報恩坊の怪しい偽作家!

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“愛原リサの日常” 「国道139号線の戦い」 2

2020-01-23 15:15:10 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月3日16:00.天候:晴 静岡県富士宮市 国道139号上]

 隠れていたトラックのコンテナのドアがこじ開けられ、そこから一匹のハンターがやってきた。
 緑色の鱗に覆われ、明らかに爬虫類を思わせるその風貌だが、大人のゴリラのような体形で、太い両手の先には鋭い爪が生えている。
 アンブレラ全盛期の頃に造られたスタンダードタイプのαである。
 とはいえ、リサから見れば下級のBOW(Bio Organic Weapon.生物兵器のこと)。
 上級のBOWであるリサが一睨みすれば、怯むのである。

 リサ:「私を誰だと思ってるんだ?」
 ハンター:Σ(゚Д゚)
 リサ:「でやぁーっ!」

 リサは第1形態の姿(鬼娘)になると、その力を利用してハンターを殴りつけた。
 ハンターはトラックから落ちる。

 リサ:「サイトー、今のうちに!」
 絵恋:「う、うん!」

 リサは絵恋を背負うと、それでトラックの上にヒラリと跳び上がった。
 トラックの周りにはハンターだけでなく、ハンターによってゾンビにされた人々もいた。
 “青いアンブレラ”のヘリが上空を旋回しているが、恐らく生存者がいるものと思って、攻撃できないのだろう。
 リサはそのまま、立ち往生している車の屋根を飛び移って市街地の方向に走り出した。

 “青いアンブレラ”ヘリパイロット:「至急!至急!現場より、リサ・トレヴァーの反応あり!目視の限りでは、生存者を1名連れ出したもよう!」
 本部:「リサ・トレヴァーが暴走したのか!?」
 同パイロット:「そこまでは確認できず。しかし、ハンターや感染者達はリサ・トレヴァーを攻撃対象としているもよう!」
 本部:「恐らく連れ出している生存者が目的だ。リサ・トレヴァーの行動を監視しつつ、生存者の確保を優先に当たれ」
 同パイロット:「了解!」

 1機のヘリコプターがリサ達を追う。

 リサ:「? どうして下りて助けてくれないの?」
 絵恋:「リサさん!後ろから化け物が!」
 リサ:「!」

 リサが振り向くと、ハンターが数匹リサ達を追跡して来ていた。

 リサ:「あいつら!」
 ハンターβ:「ガァァァァッ!(美味そうな人間がいるぞ!)」
 ハンターγ:「ヒューッ!(俺んだ!)」
 ハンターα:「……!……!!」(←リサの顔面パンチのせいで歯を折られ、声にならない叫びを上げている)
 リサ:「お前ら!誰の命令でこんなことやってるの!?」
 絵恋:「命令?」

 ヘリパイロット:「報告!どうやらハンター達はリサ・トレヴァーへの攻撃を命令されているもよう!しかし、その理由は不明!」
 本部:「リサ・トレヴァーを倒すにはロケットランチャーが必要だ。それも、一発だけで倒せるかどうかの保証も無い。にも関わらず、何故リサ・トレヴァーにとってはザコ同然のハンターを投入したのか……」
 ヘリパイロット:「背中には相変わらず生存者を背負っている。リサ・トレヴァーごとハンターを攻撃することは可能だが、生存者が人質状態である為、攻撃は不可能。本部よりの指示を待つ」
 本部:「了解。リサ・トレヴァーは他の生存者を襲っているか?」
 ヘリパイロット:「確認できない。ハンターは通過の際、逃げ遅れた生存者を襲ったりはしているが……」
 本部:「了解。可能ならば、リサ・トレヴァーと生存者を確保せよ」
 ヘリパイロット:「無理だ!ハンター達を駆除しないと、こちらの安全が確保できない!しかし、まだ一般人の避難は完了していない!このまま攻撃すると、一般人を巻き添えにする恐れがある」

 絵恋:「きゃああっ!リサさん!化け物が!化け物がーっ!!」
 リサ:「!!!」

 ハンターβという赤いタイプのハンターの手が絵恋に届きそうだった。
 実はリサ・トレヴァーというBOWは、そんなに動きが速くない。
 瞬発力や跳躍力に優れてはいるのだが、アメリカのオリジナルタイプはそうだった。
 なので突入した特殊部隊員達を翻弄しつつも、彼女が退却する彼らに追い付いたという記録は無い。
 こっちのリサは、日本アンブレラがアメリカ本体の背中を見ながら開発した為それよりは足が速いはずだが、やはり絵恋を守りながら移動している為、遅くなっているのだ。

 ヘリパイロット:「本部!ハンターβがリサ・トレヴァーを確保したもよう!」
 本部:「いかん!生存者を救出せよ!」
 ヘリパイロット:「了解!直ちに降下する!……あっ!?」
 本部:「どうした!?」

 ヘリパイロットが見たのは、絵恋に手を掛けようとしたハンターβが感電する所だった。

 ヘリパイロット:「報告!ハンターβが感電したもよう!」
 本部:「は?どういうことだ?」
 ヘリパイロット:「詳細は不明。ハンターβが生存者に触れた途端、感電したもよう」
 本部:「まさか!?リサ・トレヴァーに高圧電流を放つという能力は無いはずだ!」

 リサもリサで驚いたらしい。

 リサ:「!? 今、何が起きた!?」
 絵恋:「リサさぁん!怖いよぉぉ!」
 リサ:「わ、分かった。ここで奴らを迎え撃つ!」

 リサは絵恋を地面に下ろした。

 リサ:(電線か何か、この近くに?いや、だったら私やサイトーも感電したはず……)

 近くに感電しそうなものは無かった。
 しかし実際、ハンターβは明らかに感電死している。

 “青いアンブレラ”隊員:「伏せろ!」

 ヘリから降下した“青いアンブレラ”の隊員が、ハンター達に向かって銃を放つ。

 本部:「本部から全隊員に連絡。BSAAが現着した。現時点を以って、我々はオブザーバー側に回る。交戦中の隊員以外は、一旦本部へ帰隊せよ。繰り返す」
 隊員:「了解!……早く、こっちへ!」
 リサ:「ハンターを倒さないの!?」
 隊員:「我々はあくまでも民間軍事会社だ。国連軍が投入された以上、俺達も民間人のようなものだ!」

 BSAAは正式には国連軍ではないのだが、その軍事的組織からそのように見られる節がある。
 また、紛争地帯にてバイオテロの発生やBOWの投入が確認された場合は、国連軍と協力して軍事活動をすることもある為、一概に違うとは言い切れない。
 追い掛けてくるハンター達に対し、“青いアンブレラ”隊員は煙幕弾を放って目くらましさせたり、それが効かないタイプには電撃グレネードを放ったりして動きを止めた。

 隊員:「リサ・トレヴァーと生存者を確保!」
 ヘリパイロット:「了解!離陸する!」

 リサ達がヘリに乗り込むと同時に、ヘリが離陸した。

 ヘリパイロット:「報告!リサ・トレヴァーの確保と生存者を1名救助した。直ちに本部に帰隊する。尚、生存者には外見上の外傷は見当たらず」
 本部:「よくやった。吉報に感謝する」
 隊員:「本当にキミが、あのリサ・トレヴァー?」
 リサ:「はい。サイトー……友達の前では、あまり私の正体について言わないでください」
 隊員:「友達なのか?このコもBOW?」
 リサ:「いえ。このコは人間です」

 リサが絵恋を見ると、絵恋は意識を失っていた。

 隊員:「ハンター達はキミへの攻撃を命令されていたようだ。何か心当たりは無いか?」
 リサ:「私への攻撃ですか?サイトーへの攻撃じゃなく?」
 隊員:「何だって!?このコは一体誰なんだ?」
 リサ:「大日本製薬の社長さんの娘さんです」
 隊員:「あのダイニチの。それなら……いや、しかし……」

 隊員は一瞬納得しかけたが、やはりどこか腑に落ちないらしい。
 大企業家の令嬢ともなれば、誘拐の対象になったりすることもあるだろう。
 それにしたって、さすがにBOWの投入はやり過ぎだと思うからだ。

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