報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「日帰り温泉旅行」 2

2024-01-13 13:25:45 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月23日09時20分 天候:晴 東京都台東区上野 京成上野駅→特急“スカイライナー”25号・1号車内]

 京成上野駅前に到着する都営バスには乗り換えできなかったので、近隣のバス停で降りて、そこから徒歩で向かった。
 そして、待ち合わせ時間に間に合うように京成上野駅に行く。

 リサ「あっ、いた!レイチェルだ!」
 愛原「凄ェ……」

 私がそう呟いたのは、私服姿はどこからどう見ても10代後半のアメリカ人女性なのだが、その立ち方が……。
 明らかにバイオハザード発生中の現場を潜入捜査中のBSAA隊員のようだった。
 もちろん彼女は一人前のそれとなるべく、養成学校にて猛勉強中なのではあるが。
 どこからクリーチャーが現れても、すぐに対応できるような立ち方と言えばいいのか、要人警護のSPみたいだとい言えばいいのか……。

 愛原「後ろから近づくなよ?撃たれるぞ」
 リサ「わたしは平気だけどね」
 愛原「リサ。BSAAが正義なんだから、お前が撃たれたら、俺達が責任追及されるぞ」
 リサ「理不尽!」

 私はニコニコしながら、レイチェルの真正面から合流した。

 愛原「や、やあ、レイチェル。プライベートも、勉強に余念が無いな」
 レイチェル「愛原センセイ、おはようございます。今日は宜しくお願いします」

 レイチェルはカッと踵を45度の角度に合わせると、ビシッと背筋を伸ばした。
 このまま敬礼してきそうな勢いだ。

 愛原「いいんだ。キップは1人ずつ持つことにしよう」
 リサ「わたし、先生の隣~!」
 愛原「はいはい」
 レイチェル「Hum...やはりリサは、愛原センセイの監視下が最も安全か……」

 レイチェルは、手帳に英文で何かメモをしていた。
 留学中はなるべくリサの監視を行うという任務に、とても忠実であるようだ。

 愛原「Thanks to you.(おかげさまで)」

 私はそうレイチェルに言った。

 愛原「それじゃ、キップを持ったらホームに行くか」
 リサ「ちょっと待って。おやつ買って行く」

 リサは駅構内にあるコンビニを指さした。

 愛原「しょうがないな。さっさと行って来い」
 リサ「はーい」
 レイチェル「私も監視で同行します」
 リサ「レイチェルもおやつ買って行くー?」
 高橋「先生はいいんですか?」
 愛原「俺はホームの自販機で、お茶でも買って行くよ」

 リサが買って来たのは……。

 愛原「ビーフジャーキーにサラミソーセージ……全然おやつじゃないじゃん!」
 リサ「おやつだよ?」
 愛原「これ、人間の間では『おつまみ』って言うんだよね」
 リサ「BOWにとっては『おやつ』」
 レイチェル「Oh...価値観の違いですね」
 愛原「う、うん。そういうことになるのかなぁ……。まあいいや。さっさとホームに行こう」

 ホームに行くと、私はそこの自販機で飲み物を買い求めた。
 上り列車が入線してくるが、通勤電車と違い、車内清掃がある為にすぐには乗れない。

 

 愛原「リサがいるので、今日は先頭車だ」
 リサ「この縛り、いる?」
 レイチェル「私は養成員なので、何とも言えません。が、的は分かりやすいと思います」

 レイチェルはVRを使った射撃訓練を行うことがあるそうだが、列車内で暴走したBOWをヘリから追撃し、そこから銃弾を撃ち込む訓練をすることがあるそうだ。

 レイチェル「その時、列車の1番前か後ろというのは分かりやすいと思います」
 愛原「なるほど……」

 

 

 車内清掃が終わったので、列車内に乗り込む。
 カジュアルな感じの2列シートが並んでおり、足元も広い。
 これなら足の長い高橋や、レイチェルもそこまで窮屈ではないだろう。
 リサはテーブルを出して、その上に『おやつ』と称したおつまみを並べている。
 それでいて、飲み物はジュースだ。
 やはり、鬼型BOWの味覚は、人間のそれとはズレている。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。お待たせしています。この電車は、成田スカイアクセス線経由、スカイライナー、成田空港行きです。停車駅は日暮里、空港第2ビル(成田第2・第3ターミナル)、終点成田空港(成田第1ターミナル)です。この電車は、全て指定席です。乗車券の他に、スカイライナー券が必要です。……〕

 リサ「この硬いのがいいんだよね!」

 リサはビーフジャーキーに牙を突き立てて、噛み千切った。
 人間形態の状態でも、牙は生えたままとなってしまっている。
 歯科で1本抜いてもらったが、既に新しい牙が生えている。

 愛原「ああ、そうかい」
 リサ「先生のお肉も食べたい」
 愛原「前の席に座る軍人さんに、ロケットランチャー撃ち込まれるぞ」
 レイチェル「既に訓練済みです。あれは重いですよ」
 リサ「それは困るw」

 リサは肩を竦めるとビーフジャーキーを頬張り、ジュースを口に運んだ。

〔「本日も京成電鉄をご利用頂きまして、誠にありがとうございます。9時40分発、京成スカイアクセス線経由、スカイライナー25号、成田空港行きです。次の日暮里駅からも、大勢のお客様がご乗車になります。空いている座席等にはお荷物など置かぬよう、お願い致します。発車までご乗車になり、お待ちください」〕

 リサ「降りる駅が、空港第2ビル駅?」
 愛原「そう。送迎バスに乗れるのは、第2ターミナルなんだよ」
 リサ「ふーん……」

 1号車の乗客は、上野駅発車の時点では少なかった。
 車掌の言う通り、日暮里駅からドカドカ乗って来るのだろう。
 JRへの乗り換えは、日暮里駅の方が便利だからだ。
コメント
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