報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「総武線の旅」

2024-01-18 20:51:36 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月23日16時23分 天候:曇 千葉県成田市 JR総武本線1564F列車5号車内]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は事務所の皆と、それにプラスして、BSAA養成学校からの留学生、レイチェル・グラハムと一緒に日帰り温泉に行ってきたところだ。
 今は東京に向かう快速電車に乗っている。
 同じ区間を走る特急“成田エクスプレス”には車内販売は無いが、快速のグリーン車には車内販売がある。
 先にグリーン券の確認が行われた後で、車内販売が行われる。
 大体が乗車客の多い成田駅を出てから、車内販売がある。
 で、グリーン券を確認しに来たグリーンアテンダントは、20代の若い女性であるからして……。

 愛原「すいません。缶コーヒー1つと、『キミのスマイル』を1つ」
 グリーンアテンダント「は?」
 リサ「

 リサはこめかみに怒筋を浮かべると、私の手を掴んで……。

 バチッ

 愛原「Ouch!」
 リサ「あらあらあら?久しぶりに電撃が出ちゃったぁ!」
 グリーンアテンダント「お、お客様!大丈夫ですか!?」
 リサ「空気が乾燥してるから、静電気が出ちゃうのね。……あ、オレンジジュース1つとポッキーください」
 グリーンアテンダント「か、かしこまりました」
 リサ「支払いは先生のSuicaで」

 リサとグリーンアテンダントとのやり取りを遠くに聞きながら、私は意識を途絶えさせた。

[同日17時17分 天候:晴 東京都墨田区江東橋 JR錦糸町駅→錦糸町駅前バス停]

〔まもなく錦糸町、錦糸町。お出口は、右側です。総武線各駅停車、両国、秋葉原方面と、東京メトロ半蔵門線はお乗り換えです。錦糸町から先は、各駅に止まります〕

 愛原「う……うーん……」
 リサ「あ、起きた。先生、もうすぐ錦糸町だよ。そろそろ降りるよ」
 愛原「降りる駅が近づいたら、目が覚めるものだな……。てか、何で俺は寝てたんだっけ?」
 リサ「お酒飲み過ぎて眠くなったんだよ」
 愛原「そ、そうだっけか?」
 レイチェル「リサの攻撃を受けて、Game overになったんです」
 愛原「そ、そうだった。お前、また電撃を出せるようになったのか?」
 リサ「偶然だけどね。今日は空気が乾燥してるから、静電気にプラスされたんじゃない?」
 愛原「何だそりゃ……」

 電車がホームに入線する。
 私はフラつきながらも、乗降口の階段を下りた。

〔きんしちょう、錦糸町。ご乗車、ありがとうございます。次は、馬喰町に、停車します〕

 私達はここで電車を降りた。

 愛原「この次はバスに乗り換えるが、その前にちょっとトイレだ」
 高橋「お供します!」

 トイレは改札内コンコースにある。
 私はまずはそこに立ち寄った。

 愛原「リサの電撃が復活したとしたら、ちょっとヤバいぞ」
 高橋「そうっスね」
 愛原「お前達、止めてくれなかったのか?」
 高橋「あ、いや、ほんの一瞬のことだったんで……。リサもそれからはフツーでしたし、先生も気絶されただけで、特にケガされてる感じも無かったんで」
 愛原「リサが嫉妬深い性格だったってこと、すっかり忘れてたよ」
 高橋「そうっすね。ここは男子トイレっスから、男同士の内緒話です」
 愛原「ん?そうだな……」

 トイレにはついでということで、リサ達も行っている。
 女性達は少し時間が掛かるので、ここで少し待機することになる。

 愛原「何か、喉乾いたな……」
 高橋「そうっスか。あ、そうか。先生、リサのせいでコーヒー飲み損ねたんでしたっけ」
 愛原「そうなんだよ。ちょっと南口のNewDaysで買って飲んでるから、リサ達が戻ってきたら、南口まで来てくれ」
 高橋「分かりました。俺はあいつらを連れて行けばいいんですね?」
 愛原「そうだ。南口のNewDaysだ」
 高橋「了解っス」

 私は高橋と別れると、南口に向かった。
 トイレは北口寄りにあるので、やや歩くことになる。
 南口の改札口を出ると、右手にはヨドバシカメラ錦糸町店があり、左手にはNewDaysがある。
 私はそこに入ると、ホットの缶コーヒーを買い求めた。
 電車内でも買おうとしていたのがボトル缶タイプだったので、それを買い求める。
 電車内ではホットの飲み物は売っていないので、もしそういうのが欲しければ、外で買うしかない。
 ボトル缶コーヒーを買い求めると、それを持って外に出た。
 あとは、高橋達が来るのを持てば良い。

 リサ「お待たせー」

 飲み終える頃に、リサ達がやってきた。
 私は飲み終えた空き缶を店内のゴミ箱に捨てて来た。

 愛原「それじゃ、行こうか」

 駅舎を出て、駅前のバスロータリーに出る。
 だいぶ日が傾いているものの、1月に比べれば日も少し長くなった。
 先月以前だったら、もう17時で真っ暗になっていたというのに。
 千葉県よりも晴れ間があって、夕日が顔を出している。

 愛原「これから乗り換えるのは、築地駅前行きだよ」
 リサ「それって……」
 愛原「前の事務所や、マンションの前を通るよね。で、築地で夕食だ」
 高橋「必然的に魚系ですね」
 愛原「寿司でいいだろ?」
 リサ「まあ、たまには魚でもいいか」
 レイチェル「ガナードの一種、武器商人は魚が好きだったようですから」
 高橋「ヘビも食うみたいだな。お前も食うだろ、ヘビ?」
 リサ「いや、食べないし!」

 築地駅前行きのバスはロータリーの1番外側、それこそ駅前の大通りに面した所にある。
 私達はそこまで行くと、バス停に並んだ。

 愛原「築地だったら日比谷線に乗れるから、レイチェルもそれで帰れるだろ?」
 レイチェル「Oh!私の為に、考えてくれたのですか?ありがとうございます!」
 リサ「むー……!」
 愛原「まあまあ。俺達はまたこのバスで帰ればいい。帰るのに、ちょうどいい所を選んだだけだよ」

 リサがまた一瞬、右手から静電気を発したので、私は急いで弁明したのだった。
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“愛原リサの日常” 「成田空港温泉」 3

2024-01-18 17:39:33 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月23日13時00 千葉県山武郡芝山町香山新田 成田空港温泉空の湯]

 昼食を終えると、愛原は2階のお休み処で休むと言い出した。
 他の4人は、1階の会議室エリアへ。
 そこには卓球台が置いてあり、誰でも卓球を楽しむことができる。

 高橋「それじゃ、撮影するぞー」
 リサ「後で先生に見せるんだから、ちゃんと撮ってよね!」
 高橋「分かってるっつの」

 高橋は仕事用のデジカメを動画撮影モードにして、リサとレイチェルの卓球勝負を撮影している。

 リサ「レイチェル、卓球の経験は?」
 レイチェル「極東支部中国部隊との合同訓練の時、向こうがやっていましたね」
 パール「中国は卓球も盛んだからね」

 中国共産党初代国家主席の毛沢東が、卓球を趣味にしていたからというのもある。

 リサ「それじゃ、行くよー!えいっ!」
 レイチェル「負けませんよ」
 高橋「さあ、試合開始のゴングが鳴りました。BOW対BSAAです。この勝負……おおっとォ!早くなったーっ!」
 パール「アンタの実況付きか……」

 カンコンカンコンカコンカンコンカコンカコンカコンカコンカコン……(互いに高速で打ち合う音)

 高橋「み、見えん……」
 パール「実況不可か……」

[同日15時30分 天候:曇 成田空港温泉空の湯・送迎バス→ 千葉県成田市古込 成田空港第2ターミナル]

 愛原「あー、よく寝た」
 リサ「先生、寝過ぎだよ。せっかく、卓球温泉やろうと思ってたのに……」
 レイチェル「久しぶりに体を動かしました。いい汗かいたので、またお風呂に入っちゃいましたよ」
 愛原「そうかそうか。それは良かったな」

 愛原は愛原で、疲れを取ったようである。
 精算した後は、再び送迎バスで成田空港に向かうことにした。
 往路と同じ、小型のノンステップバスに乗り込む。

 高橋「先生、帰りは?」
 愛原「もちろん、電車だよ。ただ、今度はJRにするつもりだがね」
 高橋「往路と復路で鉄道会社を変えるとはさすがです」

 愛原は1人席に座り、あとの4人は1番後ろの座席に座った。
 そして発車時刻になり、ドアブザーと共に外吊り式のスライドドアが閉まる。
 それから、バスが走り出した。
 AT車らしく、ギアチェンジの度にMT車とは違ったショックが車内に響く。

 愛原「都内に移動したら、今度は夕食会だ」
 高橋「随分、景気がいいっスね」
 愛原「栗原家からもらった商品券の中に、お食事券も入ってた」
 リサ「えっ?政治家がワイロもらったの!?」ドヤァッ
 愛原「それは汚職事件!」

 リサはこれがやりたかったようだ。
 そして、およそ10分ほどバスに揺られて、リサ達は成田空港第2ターミナルのバスターミナルに到着した。
 扉が1つしか無いため、乗り降りは全てそのドアから行う。
 折り返し運転の為か、既にバス停で温泉施設へ行く利用者が列を成していた。
 大きなキャリーバッグを持っている利用者もおり、時間帯的に、もしかしたらカプセルホテルなどに宿泊するのかもしれない。
 件の施設には、カプセルホテルなどの宿泊施設も併設されているからだ。

 愛原「おっと!ちょっと風が強いな。せっかく温泉に入って温まったのに、また冷えちゃうよ」
 高橋「早いとこ、ターミナルの中に入りましょう」

 駅に行く為にも、ターミナルの中に入らないといけない。

 レイチェル「リサ!パンツ見えてますよ!」
 リサ「おっと!?」

 突風が吹いて、リサの黒いスカートが捲れ上がる。
 レイチェルに言われて、パッとスカートの後ろを押さえたリサ。

 愛原「ブルマはどうした?」
 リサ「穿くの忘れた」

 リサは自分のバッグを見ながら言った。

 愛原「都内は風は強くないみたいだが……」
 リサ「てか、先生も見たでしょ?」
 愛原「な、何のことかな……?」
 リサ「わたしのパンツの色、何色だった?」
 愛原「今日は白だろ?……あっ」
 リサ「はい、見たー」
 愛原「後でブルマ穿いとけよ。俺以外の男に見せたくないんだろ?」
 リサ「うん、その通り」
 レイチェル「そこは徹底していますね」

[同日16時1分 天候:曇 同場所 JR空港第2ビル駅→成田線(空港支線)1564F列車5号車内]

 第2ターミナルやその先の空港第2ビル駅構内は、さすがに暖房が効いて暖かい。
 京成電鉄とはホーム違いの同一駅であるが、当然、キップ売り場や改札口は別である。
 愛原はキップ売り場で、グリーン券を人数分買い求めた。

 愛原「これから快速に乗るから、それのグリーン車で行こう」
 リサ「おー、2階建て。どこまで乗るの?」
 愛原「電車は、錦糸町駅までだよ」
 リサ「『電車は』ね……」
 レイチェル「Huh?どういうことですか?」
 リサ「錦糸町駅から、また別の乗り物に乗り換えるってことだよ」
 レイチェル「そうなんですか」
 愛原「心配するな。ちゃんと、今日中に帰れるようにするから」
 レイチェル「それなら、安心ですね」

 

 乗車券は手持ちのSuicaやPasmoを使う。
 京成のホームは前後に区切って、スカイアクセス線や本線と分けているが、成田線(空港支線)しかないJRはホームが1面1線だけしかない。
 地下のホームに降り、グリーン車が来る位置で電車を待つ。
 駅の賑わいとしては、JRよりも京成の方が賑わっているといった感じだ。
 さすがに“成田エクスプレス”の利用はあるだろうが、快速の利用はあまり無いのかもしれない。
 何せ、快速とは名ばかりで、成田空港~千葉間は東千葉の1駅しか通過しない。
 千葉~東京間は総武快速線を走行するものの、乗り淹れ先の横須賀線では、やはり各駅停車である。

〔♪♪♪♪♪~。まもなく、久里浜行き、快速電車が到着します。黄色い線まで、お下がりください〕

 ホームにはロープ式の上下稼働柵がある。
 簡易的な接近放送が流れると、ホームに風が吹いてくる。

 愛原「また、風が吹いてくるぞ。大丈夫か?」
 リサ「うん。さっきトイレで、ブルマ穿いてきたから大丈夫」
 愛原「そうか」

 そして、単線区間を15両編成の電車がやってくる。
 残念ながら、新型のE235系ではなく、旧型のE217系がやってきた。

 

 やはり15両編成の電車の、どれもが空席が目立つ状態であった。
 もう少し停車駅が少なく、所要時間が短くなれば、千葉方面のみならず、東京やその先の横浜方面の利用者の需要も喚起されるだろうが……。
 車内に入ると、階段を上って2階席に上がった。
 そして、空いている座席に座る。
 リサは窓側に座り、愛原は通路側に座った。
 すぐにシンプルな発車メロディが地下ホームに響き渡る。

〔電車が発車します。ドアが閉まりますから、ご注意ください〕

 ピンポーンピンポーンとドアチャイムが鳴って、ドアが閉まる。
 そして、エアーの抜ける音がして、電車が動き出した。
 まだまだ長い地下トンネルを突き進むことになる。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、総武快速線、横須賀線直通、快速、久里浜行きです。停車駅は都賀までの各駅と、千葉、稲毛、津田沼、船橋、市川、新小岩、錦糸町、錦糸町から先の各駅です。グリーン車は、4号車と5号車です。グリーン車をご利用の際には、グリーン券が必要です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください。次は、成田です〕

 愛原「これに乗って行けば、都内には夕方に到着する。そこで夕食会でもやって、それでやっと解散だ」
 リサ「さすがは先生。明日、学校が無かったら、仙台まで行けたのにね」
 愛原「こればっかりはしょうがない。おかげで、前々から行きたかった温泉に行けたんだからな」

 成田駅までは駅間距離が長いということもあり、グリーンアテンダントが検札にやってくる。
 紙のグリーン券に青いインクの改札印が押されると、頭上のシグナルが変わる仕組みとなっている。
 因みに成田エクスプレスと違い、こちらのグリーン車では車内販売も行われているという逆転現象が起きている。
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