報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「雪の登校日」

2023-09-29 16:34:28 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月17日08時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 予定通り、今日は学校が再開された。
 JR電車は多少の遅れはあったものの、昨日の大混乱と比べると、まあまあ平常に近い運転だったとリサは思った。

 上野凛「だいぶ除雪されたなぁ……」
 リサ「リン、おはよう」
 凛「あっ、リサ先輩!おはようございます!」
 リサ「旧校舎の方はどうだった?」
 凛「いえ、まだ見てません。古い建物なんで、雪が積もると心配ですね」
 リサ「見に行ってみよう」
 凛「はい」

 鬼の女番長と半鬼の四天王の1人は、新校舎裏手の旧校舎に向かった。
 都心にある高校ということもあり、校庭はダートではなく、ウェザーコートになっている。
 なのでダートと違い、そこまで足元がグチャグチャというわけではない。
 但し、普段から人の出入りが無い旧校舎(教育資料館)は、あまり除雪されていなかった。
 辛うじて、屋根の雪下ろしがされているくらい。

 凛「栃木と違って、東京の学校は土じゃないから、足元がグチョグチョにならなくていいですね。これなら、今日の部活は外でできそうです」
 リサ「体育は体育館だろうけどな。とにかく、『トイレの花子さん』との思い出の場所だから、この場所は大切にしておきたい」
 凛「『イジメ、ダメ、絶対!』ですね」
 リサ「そう」
 凛「……先輩、LINEでチラッと聞いたんですが、『蟲の力』を戻せそうって本当ですか?」
 リサ「アメリカのルイジアナ州では、蟲使いのオバさんがいたらしい。特異菌に感染してからその能力が開花したらしいから、私でもできるんじゃないかって思ってる。ただ、その為には今の電撃使いを捨てないといけないけどね」
 凛「それって、どうなんですか?」
 リサ「確かに攻撃力は強いけど、いざって時に出せないと意味無いからね」
 凛「いざって時に出せないことってあるんですか?容量不足とか?」
 リサ「バッテリーじゃないからな?……なんかね、そんな気がするんだ」
 凛「今はどうですか?」
 リサ「今は出せると思う」

 リサは軽く右手から電撃を出してみた。
 パチッと火花が飛び散る。

 凛「攻撃力としては?」
 リサ「攻撃力……」

 と、その時だった。

 応援部長「リサさぁぁぁぁん!好きだぁぁぁぁっ!!」
 リサ「げっ!?」
 凛「あれは応援部3年生の徳田部長!リサ先輩、モテモテですね!?」
 リサ「鬼の男といい、どうしてわたしは化け物みたいなヤツにモテるんだ?!」

 リサは発情して突進してくる、大柄の応援部長に電撃を食らわせた。

 応援部長!「ぎゃああああああっ!!……も……もっとォ……!もっと食らわせてくださぃぃぃぃっ!」

 リサ達の前でバタッと倒れる応援部長。

 リサ「キモッ!」
 凛「ドMの変態さんだぁ……」

 1年生の凛、2年生のリサだが、3年生の応援部長には容赦が無い。

 凛「リサ先輩、前にも告白されてましたよね?」
 リサ「わたしは愛原先生一筋だから。オマエはオマエで、男子陸上部の本田と付き合ってるらしいな?」
 凛「ま、まだ友達ですよ!?」
 リサ「食い殺すなら、手伝ってやるから言ってくれよ」
 凛「……リサ先輩、愛原先生以外の男性も食べるんでしたっけ?」
 リサ「そんなことより、コイツどうする?」
 凛「応援部に連絡して、連れ帰ってもらいましょうか」

 だが……。

 応援部長「リサさぁぁぁん!俺、もうすぐ卒業して会えなくなるから寂しいんだよぉぉぉ!!」

 ガシッとリサの両足にしがみ付く。

 リサ「放せ、コラ!!」

 リサは足からも電撃を放った。

 応援部長「ぎゃあああああっ!!……さ、最後に幸せ……」
 リサ「M野郎!」
 凛「い、いや、ちょっと待ってください!今、先輩のスカートが少し捲れたんですけど……」
 リサ「『幸せ』って、そういうことか!おらぁーっ!!」

 リサは大柄の応援部長に卍固めして、更に電撃。

 凛「そ、そうじゃなくて、先輩の方が問題です」
 リサ「大丈夫だって。このくらいの電撃じゃ、このアホは死なない!」
 凛「ですから、そうじゃないんです!」
 リサ「何なんだよっ!?ハッキリ言えよ!」
 凛「先輩、ブルマもスパッツも穿いてません!」
 リサ「……え?」

 リサは既に気を失っている応援部長を放すと、自分のスカートの中に手を入れた。

 リサ「ヤベッ!ブルマ穿いてくるの忘れた!」
 凛「今日、体育は?」
 リサ「幸いにして、今日は無い」
 凛「さすがにパンツだけというのは校則違反ですよ」
 リサ「分かってる。確か、ロッカーの中にスパッツが入ってたはず。今日はそれを穿いておくよ」
 凛「一応、持ってるんですね」
 リサ「愛原先生がブルマ好きだって分かる前は、わたしもスパッツを穿いてたから」
 凛「なるほど」
 リサ「そういうオマエは?」

 リサは凛のスカートを捲り上げた。
 その中には、緑色のブルマがあった。
 女子陸上部のユニフォームであるエメラルドグリーンのレーシングブルマではなく、かつてこの学校で女子体操服用として着用されていた学販ブルマである。
 女子陸上部のそれが色違いの緑になっているのは、体育用と区別する為と、青山学院大学のユニフォームと混同しないようにする為だという。

 リサ「やっと買ったんだな」
 凛「ええ、まあ……」

 既に事実上の廃止になっている為、かつての物は殆ど手に入らない。
 そこで似たような色合いのブルマを、他のメーカーから購入して着用するというのが『魔王軍』の掟となっている。
 陸上部のユニフォームを造っているメーカーとは、また別のメーカーだったことが災いしている。

 リサ「朝礼が始まる前に穿いてくるから、そいつ何とかしといて」
 凛「応援部に連絡しておきます」
 リサ「そのまま、そこの雪山に埋めといてもいいんだぞ」
 凛「さすがにこんな見た目化け物でも、中身は普通の人間ですから、それはマズイかと……」
 リサ「それもそうだ。そこはリンに任す」
 凛「分かりました」

 リサは後の処理を凛に任せると、自分は教室に急いだ。

 リサ(少し寝坊したから、ブルマのことすっかり忘れてた)

 朝は起きて顔を洗ったりした後はすぐに制服に着替えるので、愛原からも指摘されなかったのである。

 レイチェル「リサ、おはようです」
 リサ「おー、レイチェル!おはよう!」

 途中でレイチェルと会った。

 レイチェル「急いでますね。トイレですか?」
 リサ「んー……似たようなもん!」

 女子校なら教室で堂々と着替えられるのだが、共学校のここでは難しい。
 スカートは穿いたままとはいえ、スパッツを穿くという行為も男子生徒の前ではやりにくいので、トイレに行く必要があった。

 レイチェル「私もお供します」
 リサ「BOWのトイレシーンなんか観察したって何も面白くないぞ!」
 レイチェル「違います。生理現象です」
 リサ「……何のヒネリも無い回答だな」
 レイチェル「Huh?」
 リサ「何でもない。早く行こう」

 2人の外人名を持つ少女達は、新校舎に入って行った。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “愛原リサの日常” 「リサの... | トップ | “愛原リサの日常” 「雪の登... »

コメントを投稿

私立探偵 愛原学シリーズ」カテゴリの最新記事