報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「バレンタインデー」 3

2024-01-10 21:41:41 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月14日18時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 パール「夕食の準備ができました」
 レイチェル「ありがとうございます。今日はステーキなんですね」
 パール「今日はステーキ肉が安く手に入りましたので」
 愛原「アメリカ産の安い肉だが、その分サイズも大きいので、リサ向きなんだ」
 レイチェル「部隊から与えられた任務時間は19時までです。それまでにリサに異常が無いと判断されたら、帰隊します」
 リサ「わたしは何とも無いってば」
 レイチェル「No.愛原センセイに抱き着いたあなたの目、それはBOWのそれと同じでした」
 愛原「う、うん。俺もルーマニアで発生したバイオハザードによって生み出されたクリーチャー、ライカンに襲われたらあんな感じなんだろうって思ったよ」
 リサ「わたし、あんなザコキャラじゃないよ!」
 レイチェル「リサ・トレヴァーは、リッカーの首を捩じり切る力を持っています。リサならライカンの首を捩じり切ることは可能でしょう」
 リサ「ほら!BSAAのお墨付き!」
 愛原「いや、喜んでいいことじゃないからな?」
 高橋「はい、お待たせしましたっス。先生はミディアムレアっスね」
 愛原「おっ、ありがとう」
 高橋「リサは『血の滴る』レアだ」
 リサ「わー!もっと生でも良かったんだよ?」
 高橋「先生の御命令で、レア未満は禁止だ」
 愛原「そしてそれは、デイライトからの通達でもある」
 レイチェル「そしてそれは、BSAAからの通達でもあります」
 リサ「えー!」
 レイチェル「生の肉を食べると、更にクリーチャー化が加速する恐れがあります。本当はレアも禁止したいくらいだそうです」
 リサ「一応、火は通ってるからね」
 レイチェル「ま、一応そういうことなので」
 パール「レイチェルさんは、ウェルダンなんですね?」
 レイチェル「そうです」
 リサ「硬くなって食べ難くない?」
 レイチェル「私はこれでいいの」
 愛原「では、頂こうか」

 私はミディアムレアに焼かれたステーキを頬張りながら、レイチェルのことについて、ふと考えた。
 リサは血の滴る状態が良いということでレアを希望する傾向にあるが、戦場などで数々の死体を見て来た兵士などは、そのトラウマからか、赤身や血の残る状態の肉を遠慮することがあるのだという。
 もしかすると、レイチェルもそうなのかもしれない。
 と、私はそう勝手に思っていたのだが、どうやら違ったようだ。

 リサ「どうしてウェルダンが好きなの?」
 レイチェル「パパがよくバーベキューをやってくれたんだけど、その時焼くステーキがいつもウェルダンだったから」
 愛原「レイチェル。つかぬことを聞くが、キミのお父さん、退役軍人だったりしない?」
 レイチェル「よく分かりましたね。パパも州軍からBSAAに入隊しました。トールオークスのバイオハザードに巻き込まれて、戦死してしまいましたが……」
 愛原「辛いこと聞いちゃって悪かったな」
 レイチェル「いいえ。パパは立派にネオ・アンブレラと戦いました。だから私も、未だ世界に蔓延るバイオテロの脅威と戦う為に、養成学校に入ったんです」
 高橋「で、目の前に敵がいるわけだ」
 リサ「わたし、アメリカのバイオハザードは関係無いよ!?Cウィルスも持ってないし!」
 愛原「今のところはGウィルスと特異菌だけだってさ。特異菌の前はTウィルスを持っていたんだが、東京中央学園の旧校舎にあった特異菌の菌床から放出されていた胞子を吸い込んだんだね。今度は特異菌がリサの体内に宿るようになって、Tウィルスはそいつらに食われちまった。Gウィルスだけは、今でも元気に活動してるってわけだ」
 レイチェル「そのように聞いています」
 愛原「栗原蓮華は何だ?あれも特異菌なのか?」
 リサ「分かんないね。わたしの血を使ったわけだから、少なくともGウィルスとか特異菌の影響はあるはずだけど」
 愛原「レイチェル。夜にしか活動できないBOWっているかな?」
 レイチェル「はい、先例はいくつかあります。ヴァンパイアのように、日光を浴びたら焼死するようなタイプはなかなかいませんが、日光は苦手で、夜になったら活動するというタイプはいます。ルーマニアで発生したバイオハザードのライカンも、そうだったのではないかと言われています」
 愛原「そうなの!?」
 レイチェル「はい。実際は昼間でも活動はしていたそうですが、曇りの日など、なるべく日光が出ない日を選んでいたとか」
 愛原「なるほどねぇ……」
 レイチェル「特異菌もそうです。特異菌は新種のカビに手を加えたもので、元はカビなわけですから、温度の低い所や乾燥している所では活動できません」
 愛原「今の東京がそうだろう。真冬で寒いし、空気も乾燥している」
 リサ「わたしはそんな自覚が無いけどね」
 レイチェル「特異菌の力が弱まると、Gウィルスがそれをカバーするのでしょう。だから、リサが弱くなることはない」
 リサ「おー!そういうことか!」
 愛原「喜んでいいことかw」

[同日19時00分 天候:晴 愛原家1階ガレージ前]

 レイチェル「Hum...リサには特段の異常は見当たりませン」
 リサ「そりゃそうだよ」
 レイチェル「迎えも来ましたので、私はこれで帰ります。ディナーご馳走様でした」
 愛原「ああ。気をつけて帰れよ」

 迎えに来たのは日本のBSAAだったので、車はジープ型の車。
 右ハンドル車なので、レイチェルは左側の助手席に座る。

 レイチェル「それではリサ、また明日、学校で」
 リサ「うん。またテスト頑張ろうね」

 レイチェルを乗せたBSAAの車は、狭い道を目一杯の幅で走り去って行った。
 自衛隊ナンバーや米軍ナンバーではなく、一般車のナンバーであるが、やはり何か特殊な装備でもしているのか、8ナンバーである。

 愛原「さーて、食後のデザートでも食べるか」
 リサ「わたしのチョコ、食べてね!」
 愛原「分かってるよ。ゴディバのチョコなら、安心して食えるな」
 高橋「コーヒー、お淹れしますね」
 愛原「どうせパールが淹れてくれるだろ。というか、コーヒーというよりは、紅茶が飲みたいな」
 高橋「俺がお入れします!」
 愛原「大げさな……」

 私達はレイチェルを見送った後、また3階のダイニングへ戻った。
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“私立探偵 愛原学” 「バレンタインデー」 2

2024-01-10 12:56:59 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[同日16時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]

 愛原「ただいまァ」
 高橋「あっ、先生!お帰りなさいっス!」
 愛原「警察の方は終わったのか?」
 高橋「アリバイを証明するのが大変でしたね。この前の日曜、先生と一緒にパチ屋に行ってて良かったっスよ」
 愛原「パチンコ屋はあっちこっちに防犯カメラがあるし、景品交換所にもあるからな」
 高橋「そうっス!そこで俺のアリバイが証明されたんで、放免っスよ」
 愛原「それは良かった。……ん?お前もパールからチョコレートもらったのか?」
 高橋「手作りなんスけど、何か入ってそうで、ちょっと怖いんス。……あ、先生のはこっちっス」
 愛原「俺のは義理チョコだろうな?……うん。高橋の本命チョコと比べて、パッケージが地味。こういうのでいいんだよ、こういうので」
 高橋「ホワイトデーのお返しが大変っスよ」
 愛原「アーミーナイフでも買ってやったら?」
 高橋「いや、あれ、アキバで買っても高いっスよ」
 愛原「ハハ、まあ、頑張って稼いでくれや」
 高橋「先生……」
 愛原「まあ、俺ももらって来たがな」
 高橋「おっ、誰からっスか?結構、本命っぽいパッケージっスねぇ」
 愛原「案外、付き合い長いからさ、こういうことになるんじゃないの?」
 高橋「先生が今日出かけられて、貰ってきたということは……」
 愛原「善場主任しかいないだろ?」
 高橋「あ、なるほど。それもそうっスね」
 愛原「パールのチョコは、食後にでも頂くよ」
 高橋「まあ、先生へのチョコは大丈夫だと思いますけどね」
 愛原「そう考えると、次はリサだな。あいつも前回だったか、媚薬入りチョコとか寄こして来やがったからなぁ。あ?オマエもか?」
 高橋「あー、さー……何のことっスかねぇ……。あ、俺、そろそろ夕飯の準備がありますんで」
 愛原「お、おい!」

 高橋はそそくさと階段の方から3階へと上がっていった。

[同日16時30分 天候:晴 愛原学探偵事務所2階]

 リサ「ただいまァ」
 レイチェル「お邪魔します」

 リサが帰って来た。
 何故かレイチェルも一緒だ。

 リサ「先生!今度はちゃんと買って来たよ!だから何も中には入ってないよ!だから受け取って!」

 リサはハート形のパッケージに入ったチョコレートを私に渡してきた。

 レイチェル「Ah...私のはただのプレゼントです。愛原センセイには、お世話になっておりますので。BSAAへの御協力、感謝致します」
 愛原「あ、ああ、そう。うん、ありがたく頂戴するよ」

 2人ともゴディバのチョコレートであった。
 レイチェルのは普通の四角いパッケージである。
 こりゃ、ホワイトデーのお返しが大変だ。

 リサ「! これは何!?」

 リサは机の上にあった、他のチョコを見つめた。

 愛原「これはパールからの義理チョコだよ」
 リサ「もう1つのこれはハート型!本命!?本命なの!?わたし以外に本命が!?」

 リサは人間形態から鬼形態に戻った。
 2本角が生え、両耳が尖り、両手の爪は鋭くなる。

 愛原「違うよ。これはデイライトで……」
 リサ「オフィスラブか!?」
 愛原「また変な言葉覚えて」
 リサ「ウウーッ!」
 レイチェル「リサ。デイライトということは、愛原センセイにチョコレートを渡したのは……」
 リサ「誰!?誰から貰ったの!?正直に言いなさい!正直に言わないと、特異菌ばら撒くから!!」
 レイチェル「Oh!バイオテロは即刻死刑ですヨ!?」

 と、そこへ事務所の電話が鳴った。

 愛原「おっと、電話だ!」
 リサ「誤魔化さないで!」

 私は電話を取った。
 リサはレイチェルが押さえてくれている。

 愛原「お電話ありがとうございます。愛原学探偵事務所です。……あっ、善場主任。お疲れさまです。先ほどはチョコ、ありがとうございました」
 リサ「なにっ!?」
 愛原「リサですか?少々お待ちください。……リサ、お前に電話だぞ。善場主任から」
 リサ「三角関係にするつもり!?……もしもし!!」
 善場「善場です。相変わらず、元気にやっているようね?」
 リサ「先生に本命チョコあげるなんて、大したタマね!」
 善場「何のこと?あれはゴディバで買ってきた贈答品よ?」
 リサ「だって、ハート型!」
 善場「ハート型のパッケージくらい、贈答品用でいくらでも売ってるじゃない」
 リサ「で、でも……!」
 善場「落ちつかないと、それ以上形態変化したら、BSAAが出動してくるわよ?」
 リサ「もうここにいるもん!」
 善場「は?」
 レイチェル「Hello!養成学校生のレイチェルです!」
 善場「ああ、そういうことなの」
 愛原「あー、リサのチョコ美味い!」
 リサ「えっ!?」

 私は貰ったチョコのうち、リサのチョコを真っ先に口にした。

 愛原「本命チョコから先に食べるもんだろ?……うん、美味い」
 リサ「きゃーっ!嬉しいーっ!」(≧∇≦)

 リサは電話機を放り投げると、私に飛び掛かって抱き着いて来た。

 愛原「わあーっ!バカ!放せ!」

 私は椅子ごと転げ落ちた。

 善場「もしもし!?もしもし!?まだ話は終わっていませんよ!?リサには他にも注意事項が……」
 レイチェル「Ah...レイチェルです。今、リサはととても電話に出れない状態です」
 善場「何てこと……!あとの対応はBSAAにお任せします!」

 電話が切れてしまったようだ。

 レイチェル「愛原センセイ。デイライトから依頼があったので、しばらくリサの監視をさせて頂きますが、宜しいでしょうか?」
 愛原「分かった!分かったから、リサを引き離してくれーっ!」
 リサ「先生……もう離さない……
 レイチェル「増援を呼びます。こちらコードネーム、レッド1よりHQ。FR2にて、L2の小暴走あり。直ちに増援を願う。繰り返す。レッド1より、HQ。……」

 その後、事務所の屋上から突入してきたBSAA小隊により、ようやくリサは引き離され、私は解放されたのだった。
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