報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「BOWがやってきた」

2018-08-04 10:31:53 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月1日11:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原の事務所]

 私の名前は愛原学。
 都内で探偵事務所を経営している。
 連日、東京は異常な暑さであるが、画面の前のクライアントの皆さんは如何お過ごしであろうか。

 愛原:「あっちぃーな……」
 高橋:「はい、暑いです」
 高野:「夏だからしょうがないじゃないですか。今はまだこの事務所、クーラーが入ってるからいいですけどね、このまま仕事が無いとクーラーが使えなくなりますよ」
 愛原:「何だって!?それは困る!……とはいえ、仕事の依頼が無いとなぁ……。探偵が営業活動するというのは……」
 高橋:「俺が昔のチームに頼んで、何とかさせますか?」
 愛原:「どうするんだよ?」
 高橋:「取りあえず、車上荒らしと自販機荒らしとオレオレ詐欺やらせますので、それを先生が捕まえるというのは?」
 愛原:「バレたら俺までタイーホされるからやめなさい。だいたい……」

 と、そこへ事務所の電話が鳴った。

 高橋:「おっ、電話です。はい、もしもし。愛原学探偵事務所です」
 ボス:「私だ」
 高橋:「渡さんですか?失礼ですが、どちらの渡さんで?」
 ボス:「高橋君、キミは相変わらずボケのセンスが無いな」
 高橋:「あぁ!?」

 すると、高野君がパッと高橋君から受話器を取り上げた。

 高野:「失礼致しました。ワタシ様ですね!すぐ、先生にお取り次ぎ致します!」
 ボス:「お、おい!だから、私は……」

 高野君、ボスが言い終わる前に保留ボタンを押す。

 高野:「先生、久しぶりのワタシさんからですよ」
 愛原:「ああ、分かった」

 私は自分の机の上の受話器を取った。

 愛原:「お電話代わりました。愛原です」
 ボス:「私だ。キミの所の事務所は、もう少し電話対応について教育した方が良い」
 愛原:「こりゃどうもすいません。それで、今日はどのような仕事の依頼で?」
 ボス:「(私の苦言を軽く流しやがった……(-_-;))ああ、うむ。実はキミ達が対応した、仙台市郊外におけるバイオハザードに関連する仕事だ」
 愛原:「するとまた、銃をバンバン撃つ仕事になるってことですか?」
 ボス:「キミ達が対応を誤り、最悪な事態に陥った場合はそうなる」
 愛原:「? どういうことですか?」
 ボス:「キミと共に行動した、BOWの少女がいただろう?」

 BOWとは『Bio Organic Weapon』の略で、人工的に作り出された生物兵器のことである。

 愛原:「あ、はい。リサですね。彼女がどうかしましたか?」
 ボス:「こちらで入手した情報なのだが、彼女の管理をするか、日本政府とBSAAがモメていてね」
 愛原:「普段は人間の姿をしていて、しかもちゃんと制御ができているBOWなんて史上初でしょうからね」

 アルバート・ウェスカー?
 あれは悪役だろうが。
 彼もやり方を間違えなければ、クリス・レッドフィールドみたいな英雄になれただろうに。

 ボス:「うむ。それでどうなったかというと、折衷案として彼女の希望を優先させることになった」

 何か、嫌な予感が立ち込めて来た。

 愛原:「それで、リサの希望というのは……?」

 アメリカ政府のエージェントになりたいですとかだったらズッコケものだけどな。
 あ、いや、それだとBSAA寄りになるか。

 ボス:「うむ。キミの所で過ごしたいということだった」
 愛原:「はあ!?」
 ボス:「もう既にそちらの事務所に向かっているはずだから、くれぐれも対応を誤らぬよう注意してくれたまえ。報酬はBSAAと日本政府からの折半ということになっている。但し、キミ達の対応ミスで暴走させた場合、キミ達は日本政府とBSAAどちらからも身柄を狙われることになるだろう」

 バイオハザードに関わって生き残った者は、2度とこの世界から抜け出せなくなる法則……!

 ボス:「キミも知っての通り、彼女は町1つ潰せるほどの力を持っている。如何に彼女を人間らしく育成するかが、キミへの仕事の依頼だ」
 愛原:「あの、ボス」
 ボス:「何かね?」
 愛原:「この小説、『美少女育成モノのライトノベル』じゃないですよね?」
 ボス:「何を言っているのか分からんが、あくまでもSFホラーだ。……それでは、詳細は追って説明する」

 ボスからの電話が切れた。

 高橋:「先生!危険な仕事ですか?」
 愛原:「今すぐ事務所を畳んで逃げるぞ!」
 高橋:「一体、何が!?」
 高野:「あら?事務所の通りに、黒塗りの高級車が……」

 は、早っ!?
 しかもその直後、インターホンが鳴った。

 高野:「はい。愛原学探偵事務所です。……クライアントの方ですね。どうぞ」

 事務所の入口から入ってきたのは……。

 リサ:「先生ぇーっ!」

 喜び勇んで入ってくるリサの姿だった。
 私に飛び込んでくる。
 私はそのまま押し倒される形となった。
 さすがBOW。
 まだ中学生くらいの女の子の姿をしているくせに、力は強い。

 高野:「あらあら?先生、モテモテね」
 高橋:「こら、キサマ!先生に何をする!離れろ!先生の胸を飛び込んでいいのは俺だけだ!」
 愛原:「高橋!言ってることがヤバイぞ!」
 高野:「……小さな女の子と、若い男に」

 その後で、ぞろぞろと入って来る黒服の男達……の中に、1人だけ女性がいた。
 どうも、この黒服達のリーダーであるらしい。
 日本政府エージェントを名乗っていたので、公安調査庁の職員かもしれない。
 それとも内閣府か?
 BSAAと日本政府との間を取り持つ役割を担っているとのことで、報酬はこれまた完全に半額ずつ出すということだった。
 これは少しでも多く額を出した方の意向が優先されてしまうということを懸念してのことだろう。
 リサの取り扱いだの何だのと説明していき、やっと帰って行った。

 高野:「先生!凄い高額報酬ですよ!」
 愛原:「当然ながら、まとめて一括で払われるわけじゃない。細々と支払って来るのは、それだけ俺達に長く面倒を看させる為だろう」

 リサが持って来た荷物は、キャリーバッグ1つだけ。
 どこの“バイオハザード”に、BOWと一緒に暮らせというものがあっただろう?

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