報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“戦う社長の物語” 「同時多発テロ」

2018-07-04 10:43:25 | アンドロイドマスターシリーズ
[6月24日02:00.天候:晴 東京都千代田区大手町 第2新東京ビルB1F防災センター]

 警備員A:「ふわぁ〜あ……!おはざーっす……」
 警備員B:「おい、大丈夫か?全然目ェ覚めてねぇぞ?」
 警備員A:「早寝はキツいよ。これからずっと起きてなきゃいけないんだから……」

 仮眠から起きて来た警備員Aはまた大きな欠伸をした。

 警備員B:「お前は明けで帰れるからいいんだよ。俺はサブロクでまた日勤だぞ?」

 警備業界ではよくある話。
 何が『働き方改革』だ。

 警備員B:「とにかく、俺も眠いから早いとこ代わってくれよ?」
 警備員A:「はいよ。何か申し送りある?」
 警備員B:「例の夜間作業が19階でまだ継続中。それから……」

 ズシャッ……ズシャッ……。

 警備員B:「地下3階の駐車場では……」

 ズシャッ……ズシャッ……。

 警備員A:「なあ。何か聞こえないか?」
 警備員B:「え?何が?」
 警備員A:「何か引きずる音……」

 ズシャッ!

 警備員B:「!?」

 その時、防災センターの受付に何者かがやってきた。
 カメラを見ると、黄色いヘルメットに青い作業着を着た者だった。

 警備員A:「こんばんは。夜間作業の方ですか?」

 しかし、作業服にヘルメットを被った者は俯いたままだ。

 警備員A:「あの……」

 Aが男の顔を覗き込もうとした時だった。
 男がバッと顔を上げた。
 その顔は半分が腐乱しており、もう半分は白骨化していた。
 それが防災センターにいた警備員達の最後の記憶だった。
 何故なら、防災センターが大きな爆発に巻き込まれたからだ。

[同日09:00.天候:曇 埼玉県さいたま市大宮区 敷島家]

 エミリー:「おはようございます。社長」
 敷島:「ああ、おはよう……」

 敷島は眠そうな顔で夫婦の寝室から出て来た。
 今日はキッチンメイドの当番に当たっているエミリーが、敷島とアリスの為に朝食を作っている。

 エミリー:「昨夜はお楽しみでしたか?」
 敷島:「今度、シンディから言ってもらおう。『俺の胸の上にオッパイ乗せて寝るな』ってな。重くてしょうがねぇ」
 エミリー:「それは何とも……」

 敷島が洗面所に行くと、隣の浴室からはシャワーを使う音が聞こえた。
 中からは某ジャイアン並みの歌声が。

 敷島:「あー、うるせっ。アリスのヤツ、相変わらずオンチだな」

 敷島はそう愚痴ると自分は顔を洗ったり、歯を磨いたりと朝の身支度。
 それが終わると着替えて、再びダイニングへ……。

 シンディ:「おはようございます。社長」
 敷島:「おう」

 シンディはトニーを抱き抱えていた。
 今日のナースメイド担当はシンディであるようだ。

 シンディ:「ほら、お坊ちゃま。お父様に御挨拶なさって」
 トニー:「はろー」
 敷島:「はろーじゃないだろ。『おはようございます』だ。言ってごらん」
 トニー:「こにゃにゃちは」
 敷島:「タモリか!絶対、これアリスがノリで仕込んだな。全く」

 敷島は呆れた感じでテレビのリモコンを取った。

 エミリー:「社長、お待たせしました。朝食でございます」
 敷島:「おっ、ありがとう。早速、食べたいところだが……アリスは何やってる?」
 シンディ:「はい、お坊ちゃま。こちらにお座りになって」
 トニー:「おて!」
 敷島:「その『おすわり』じゃねーよ!……おい、アリス!早いとこ食べようぜ!」
 アリス:「んもー、何よ。うるさいわねぇ……」
 敷島:「って、おまっ!?」

 アリスは全裸で出て来た。
 トニーという息子を1人生んでいるにも関わらず、体型は崩れていない。
 若いうちに生んだので、回復が早かったのか。
 それとも、民族性の違いか。

 トニー:「ままー」
 敷島:「いいから、早く服着てこい!」
 アリス:「バスト93センチ。揉む?」
 敷島:「昨夜、さんざんっぱら揉んだだろーが!」

 アリスが再び脱衣所に行っている間、敷島はテレビを点けた。

〔「……はい、こちら爆弾テロがあった現場です!昨夜2時から3時に掛けて、同時多発テロが……」〕

 敷島:「なんだ?またヨーロッパのどこかか?物騒だなぁ……」
 シンディ:「でも何か、背景の看板が日本語ですよ?」
 敷島:「漢字の羅列だろ?じゃあ、中国かな?」
 シンディ:「いえ、平仮名とカタカナも出てきましたけど……」
 敷島:「ん!?」

〔「……ええ、ではスタジオからもう1度お送り致します。昨夜2時頃、東京都千代田区大手町にあります第2新東京ビルの地下1階で爆弾テロと思われる爆発があり、これを皮切りに首都圏並びに……」〕

 アリス:「第2新東京ビル!?」

 アリスがバタバタと出て来た。
 今度は黒いタンクトップに、ショートパンツをはいている。

 敷島:「知ってるのか?」
 アリス:「知ってるも何も、DCJの本社が入っているビルよ!?」
 敷島:「な、何だってー!?」

〔「……日本全国11ヶ所におきまして、爆弾テロが発生しました。尚、全ての箇所において、(株)デイライト・コーポレーション・ジャパンの関係施設が狙われており、警察ではデイライト・コーポレーション・ジャパンを狙った同時多発テロと見て、捜査を始めています。尚、このテロに対して犯行声明などは出されておらず……」〕

 敷島:「! 科学館は!?科学館は大丈夫なんだろうな!?」

 敷島はチャンネルを変えた。
 日本で11ヶ所も起きた爆弾同時多発テロだ。
 テレビ東京以外どのテレビ局でも特番でこのテロ事件を報じていた。
 そして、その中に科学館を映したチャンネルがあった。

 敷島:「うあ……!」

 真夜中だから通用口から入ったのだろう。
 ここも警備室を中心に、事務室側が半壊させられていた。
 だが、こちらは人的被害は無いという。
 場所が場所だけに、真夜中はセキュリティロボットに任せて人間の警備員は仮眠に入るからである。
 仮眠室がやや離れた場所にあったのが幸いだったようだ。
 但し、セキュリティロボット3機は破壊された。

 敷島:「アルエットや萌は無事のようだな……」
 アリス:「誰よ!?こんなことしたの!」
 敷島:「KR団の生き残りか?……いや、でもな……」

 もしKR団の生き残りが犯人なのだとしたら、DCJもそうだが、まず敷島エージェンシーを狙って来そうなものだ。
 それに、犯行の仕方。

〔「……目撃者や監視カメラの映像によりますと、犯人は全て同じ格好をしています。青い作業服に黄色いヘルメットを被った、何かしらの作業員のような姿で……」〕

 敷島:「ん?黄色いヘルメットに青い作業服……?」
 エミリー:「東北の廃坑で会った、あの人と同じです」
 敷島:「おお、そうだ!……てことは!?」
 シンディ:「デイジーが関わっているってことね」
 

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