報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「帰省2日目の温泉旅行」

2024-02-01 11:55:33 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月25日08時00分 天候:晴 宮城県仙台市若林区某所 愛原家2階・愛原学の部屋]

 枕元に置いたスマホがアラームを鳴らす。
 私は手を伸ばして、そのアラームを止めた。

 

 リサ「おはよ、先生」

 隣でゴソゴソ動く感触がしたと思い、そちらの方を向くと、リサの緑色のブルマが目に飛び込んで来た。
 リサは脱いでいたジャージのズボンと上着を着始める。
 ていうか……いつの間にか寝ていたのか……ていうかもしかしてリサのヤツ、私のベッドに同衾してた???
 ベッドの中が、何となくリサの体臭がするのはその為だろうか。
 まさかとは思うが、『ぱんつはいてない』状態では?……と、思ったが、そんなことは無かった。

 リサ「先生も早く起きて。顔洗って、朝ごはんにしようよ?」
 愛原「あ、ああ……。そうだな」

 私もゴソゴソと起き上がった。

[同日8時30分 天候:晴 愛原家1階ダイニング]

 愛原学「おはよう」
 愛原母「おはよう。早く食べちゃいなさい」
 学「うぃーす」

 私の隣に座るリサは、さすがに今は私服である。
 黒いTシャツに、デニムのショートパンツを穿いていた。

 リサ「いただきまーす」
 愛原母「リサちゃん、その恰好で寒くないの?」
 リサ「いえ、全然大丈夫ですよ」
 愛原父「若いっていいねぇ……」
 学「そういう問題じゃないんだがな」

 BOWの体温は概して高いので。

 学「それより、今日は皆で出掛けるから、よろしくね」
 母「はいはい。やっと学も、旅行に連れて行ってくれるようになったわねぇ……」
 学「近場で申し訳ないんだけどね」
 愛原父「この歳になると、遠出がキツいから構わんよ。今じゃ、電車やバスで1時間が精々だ」
 学「そうかい。それなら、ちょうどいい距離かもしれないね」
 父「ほお、そうか。学のことだから、変な所に連れて行かれるとか思ったんだがな」
 学「い、いや、そんなことはないよ!ちゃん往路は電車、復路は乗り換え無しの路線バスだ。心配無いよ」
 母「それとて、ちょっと安心できないのよねぇ……」
 父「うむうむ」
 学「リサ。息子を信用しない両親をどう思う?」
 リサ「親の記憶が無いわたしに聞かないでよ……」
 高橋「面白くていいと思います!」
 パール「同じく!」

 自称、毒親を持つ高橋とバールには好評なうちの両親なのだった。

[同日12時17分 天候:晴 仙台市若林区木ノ下 国分寺薬師堂前バス停→仙台市営バスJ320系統車内]

 電車の時刻にはやや早いが、仙台駅周辺で昼食を取ってから行こうという話になった。
 市街地へは地下鉄で行くのが最も早いが、前期高齢者の両親から見ても、地下鉄の駅のアップダウンは足にキツいらしい。
 仙台市地下鉄東西線は新しい地下鉄なので、全ての駅に地上からアクセスできるエスカレーターやエレベーターが設置されている。
 それでも、やや面倒な所はあるという。
 それが路線バスなら、速度は遅いが、階段の昇り降りは乗降時のみで良いというメリットがある。
 その為、今回、仙台駅には地下鉄ではなく、バスで行くことにした。
 帰りはバスがあればそうするが、無い場合はタクシーに乗ってもいいかもしれない。

 リサ「バスが来た」

 大型のノンステップバスがやってきた。
 隣の薬師堂駅が始発である為、既に先客が何人か乗っている。
 だが、ほとんどガラ空きであった。

 愛原「ここのバスは後ろから乗って、SuicaやPasmoを当てるんだ」
 リサ「埼玉のバスと同じだね」
 愛原「そういうことだ」

 バスに乗り込むと、客層はやっぱりシニア世代が多い。
 前降りの為、だいたいが前の方に座っている。
 とはいえ、さすがに運転席後ろの席には座っていなかったが。
 あれは大型トラックに乗り降りするような感覚で着席するものだからだ。
 それで、私達は後ろの席に座った。

 リサ「先生、これ、都営バスじゃない?」

 隣に座るリサが、座席のモケットを指さして言った。
 すると、そこには都営バスのマスコットキャラ、『みんくる』のイラストがプリントされていた。

 愛原「本当だな……」

 仙台市営バスでは、自社オリジナルの新車の他、他社の中古車も導入している。
 大抵が他の公営バスであることが多い。
 そして今回は、元都営バスの中古車に当たったというわけだ。

〔発車致します。ご注意ください〕

 バスは中扉を閉めて発車した。
 私達が乗り込んだことで、バスの乗客数が2ケタに上がる。

〔ピン♪ポン♪パーン♪ 次は木ノ下四丁目、木ノ下四丁目でございます〕

 リサ「放送はさすがに都営バスのものじゃない」
 愛原「そりゃそうだろう」

 外装はちゃんと仙台市営バスのオリジナル。
 しかし、内装はあまりいじらないようである。
 運賃表示器とか整理券発行機、それとICカード読取機くらいか。

 リサ「公一伯父さんは一緒に来ないの?」
 愛原「来ないさ」

 そして、私はリサにそっと耳打ち。

 愛原「俺達が温泉旅行に行ってる間、またどこかへ逃亡するつもりだろう」
 リサ「な、なるほど」
 愛原「俺達は温泉旅行に行ってたから知らんという言い訳もできる」
 リサ「そういうことだったんだね」

[同日12時30分 天候:晴 仙台市青葉区中央 仙台駅前バス停(60番)→仙臺ラーメンみそ壱]

 バスは仙台駅前バス停に到着した。
 かつては中央1丁目の交差点を左折した所にあるバス停に到着していたが、今はその手前、愛宕上杉通上のバス停に到着する。

 父親「ラーメンでも食べてから行くか」
 学「結構、シンプルだね?」
 父親「それでいいだろ。旅館に着いたら、夕食は刺身とか立派な料理が出て来るんだろ?だったら、昼はシンプルでいいんじゃないか?」
 母親「それと、お父さんがラーメン好きというのもあるわよね」
 高橋「実は俺もです!」
 学「あー、高橋はそうだろうな」

 バスを降りて、愛宕上杉通の反対側に横断する。
 仙台ロフトの前を歩く。

 父親「とりあえず、ここで仙台ラーメンを御馳走しようかな」
 パール「御馳走様です」
 リサ「おー!ラーメン!」
 高橋「先生、隣のP-STATIONってパチ屋、結構出るんスか?」
 学「日曜日の夜なら割と出やすく……」
 母親「他に言う事無いんかい!」

 私達はラーメン店に入ることにした。
 さすがに隣のパチンコ屋への入店は許されなかったが。

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