[10月10日22:00.天候:曇 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
愛原と高橋はまだ帰ってこない。
リサは1人、部屋でゲームをやっていた。
〔「私は家族が欲しかったの……」〕
“バイオハザード7”に興じるリサ。
ついにゲームは終盤に差し掛かる。
リサ:「私も欲しいよ」
方や暴走して巨大な化け物と化したラスボス、方や今でも人間として暮らしているラスボス。
方や世を忍ぶ仮の姿は10歳程度の少女、方や世を忍ぶ仮の姿は12〜13歳の中学生。
BOW、ゲームの中のBOWを倒すの図。
リサ:「こんなやり方、嫌われるに決まってる。私はこんなやり方はしない」
と、その時、玄関のドアが開いた。
愛原:「ただいまァ」
高橋:「おーい、先生のお帰りだぞー!」
リサ、瞬時に玄関へ移動する。
リサ:「お帰りなさい!」
愛原:「遅くなって悪かったなー!」
高橋:「先生のお力で犯人逮捕です!さすがです!」
愛原:「犯人が逃げた時、別に追わなくても良かったんだぞ?あとは警察に任せておけば……」
高橋:「何言ってんスか!最後までやり切るのが名探偵ってモンでしょ?」
愛原:「バカ!オマエが族車チャーターして追ったりするから、警察に疑われたんだろうが!」
高橋:「たまたま俺の後輩がいたもんで……」
愛原:「おかげで帰るのが遅くなったんだよ。リサ、夕飯は?」
リサ:「高野お姉ちゃんが御馳走してくれた」
愛原:「そうか。明日、高野君にお礼言っておこう」
高橋:「えっ、アネゴを呼び出してボコすんスか?」
愛原:「誰が『御礼参り』するっつったよ!?俺達が忙しい間、リサの面倒を見てくれてありがとうって礼を言うだけだ!」
高橋:「そうでしたか」
愛原:「さっさと風呂入ろう。高橋、風呂沸かしてくれ」
高橋:「はい」
リサ:「お風呂なら沸いてる。私、先に入ったから」
愛原:「おっ、そうか。それはちょうど良かった」
高橋:「先生、どうぞお先にお入りください。俺はその後で」
愛原:「そうか。悪いな」
高橋:「いえ。俺は先生の残り湯に浸かりたいのです」
愛原:「オマエ、サラッと気持ち悪いこと言ってんじゃねーよ。てか、リサが先に入ったんだから、リサの残り湯でもあるぞ?」
高橋:「! すぐに洗浄して消毒致します!少々お待ちを!」
愛原:「別にいいよ!ゾンビが入ったわけじゃあるまいし!」
高橋:「でもお湯は入れ替えておきます!」
高橋はこれだけは譲れないとばかり、浴室にダッシュして行ってしまった。
愛原:「全く。気にし過ぎだっつーに。悪いな、リサ?後でよく言っておくから」
リサ:「ううん、しょうがないよ。私も化け物だし……」
愛原:「いや、リサはそんなことないって。ああさえならなければな」
愛原はテレビ画面を指さした。
リサがゲームをクリアした為、今はスタッフロールが流れている。
ラスボスであるエヴリンが画面に現れた。
世を忍ぶ仮の姿である10歳の少女をしている。
リサ:「私が化け物になったら、退治されちゃう?」
愛原:「皆に迷惑を掛けたらな。或いは、明らかに掛けると分かった時か……」
リサ:「…………」
愛原:「あのゲームのラスボスは、『完全体』と言っておきながら、結局は定期的に薬を投与しなければならなかったそうじゃないか。それに対して、リサは何にもしなくていいんだから、キミの方がよっぽど『完全体』だ」
リサ:「……ありがとう」
愛原はリサの頭を撫でた。
今は角を2本生やし、耳を長く尖らせ、牙も生やしている。
こうやって少し力を解放させ、人間か化け物かギリギリの姿でいる方が却って安定することが最近分かって来た。
目安は『鬼娘』。
今の説明で鬼の姿を日本人なら思い浮かべるだろうが、正にその姿だ。
もちろん、このことを知っている者以外には絶対に見せない。
従って、学校に行く時などは絶対にこの姿ですらしない。
高橋:「先生!リサが『完全体』なら俺は『完璧体』です!だから俺も撫でてください!!」(;゚∀゚)=3ハァハァ
リサ:「リサ、いくら君が『完全体』だとしても、まだまだ未知のウィルスを使ってそうなったことに変わりは無い。だから『絶対大丈夫』なんて思ってはいけない。少なくとも、そこの見習みたいに変な自信を持ってはいけないよ?」
リサ:「はーい」
高橋:「せ、先生!そんな御無体な!」
愛原:「オマエ、いつまでお湯入れてんだよ!?マーライオンか!」
高橋:「すいません!今、『草津の湯』入れてましたんで!」
愛原:「意外だね!?意外なの入れてたね!そういう温泉の素入れてたんだ!?」
高橋:「そうなんですよ。どうぞ、お入りください」
愛原:「どれどれ?……“きき湯”じゃねぇかよ!なに嘘ついてんだ!」
高橋:「こういうのは気持ちが大事だと思いまして」
愛原:「だからそういうのが余計なんだっつの!」
愛原は自分のタオルを持って来た。
それで入ろうとすると、リサが呼び止めた。
リサ:「愛原さん」
愛原:「ん?」
リサ:「球技大会、愛原さん来なくても大丈夫」
愛原:「えっ?」
リサ:「私は私で大会頑張る。だから、愛原さんもお仕事頑張って」
愛原:「あ、ああ……」
リサ:「じゃ、おやすみなさい」
愛原:「お、おやすみ」
リサはゲーム機を片付けると、自分の部屋に入った。
そして、自分のスマホで斉藤に掛けた。
斉藤:「リサさん!?電話してくれたの!?ありがとう!」
リサ:「うん。明日学校で話そうと思ってたけど、今話したくて……」
斉藤:「なになに!?」
リサ:「今日は心配かけてゴメン。もう大丈夫だから」
斉藤:「それって、球技大会にリサさんのお父……おじさんが来てくれないって話?」
リサ:「うん。お仕事、一生懸命なの分かったから」
斉藤:「それはきっと、おじさん達がリサさんのことを信じてくれてるんじゃないかな?」
リサ:「私を信じてる?」
斉藤:「私の場合、こういう行事には必ずお父さんかお母さんが来てくれるの」
リサ:「羨ましい」
斉藤:「と、思うでしょ?でも聞いてみたら、私のこと信用してないだけみたいなの!私がこんな性格だから、学校でトラブル起こしてないかって!」
リサ:(サイトーのお父さんとお母さん、正論)
斉藤:「だから逆にリサさんを信用してくれてる、おじさん達の方が偉いって思うな」
リサ:「なるほど。分かった。明日、どの大会に出るか選考でしょ?私もバレーに出る」
斉藤:「リサさんの跳躍力と腕力なら、絶対優勝できるよ!」
もちろんそれは、BOWとしての身体能力の賜物なのだが。
愛原と高橋はまだ帰ってこない。
リサは1人、部屋でゲームをやっていた。
〔「私は家族が欲しかったの……」〕
“バイオハザード7”に興じるリサ。
ついにゲームは終盤に差し掛かる。
リサ:「私も欲しいよ」
方や暴走して巨大な化け物と化したラスボス、方や今でも人間として暮らしているラスボス。
方や世を忍ぶ仮の姿は10歳程度の少女、方や世を忍ぶ仮の姿は12〜13歳の中学生。
BOW、ゲームの中のBOWを倒すの図。
リサ:「こんなやり方、嫌われるに決まってる。私はこんなやり方はしない」
と、その時、玄関のドアが開いた。
愛原:「ただいまァ」
高橋:「おーい、先生のお帰りだぞー!」
リサ、瞬時に玄関へ移動する。
リサ:「お帰りなさい!」
愛原:「遅くなって悪かったなー!」
高橋:「先生のお力で犯人逮捕です!さすがです!」
愛原:「犯人が逃げた時、別に追わなくても良かったんだぞ?あとは警察に任せておけば……」
高橋:「何言ってんスか!最後までやり切るのが名探偵ってモンでしょ?」
愛原:「バカ!オマエが族車チャーターして追ったりするから、警察に疑われたんだろうが!」
高橋:「たまたま俺の後輩がいたもんで……」
愛原:「おかげで帰るのが遅くなったんだよ。リサ、夕飯は?」
リサ:「高野お姉ちゃんが御馳走してくれた」
愛原:「そうか。明日、高野君にお礼言っておこう」
高橋:「えっ、アネゴを呼び出してボコすんスか?」
愛原:「誰が『御礼参り』するっつったよ!?俺達が忙しい間、リサの面倒を見てくれてありがとうって礼を言うだけだ!」
高橋:「そうでしたか」
愛原:「さっさと風呂入ろう。高橋、風呂沸かしてくれ」
高橋:「はい」
リサ:「お風呂なら沸いてる。私、先に入ったから」
愛原:「おっ、そうか。それはちょうど良かった」
高橋:「先生、どうぞお先にお入りください。俺はその後で」
愛原:「そうか。悪いな」
高橋:「いえ。俺は先生の残り湯に浸かりたいのです」
愛原:「オマエ、サラッと気持ち悪いこと言ってんじゃねーよ。てか、リサが先に入ったんだから、リサの残り湯でもあるぞ?」
高橋:「! すぐに洗浄して消毒致します!少々お待ちを!」
愛原:「別にいいよ!ゾンビが入ったわけじゃあるまいし!」
高橋:「でもお湯は入れ替えておきます!」
高橋はこれだけは譲れないとばかり、浴室にダッシュして行ってしまった。
愛原:「全く。気にし過ぎだっつーに。悪いな、リサ?後でよく言っておくから」
リサ:「ううん、しょうがないよ。私も化け物だし……」
愛原:「いや、リサはそんなことないって。ああさえならなければな」
愛原はテレビ画面を指さした。
リサがゲームをクリアした為、今はスタッフロールが流れている。
ラスボスであるエヴリンが画面に現れた。
世を忍ぶ仮の姿である10歳の少女をしている。
リサ:「私が化け物になったら、退治されちゃう?」
愛原:「皆に迷惑を掛けたらな。或いは、明らかに掛けると分かった時か……」
リサ:「…………」
愛原:「あのゲームのラスボスは、『完全体』と言っておきながら、結局は定期的に薬を投与しなければならなかったそうじゃないか。それに対して、リサは何にもしなくていいんだから、キミの方がよっぽど『完全体』だ」
リサ:「……ありがとう」
愛原はリサの頭を撫でた。
今は角を2本生やし、耳を長く尖らせ、牙も生やしている。
こうやって少し力を解放させ、人間か化け物かギリギリの姿でいる方が却って安定することが最近分かって来た。
目安は『鬼娘』。
今の説明で鬼の姿を日本人なら思い浮かべるだろうが、正にその姿だ。
もちろん、このことを知っている者以外には絶対に見せない。
従って、学校に行く時などは絶対にこの姿ですらしない。
高橋:「先生!リサが『完全体』なら俺は『完璧体』です!だから俺も撫でてください!!」(;゚∀゚)=3ハァハァ
リサ:「リサ、いくら君が『完全体』だとしても、まだまだ未知のウィルスを使ってそうなったことに変わりは無い。だから『絶対大丈夫』なんて思ってはいけない。少なくとも、そこの見習みたいに変な自信を持ってはいけないよ?」
リサ:「はーい」
高橋:「せ、先生!そんな御無体な!」
愛原:「オマエ、いつまでお湯入れてんだよ!?マーライオンか!」
高橋:「すいません!今、『草津の湯』入れてましたんで!」
愛原:「意外だね!?意外なの入れてたね!そういう温泉の素入れてたんだ!?」
高橋:「そうなんですよ。どうぞ、お入りください」
愛原:「どれどれ?……“きき湯”じゃねぇかよ!なに嘘ついてんだ!」
高橋:「こういうのは気持ちが大事だと思いまして」
愛原:「だからそういうのが余計なんだっつの!」
愛原は自分のタオルを持って来た。
それで入ろうとすると、リサが呼び止めた。
リサ:「愛原さん」
愛原:「ん?」
リサ:「球技大会、愛原さん来なくても大丈夫」
愛原:「えっ?」
リサ:「私は私で大会頑張る。だから、愛原さんもお仕事頑張って」
愛原:「あ、ああ……」
リサ:「じゃ、おやすみなさい」
愛原:「お、おやすみ」
リサはゲーム機を片付けると、自分の部屋に入った。
そして、自分のスマホで斉藤に掛けた。
斉藤:「リサさん!?電話してくれたの!?ありがとう!」
リサ:「うん。明日学校で話そうと思ってたけど、今話したくて……」
斉藤:「なになに!?」
リサ:「今日は心配かけてゴメン。もう大丈夫だから」
斉藤:「それって、球技大会にリサさんのお父……おじさんが来てくれないって話?」
リサ:「うん。お仕事、一生懸命なの分かったから」
斉藤:「それはきっと、おじさん達がリサさんのことを信じてくれてるんじゃないかな?」
リサ:「私を信じてる?」
斉藤:「私の場合、こういう行事には必ずお父さんかお母さんが来てくれるの」
リサ:「羨ましい」
斉藤:「と、思うでしょ?でも聞いてみたら、私のこと信用してないだけみたいなの!私がこんな性格だから、学校でトラブル起こしてないかって!」
リサ:(サイトーのお父さんとお母さん、正論)
斉藤:「だから逆にリサさんを信用してくれてる、おじさん達の方が偉いって思うな」
リサ:「なるほど。分かった。明日、どの大会に出るか選考でしょ?私もバレーに出る」
斉藤:「リサさんの跳躍力と腕力なら、絶対優勝できるよ!」
もちろんそれは、BOWとしての身体能力の賜物なのだが。