報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「高橋正義の暴走」

2023-04-28 16:54:50 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月8日15時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 夢だ。
 あれはきっと悪い夢だ。
 二日酔いだったものだから、きっと頭がおかしくなってしまったんだ。
 こういう時は、さっさと寝るに限る。
 そして次に目が覚めた時、私は現実に引き戻された。
 枕元に置いたスマホが着信音を鳴らす。
 目覚ましのアラームではない。
 電話着信だ。
 私がスマホを手に取り、画面を見ると、見たことの無い番号だった。
 が、しかし、末尾4桁の数字が『0110』になっている。
 これは警察署の番号である。
 私は急いで、電話に出た。

 愛原「も、もしもし?」
 警察官「もしもし。愛原さんのケータイでよろしいですか?」
 愛原「あ、はい。そうですが……」
 警察官「愛原学さんですね?」
 愛原「あ、はい。そうです……」

 私は上半身を起こした。
 中途半端に眠っていたせいか、まだ頭はボーッとしているが、しかし完全に酒は抜けたらしく、二日酔いの症状は無い。

 警察官「警視庁本所警察署交通課の白石と申します。こんにちは」
 愛原「あ、はい。どうも……こんにちは……」
 警察官「確認したいことがあるのですが、今お電話宜しいでしょうか?」
 愛原「あ、はい。大丈夫です……」
 警察官改め白石「被疑者の高橋正義を逮捕して取り調べをしておりまして、愛原学さんの所の事務所に雇用されていると証言しましたので、その確認のお電話です」
 愛原「あ、はい。確かに、高橋正義はうちの従業員です。あの……どんな容疑なのでしょうか?」
 白石「埼玉県からクルド人の運転する暴走車に乗り込み、菊川1丁目の自宅マンションまで暴走運転をさせた、要は教唆犯ですね」
 愛原「主犯ではないのですか?」
 白石「今のところ、車は本人のものではありませんし、本人が運転していた事実も今のところ確認できておりません。ただ、後部座席に同乗していたというところまでは確認しています」
 愛原「何で彼はそんなことを?ていうか、何で埼玉???」
 白石「それを今、取り調べしている最中です。愛原さんに心当たりはありますか?」
 愛原「いや、全くありません。彼は今日は、仙台から新幹線で東京まで戻って来るはずでした。それがどうして埼玉なのか、さっぱり分かりません」
 白石「もし良かったら、署まで来て頂いてもよろしいですか?」
 愛原「あ、はい。分かりました。すぐに伺います。はい」

 高橋!?
 やっぱり夢じゃなかったーっ!
 私は電話を切ると、急いで出発の準備をした。
 そして、リサにもLINEを送った。
 本所警察署の最寄り駅である錦糸町駅まで来てほしいと。
 そして、更に善場主任にもメールを送った。

[同日17時00分 天候:曇 東京都墨田区横川 警視庁本所警察署]

 私は警察署に行って、担当警察官と話した。
 どうやら高橋が乗った新幹線が、大宮駅で車両故障の為、運転見合わせをしてしまったらしい。
 そこで今度は、宇都宮線に乗り換えたわけだが、今度はその電車が浦和駅で人身事故を起こしてしまった。
 ブチギレた高橋は、駅の外に出ると、たまたま川口だか蕨だかから遊びに来ていた暴走族の車を見つけた。
 元暴走族の高橋は、昔取った杵柄とやらで、その暴走族車をヒッチハイクしようとしたが、今や川口や蕨の暴走族の殆どは不良外国人である。
 特に、クルド人が多い。
 日本語が通じないことに完全にブチギレた高橋は、そのクルド人をボコボコにした上、無理やり都内まで運転させたという。
 高橋も身長180cmある高身長だが、クルド人達も概して大柄だ。
 2人乗っていたらしいのだが、それを1人でボコした高橋も大概だ。
 とにかく、元々暴走族みたいな連中に、超特急で東京まで運転させたらどうなるか?
 火を見るより明らかだろう。
 信号無視は元より、スピード違反やら何やらで累積が【お察しください】。
 不幸中の幸いは、人身事故も物損事故も起こしていないことであるが……。
 逮捕されたクルド人達は、殆ど顔中血だらけだったという。
 よくそんな状態で運転できたものだと、警察官達も呆れていた。
 クルド人達は病院送り。
 今現在取り調べを受けているのは、高橋だけだということだ。

 白石「そのクルド人達も不法滞在の疑いがあるので、埼玉県警とも連携を取ることになりそうです」

 とのことだった。

 愛原「不良外国人達を捕まえたということで、表彰は……?」
 白石「されるわけないでしょ!」

 ついでに私も怒られた。
 因みに取り調べ中は、面会はできないという。
 とにかく、弁護士に相談しないと……。
 全くもう!

 リサ「あ、先生。どうだった?」
 愛原「高橋らしいことをしてくれたもんだ」

 リサは1階のロビーで待っていた。

 リサ「どうするの?」
 愛原「当番弁護士に依頼するしかないだろう。もっとも高橋のヤツ、既に頼んでいたそうだけどな」
 リサ「そうなの!」
 愛原「あいつの逮捕歴は1回や2回じゃないから、当番弁護士制度のことは知っているみたいだ」

 逮捕されてから警察官に依頼すると、警察官は当番弁護士を呼んでくれる。

 リサ「ふーん……」
 愛原「但し、接見は1回だけだから、あとは国選弁護人か私選弁護人かにしないと……」
 リサ「弁護士さんに頼むと、料金高いんだってね」
 愛原「そうなんだよ」

 国選弁護人であれば原則無料、或いは低額で済む。
 が、自分で弁護士は選べない。
 一方、私選弁護人であれば、いつでも弁護士に頼めるが、その代わり料金が高くなりがちだという。
 もっとも、当番弁護士が信頼できそうであれば、そのままその当番弁護士に依頼しても良いようだ(私選弁護人として)。
 高橋は、どのようにしたのやら……。

 愛原「とにかく、飯食ってから帰ろう。今日のところは、ここまでだ」
 リサ「分かった」

 何とか不起訴に持っていけないかなぁ……。
 幸い、暴走行為による被害者はいないようだから……。
 となると、やっぱり弁護士に依頼しないといけないわけだ。
 幸い弁護士事務所によっては、24時間相談を受け付けている所もある。
 夕食を取ってから、改めて考えることにしよう。

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