報恩坊の怪しい偽作家!

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“新アンドロイドマスター” 「新たなる展開」

2015-09-08 14:54:23 | アンドロイドマスターシリーズ
[9月1日10:00.天候:曇 宮城県仙台市青葉区・宮城県警察本部 敷島孝夫、平賀太一、1号機のエミリー、3号機のシンディ]

 平賀とエミリーは約束通り、ヘリコプターで仙台まで送ってもらった。
 鷲田警視は、半死半生で東京都内の警察病院に搬送されていると敷島は村中から聞いた。
「もはや警察の手に負えないからと、こちらで対応に当たってもいいんですか?」
「あまり、大々的にはやらないでくれよ?」
「さいたま市の避難指示が解除になる今日か明日までが勝負ですかね」
 実際は敷島達が動けるのは新幹線が運転再開になってからだろう。
 だが、それは難しそうだった。
 何故なら……。
「いや、それが敷島さん。実は今日、ヘリで大宮の上空を飛んでみたんですがね、どうも大宮駅から北の辺り……」
 平賀は手持ちのタブレットで、その周辺の地図を出した。
「この辺りなんですけど、結構やられてたんですよ」
「えっ?」
 それはJR宇都宮線の土呂駅から、東武野田線の北大宮駅に掛けて。
 それとプラス、大宮公園駅もかなり大変なことになっているようだとのこと。
「土呂って、近くに新幹線も走ってるでしょう?何かしらの影響があるようです」
「マジですか。参ったなぁ……」
 敷島が困った顔をしていた。
「東北道辺りは大丈夫なので、車を借りて行くか……ですね。現に、高速バスは通常通りに運転再開しているようです」
「あー、そうか。東北道はさいたま市……といっても、岩槻とかの東側の郊外を通りますからね。ケンショーレンジャーの被害も軽微だったわけですか。井辺君は確か、MEBAbyte達を連れて仙台駅付近にいるはずだな……」
 敷島は手持ちのスマホを取った。
「あー、もしもし?井辺君かい?実はちょっとお願いがあるんだけど……」

 敷島が井辺と連絡している間、シンディは姉機の異変に気付いていた。
「どうしたの、姉さん?どこか不具合でも……?」
 椅子に座って俯いているエミリーに声を掛けた。
「何でもない。平気。どこも・不具合は・無い」
 エミリーは顔を上げて、妹機に答えた。
「埼玉で何かあったの?平賀博士の話しぶりだと、何にも無かったみたいだけど……」
「ドクター平賀の・仰る通り。何も・ない」
「そう。それならいいけど……」
「シンディは……」
「ん?」
「シンディは・キールを・撃ったのは・何故?」
「何故って、そういう命令だったからよ。社長の。……あー、それ気にしてたワケ?うーん……かつての姉さんのオトコを撃っちゃって申し訳無いんだけど、そういう命令だったからさぁ……。文句は社長に言ってよね」
「……シンディは・悪くない」
「分かってくれてありがと。だけどさ、アタシにそういう命令が来てるってことは、もうキールは許されないってことだよ?」
「…………」
「だから、もうきれいサッパリ諦めなって。ね?これから執事ロボットは、デイライト・コーポレーションで生産されるみたいだし、いいオトコが作られるよ、きっと!」
「そういう・問題じゃ……」
 エミリーが立ち上がろうとして、
「!? 姉さん!?」
 バタッと床に倒れた。
「どうしたの!?」
「!?」
「不具合のアラームが……!」
 平賀が持っているタブレットから、エミリー遠隔監視のアプリが自動で立ち上がり、エミリーに不具合が発生したことを伝えるアラームが鳴動した。

[同日同時刻 JR仙台駅西口・パルコ 井辺翔太、MEGAbyte、8号機のアルエット]

「……分かりました。では、ちょっと仙台駅に行って確認してきます。……はい、失礼します」
 井辺はMEGAbyteとアルエットを連れて、駅前のショッピングセンターに来ていた。
 仙台市内で足止めをされた為、少し市街地で遊んで行くことにしたのだ。
 MEGAbyteの3人やアルエットは、年相応の人間の少女達らしく、新しい服などを見て回っている。
 アルエットは表向き、井辺やMEGAbyteの護衛役だが、設定年齢が中高生並みで、着ている服もそれ相応とあれば、とてもそんな風には見えない。
「すいません、皆さん。ちょっとこれから仙台駅に行ってきます。すぐ戻りますので、館内で待っててください」
「はーい」
「アルエットさんはMEGAbyteの皆さんを見ててください」
「りょーかい」
「一緒に服は選んでていいですよ?」
 という言葉も井辺は忘れなかった。

 井辺が仙台駅構内に入ると、平賀の予想通り、東北新幹線は大宮駅から北の方に少し行ったところで、ケンショーレンジャーの破壊活動により、高架橋が損傷した為、今日も終日運転を見合わせるという。
 運転しているのは新青森から、折り返しのできる宇都宮までという有り様だった。
 宇都宮からは東武宇都宮線に乗り換えて都内を目指すか、JRバスなどが運行する代行バスに乗り換える必要がある。
(一体、社長は何をお考えなんだろう?)
 と、井辺は首を傾げた。
 “みどりの窓口”は案の定、新幹線の払い戻しや今後の運行状況を尋ねる利用者で大混雑している。
 井辺が向かった先は、東口のJRバス乗り場。
 しかしそこも新幹線代行バスの関係で混雑している。
 井辺はまずそこで、とある行き先のバスについて確認した。
 それは、敷島達の帰る先とはてんで違う方向。
 それに関する時刻表などが記されたパンフレットだけを持ち帰る。
 その後で向かった先はJTB。
 そこで鉄道の乗車券を購入したようだが、何が何だか分からない。
 井辺曰く、
「平日なので、簡単にキップが取れましたねぇ……」
 とのこと。
 休日だとキップが取りにくい所にでも行くのだろうか。
「さて、戻るとしましょう」
 井辺は手にした乗車券の束を手に、パルコへと向かった。

[同日11:00.東北工科大学・研究棟 平賀太一、敷島孝夫、1号機のエミリー、3号機のシンディ]

「ふーむ……。ボディ自体に損傷は無い。感情レイヤーに不具合か?うーん……」
 平賀は頭を抱えながら、エミリーの修理に当たっていた。
 研究室の外では……。
「アタシがキールを撃ったりしたから……」
 シンディが頭を抱えていた。
「いや、お前のせいじゃないぞ。キールを撃ったおかげで、キールが撃ったレーザービームもハズれたんだからな。いっそのこと、キールに関する“記憶”を全部消した方がいっそ楽なんだけどなぁ……」
 そうした場合、全てのメモリーに整合性を取らないと、今度はメモリーにも不具合を出してしまう。
 今現在、そんな細かくて手間の掛かる作業をしている場合ではない。
「ここで俺達は待っているしかないんだ。井辺君が、俺の出した迂回での帰京ルートを確保してくれるはずだ」
「姉さんを置いて帰るの?」
「置いて帰るったって、エミリーは平賀先生がマスターなんだ。平賀先生は仙台市内に在住、エミリーもだ。で、俺達はエミリーが故障しても何もできない。俺達は俺達のできることをしないとな。明日は迂回ルートで東京に戻るぞ。マスコミの情報だと、明日も新幹線が復旧するかどうか怪しい」
「姉さん……」

 研究室内で修理を受けているエミリー。
(シンディ……。ゴメン……)
 研究室の外で待機している妹機の方を見て、そう思ったのはどんな意味があるのだろうか。

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