報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「風評被害、大変かと思われ」

2020-09-22 20:42:27 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月27日16:25.天候:晴 宮城県仙台市宮城野区福室 仙台コロナワールド(キャッスルイン仙台)]

 私達を乗せたタクシーは無事にホテルのエントランス前に到着した。
 料金は斉藤絵恋さんが持って来たタクシーチケットで払う。
 見ると、クレジット会社が発行しているチケットのようだが……?

 運転手:「はい、チケットのご利用ですね。では、御記入お願いします」

 私も使ったことの無いタクシーチケット、それをまだ中学生の絵恋さんが慣れた手つきでスラスラと書く。
 因みに私が若かりし頃、まだ警備会社に勤めていた時、当時の上司から面白い話を聞いたことがある。
 その上司は所謂バブル世代で、当時は全く別の仕事をしていたそうだが、その会社では若手社員でも自由にタクシーチケットが利用でき、接客態度の良い運転手に当たると、半分冗談でチケットの金額欄に0を1個、チップのつもりで書き足してやったそうだ。
 さすがにそれは運転手としてもマズいらしく、大抵の運転手が慌てて書き直させて来たそうだ。
 私はそんなことを思い出しながら、絵恋さんの記入を興味津々に見ていた。
 さすがに0を1個、書き足すようなことはしなかったが。
 しかし、そんな私の様子をリサがキッと睨みつける。

 リサ:「先生、あんまりジロジロ見ないで!」
 愛原:「す、すまん!」

 もちろん、アラフォーオヤジがJCの手つきに下心満載で見つめていたわけではない。
 純粋に昔の話を思い出していただけだったのだが、しかし当のJC側から見れば、エロオヤジがエロい目で見てキモい!とでも思ったらしい。
 私は慌ててタクシーから降りた。

 高橋:「先生、荷物は降ろしておきましたよ」
 愛原:「あ、ああ、すまない」

 助手席に乗っていた高橋が真っ先に降り、トランクから荷物を降ろしていた。

 高橋:「何かあったんスか?」
 愛原:「い、いや、俺みたいなオヤジが、思春期の女の子をジロジロ見るのはマズいなぁ……と」
 高橋:「先生は気にすることないですよ。リサにとっては御褒美でしょうし、ビアンガキにとっては、こっちはお守りしてやってるんスから、ガン見くらい先生にサービスさせろよって感じです」
 愛原:「……高橋、ちょっと日本語おかしいぞ」
 高橋:「ええっ!?」

 JC2人が降りて来る。

 リサ:「お待たせ」
 斉藤絵恋:「お待たせしましたー!」
 愛原:「じゃ、じゃあ早速チェックインしようか。悪いね。宿泊代まで出してもらって……」
 絵恋:「いいんですのよ。どうせ父が後で払いますから」
 高橋:「何なんスかね……。今ちょっと一瞬ムカついたんスけど……」
 絵恋:「文句あるのでしたら、お兄さんだけ別料金で」
 高橋:「あぁ!?何だ、レズビアン!」
 絵恋:「何か文句ありますか?バイセクシャルのお兄さん」
 愛原:「まあまあまあまあ!」

 LGBT同士が仲が良いとは限らない。
 中にはあの運動がウザい、静かにしてくれと言う方も、いらっしゃるらしい。

 絵恋:「うちのパールが、いつ結婚してくれるのかってうるさいんですけど?」
 高橋:「俺に聞くな!俺達の生殺与奪の権は、全て先生が握っておられる!」
 愛原:「俺はまだ許さないからな」

 私達にさんざんっぱら迷惑掛けて、まだ反省が足りない。
 反省文書かせるだけでは、まだ足りないな。

 フロント係:「いらっしゃいませー」
 愛原:「大日本製薬の斉藤で予約を取っている者ですが……」
 フロント係:「はい。斉藤様ですね」

 名義は斉藤社長になっているらしい。
 それにしても斉藤社長、よくこういう所にあるホテル、見つけたもんだ。
 多分、私達が泊まることで、何か斉藤社長に得な部分があるのだろう。
 まあ、確かに何だか宿泊料金は安い。
 しかも絵恋さん、またバッグからクーポン券みたいなものを出してるし。
 私ら庶民には理解できない金の動き方をしているぞ。
 言っておくが、料金的には高級ホテルとは言い難い。
 あくまでも、アミューズメント施設に隣接したビジネスホテルといった感じだ。

 絵恋:「では、お支払いはこれで」
 フロント係:「クーポンご利用ですね。ありがとうございます」
 絵恋:「有料チャンネルは自腹でお願いします」
 愛原:「ああ、分かったよ。多分観ないと思うけど」

 まさかホテルの有料チャンネルでホモビは無いだろうから、高橋が観ることもあるまい。
 ……いや、ベリーショートのメイドさんが【あれやこれ】するAVなら観るかも。

 フロント係:「それでは、こちらが御部屋の鍵でございます」

 このホテルには朝食会場があること、宿泊者は無料で大江戸温泉物語の施設が利用できるという説明を受けた。
 他にもゲームセンターやパチンコ屋があるが、それは全く別とのこと。

 愛原:「そうか。温泉に入れるのか。それじゃ、早速入りに行こうかな」
 高橋:「先生。風呂は夜にして、先に遊ぶという手もありますよ」

 高橋は右手で何かを掴むような仕草をした。

 愛原:「あー、コホン。その手もあるかなぁ……」

 私と高橋の会話の意味に、いち早く気づいたリサが言った。

 リサ:「2人でパチンコに行ったこと、高野さんにバレたら怒られるよー?」
 愛原:「リサ、後で口止め料払うから!」
 高橋:「俺も少し出します!」
 リサ:「私もサイトーと遊びたーい」
 愛原:「わ、分かった。ゲーセンでいいな?」
 リサ:「おー!」

 尚、仙台コロナワールドにはボウリング場もあるのだが、リサにはやらせない方がいい。
 人間形態でありながらその投てき力は凄まじく、ピンどころか、その先の機械を破壊してしまったことがあり、未だに某ボウリング場は出禁である。
 ゲーセンなら、まあ……パンチングマシンさえやらせなければ大丈夫か。

 愛原:「取りあえず、先に荷物を置いてこよう」

 私達はルームキーを手に、エレベーターに乗った。
 私と高橋はいつもの通り、ツインルームだが、リサと絵恋さんはクイーンルームらしい。
 文字通り、クイーンサイズのベッドがある部屋だ。
 そこに2人で寝ることになるわけだが、明らかに絵恋さんの意向が大きく働いているだろう。
 リサが間違って本当の意味で『捕食』しなければいいのだが……。

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “私立探偵 愛原学” 「新た... | トップ | “私立探偵 愛原学” 「皆で... »

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
あとがき (雲羽百三)
2020-09-22 22:33:11
 愛原達の前では明るく振る舞っているリサ。
 しかし学校では、極めて冷静に過ごしている。
 それは正体の露見防止に細心の注意を払っていることも去ることながら、同世代(肉体年齢として)に対する『食人衝動』を抑える為でもある。
 しかし、その反動でリサの周りでは怪奇現象が起きているようで……。

 https://www.youtube.com/watch?v=BayW7aXI0zI
(↑放課後のリサのテーマに打ってつけの曲を見つけた。ピアノ部分は至って穏やかであり、それはリサの人間形態を表している。しかし、時折流れる不協和音がリサの正体を表している)
返信する

コメントを投稿

私立探偵 愛原学シリーズ」カテゴリの最新記事