに気づいたので、ケンショーレンジャーの登場シーンから書き直そうと思う。
 幸い、分岐ルートは作ってあるので、これを流用することにする。

 因みにこの礼拝所不敬罪、本来は礼拝所及び墳墓に関する罪の中にカテゴリーされるものである。
 これの他に、説教等妨害罪なんてのもある。
 詳しくはウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BC%E6%8B%9D%E6%89%80%E5%8F%8A%E3%81%B3%E5%A2%B3%E5%A2%93%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E7%BD%AA)をご参照あれ。
 説教等妨害罪、これはつまり、あれだ。
 日蓮正宗においては御講中に御住職の話を妨害したり、大石寺における布教講演を妨害したりすると成立するわけである。
 顕正会においては、浅井会長の話を妨害すると成立するのだろうな。
 だからアンチ顕正会の皆さん、いくら浅井会長憎しと言えど、日曜勤行や総幹部会に乱入してはいけない。
 今の顕正会は恐らく隠蔽することなく、むしろ積極的に警察に訴え、思いっ切り被害者ヅラすることだろう。
 そんなんで逮捕歴が付いたんじゃ、人生損だよ。

 ……と思っていたら、うちの主人公達もやらかしてたw

  https://blog.goo.ne.jp/localfor/e/017e2c1eec3bcebfe488d6608012a263

 とにかく、日本の法律は違反したところで、「知らなかった」では済まないのが現実だ。
 「無知は馬鹿を見る」とは、私のかつての上司の言であるが、こと法律に関しては大きく肯定せざるを得ないのである。
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