報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「リサ、がんばる」

2018-11-27 19:15:17 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月10日22:00.天候:曇 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 愛原と高橋はまだ帰ってこない。
 リサは1人、部屋でゲームをやっていた。

〔「私は家族が欲しかったの……」〕

 “バイオハザード7”に興じるリサ。
 ついにゲームは終盤に差し掛かる。

 リサ:「私も欲しいよ」

 方や暴走して巨大な化け物と化したラスボス、方や今でも人間として暮らしているラスボス。
 方や世を忍ぶ仮の姿は10歳程度の少女、方や世を忍ぶ仮の姿は12〜13歳の中学生。
 BOW、ゲームの中のBOWを倒すの図。

 リサ:「こんなやり方、嫌われるに決まってる。私はこんなやり方はしない」

 と、その時、玄関のドアが開いた。

 愛原:「ただいまァ」
 高橋:「おーい、先生のお帰りだぞー!」

 リサ、瞬時に玄関へ移動する。

 リサ:「お帰りなさい!」
 愛原:「遅くなって悪かったなー!」
 高橋:「先生のお力で犯人逮捕です!さすがです!」
 愛原:「犯人が逃げた時、別に追わなくても良かったんだぞ?あとは警察に任せておけば……」
 高橋:「何言ってんスか!最後までやり切るのが名探偵ってモンでしょ?」
 愛原:「バカ!オマエが族車チャーターして追ったりするから、警察に疑われたんだろうが!」
 高橋:「たまたま俺の後輩がいたもんで……」
 愛原:「おかげで帰るのが遅くなったんだよ。リサ、夕飯は?」
 リサ:「高野お姉ちゃんが御馳走してくれた」
 愛原:「そうか。明日、高野君にお礼言っておこう」
 高橋:「えっ、アネゴを呼び出してボコすんスか?」
 愛原:「誰が『御礼参り』するっつったよ!?俺達が忙しい間、リサの面倒を見てくれてありがとうって礼を言うだけだ!」
 高橋:「そうでしたか」
 愛原:「さっさと風呂入ろう。高橋、風呂沸かしてくれ」
 高橋:「はい」
 リサ:「お風呂なら沸いてる。私、先に入ったから」
 愛原:「おっ、そうか。それはちょうど良かった」
 高橋:「先生、どうぞお先にお入りください。俺はその後で」
 愛原:「そうか。悪いな」
 高橋:「いえ。俺は先生の残り湯に浸かりたいのです」
 愛原:「オマエ、サラッと気持ち悪いこと言ってんじゃねーよ。てか、リサが先に入ったんだから、リサの残り湯でもあるぞ?」
 高橋:「! すぐに洗浄して消毒致します!少々お待ちを!」
 愛原:「別にいいよ!ゾンビが入ったわけじゃあるまいし!」
 高橋:「でもお湯は入れ替えておきます!」

 高橋はこれだけは譲れないとばかり、浴室にダッシュして行ってしまった。

 愛原:「全く。気にし過ぎだっつーに。悪いな、リサ?後でよく言っておくから」
 リサ:「ううん、しょうがないよ。私も化け物だし……」
 愛原:「いや、リサはそんなことないって。ああさえならなければな」

 愛原はテレビ画面を指さした。
 リサがゲームをクリアした為、今はスタッフロールが流れている。
 ラスボスであるエヴリンが画面に現れた。
 世を忍ぶ仮の姿である10歳の少女をしている。

 リサ:「私が化け物になったら、退治されちゃう?」
 愛原:「皆に迷惑を掛けたらな。或いは、明らかに掛けると分かった時か……」
 リサ:「…………」
 愛原:「あのゲームのラスボスは、『完全体』と言っておきながら、結局は定期的に薬を投与しなければならなかったそうじゃないか。それに対して、リサは何にもしなくていいんだから、キミの方がよっぽど『完全体』だ」
 リサ:「……ありがとう」

 愛原はリサの頭を撫でた。
 今は角を2本生やし、耳を長く尖らせ、牙も生やしている。
 こうやって少し力を解放させ、人間か化け物かギリギリの姿でいる方が却って安定することが最近分かって来た。
 目安は『鬼娘』。
 今の説明で鬼の姿を日本人なら思い浮かべるだろうが、正にその姿だ。
 もちろん、このことを知っている者以外には絶対に見せない。
 従って、学校に行く時などは絶対にこの姿ですらしない。

 高橋:「先生!リサが『完全体』なら俺は『完璧体』です!だから俺も撫でてください!!」(;゚∀゚)=3ハァハァ
 リサ:「リサ、いくら君が『完全体』だとしても、まだまだ未知のウィルスを使ってそうなったことに変わりは無い。だから『絶対大丈夫』なんて思ってはいけない。少なくとも、そこの見習みたいに変な自信を持ってはいけないよ?」
 リサ:「はーい」
 高橋:「せ、先生!そんな御無体な!」
 愛原:「オマエ、いつまでお湯入れてんだよ!?マーライオンか!」
 高橋:「すいません!今、『草津の湯』入れてましたんで!」
 愛原:「意外だね!?意外なの入れてたね!そういう温泉の素入れてたんだ!?」
 高橋:「そうなんですよ。どうぞ、お入りください」
 愛原:「どれどれ?……“きき湯”じゃねぇかよ!なに嘘ついてんだ!」
 高橋:「こういうのは気持ちが大事だと思いまして」
 愛原:「だからそういうのが余計なんだっつの!」

 愛原は自分のタオルを持って来た。
 それで入ろうとすると、リサが呼び止めた。

 リサ:「愛原さん」
 愛原:「ん?」
 リサ:「球技大会、愛原さん来なくても大丈夫」
 愛原:「えっ?」
 リサ:「私は私で大会頑張る。だから、愛原さんもお仕事頑張って」
 愛原:「あ、ああ……」
 リサ:「じゃ、おやすみなさい」
 愛原:「お、おやすみ」

 リサはゲーム機を片付けると、自分の部屋に入った。
 そして、自分のスマホで斉藤に掛けた。

 斉藤:「リサさん!?電話してくれたの!?ありがとう!」
 リサ:「うん。明日学校で話そうと思ってたけど、今話したくて……」
 斉藤:「なになに!?」
 リサ:「今日は心配かけてゴメン。もう大丈夫だから」
 斉藤:「それって、球技大会にリサさんのお父……おじさんが来てくれないって話?」
 リサ:「うん。お仕事、一生懸命なの分かったから」
 斉藤:「それはきっと、おじさん達がリサさんのことを信じてくれてるんじゃないかな?」
 リサ:「私を信じてる?」
 斉藤:「私の場合、こういう行事には必ずお父さんかお母さんが来てくれるの」
 リサ:「羨ましい」
 斉藤:「と、思うでしょ?でも聞いてみたら、私のこと信用してないだけみたいなの!私がこんな性格だから、学校でトラブル起こしてないかって!」
 リサ:(サイトーのお父さんとお母さん、正論)
 斉藤:「だから逆にリサさんを信用してくれてる、おじさん達の方が偉いって思うな」
 リサ:「なるほど。分かった。明日、どの大会に出るか選考でしょ?私もバレーに出る」
 斉藤:「リサさんの跳躍力と腕力なら、絶対優勝できるよ!」

 もちろんそれは、BOWとしての身体能力の賜物なのだが。
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“愛原リサの日常” 「今日は雨」

2018-11-27 10:21:16 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月10日08:00.天候:雨 東京都墨田区内某所 東京中央学園墨田中学校]

 リサ:「ぶー……」

 学校でも拗ねてるリサ。
 と、そこへ……。

 斉藤:「おはよう、リサさん。……どうしたの?」
 リサ:「球技大会、おじさん来てくれない……」
 斉藤:「そう……。(ってか、お父さんじゃなくて、親戚のオジさんか何かだったの!?失礼なこと言っちゃったわ!)」
 リサ:「つまんない……。球技大会、出たくない……」
 斉藤:「そ、そんなことないよ!皆で一緒に頑張って、クラスで優勝目指すのも楽しいんだから!」

 斉藤が慌てた様子でフォローすると……。

 男子生徒A:「斉藤が『皆で一緒に頑張る』とか、すっげー嘘臭ェんだけど……」
 斉藤:「うるっさいわね!何か文句ある!?
 男子生徒A:「いや、文句っつーか……その……斉藤が言うと、何か信じらんないっつーか……」
 斉藤:「それ、ほとんど文句じゃないのよ!!

 どれだけ信用の無いコだったのだろうか、斉藤絵恋は……。
 そして、朝のホームルームが始まる。

 担任教師:「……それでは来月行われる球技大会についてですが、今週中に誰がどの競技に参加するかを決めたいと思います。プリントにも書いてあった通り、元々部活動としてその競技をやっている人は同じ種目に出ることはできません。例えばバスケ部員の人は、バスケの競技には参加できませんのでご注意ください。これは公平性を保つ為です」
 斉藤:「リサさん、私達はバレー部員じゃないから大丈夫だね!」
 リサ:「うん……」

[同日15:30.天候:雨 東京中央学園墨田中学校→同区内菊川 愛原学探偵事務所]

 斉藤:「リサさーん、一緒に帰りましょう〜
 リサ:「うん……」

 2人して一緒に下校する。
 今日は1日中雨のようだ。
 まるで、リサの心の中のようである。
 最初は2人して傘を差して歩いていたのだが、最初の赤信号に引っ掛かると斉藤は傘を閉じた。
 そして、リサの傘に入って来る。

 リサ:「な、なに?」
 斉藤:「リサさん、知らないのー?相合傘って言うのよ?」
 リサ:「いや、知ってるけど、何でわざわざ……」
 斉藤:「いいの!リサさんを元気付けてあげる!」
 リサ:「いいよ。気を使わないで……」
 斉藤:「え?」

 そして、信号が青に変わる。

 斉藤:「リサさん!そっちは違う方向よ!?」
 リサ:「いい。今日は事務所に寄って行く。それじゃ」

 リサは斉藤と別れると、足早に愛原の事務所に向かった。

〔上に参ります〕

 昨年完成したばかりだという新しい雑居ビルの中に入り、エレベーターに乗り込む。

〔ドアが閉まります〕

 マンションのエレベーターよりも新しい。
 古いエレベーターだと、そこにリサというBOWが乗るというだけでバイオハザード的ホラー展開が【お察しください】。

〔5階です〕

 エレベーターを降りると、すぐ目の前に事務所の入口がある。
 中に入ると、事務員の高野芽衣子がいた。

 高野:「あら、リサちゃん。いらっしゃい。どうしたの?」
 リサ:「愛原さんは?」
 高野:「応接室でクライアントさんと話をしているよ。終わるまで、そこで待ってて」

 事務室内には机が4つある。
 事務所には愛原と高橋、そして高野しかいないから1つ余っている形になっているわけだ。
 その余っている机の前に座る。
 高野が給湯室に行って、リサにお茶を入れようとしていると、リサは応接室の前に行った。
 そしてBOWならではの身体能力で、聴力と視力を強化する。
 透視能力でドアの向こう側も見え、ドアの向こうの話し声も聞こえる。

 リサ:「…………」

 愛原とクライアントのやり取りが聞こえる。
 しばらくそのやり取りを聞いていると……。

 高野:「こーら。盗み聞きと覗き見はダメよ」
 リサ:「! ……ごめんなさい」

 リサは身体能力を元に戻した。

 高野:「お茶とお菓子、ここに置いておくから」
 リサ:「ありがとう」

 リサはさっきの空いている机に戻った。
 と、そこへ電話が掛かって来る。

 高野:「愛原学探偵事務所、高野です」
 ボス:「私だ」
 高野:「ああ、ボス。お疲れさまです。今、先生はクライアント様と対応中でして……」
 ボス:「それなら後で伝言しておいてもらいたいのだが……」
 高野:「はい、承ります。どうぞ」
 ボス:「ああ、その前に……。どこでテロ組織が盗聴しているか分からんから、伝言は全て暗号で行う。いいね?」
 高野:「了解しました。お願いします」
 ボス:「それでは……。『実は今度の新作バイオシリーズは、“バイオハザード ダッシュターボ!!”4ギガ拡張パックでゾンビも超早っやー!』だ」
 高野:「すいません、もう1度お願いします。One more.
 ボス:「キミねぇ、このくらいの暗号、ちゃんと聴き取れないとキツいよ?」
 高野:「そんな頼りがいのあるゾンビがいたら、無理ゲーですね」
 ボス:「あくまでも暗号だ。しょうがない。それではもう1度言おう。ちゃんと聞くように」
 高野:「了解です」

 高野がボスとの電話を切ると同時に、応接室から愛原とクライアントが出て来た。

 愛原:「今日は雨の中、ありがとうございました」
 クライアント:「いえ……。それじゃ、さっきの件よろしくお願いします」
 愛原:「かしこまりました。後はこちらにお任せください」
 高野:「ありがとうございました。どうぞ、お気をつけて」

 高野も一緒に見送りをする。
 クライアントがエレベーターに乗り込むと同時に、横の階段を駆け登って来る者がいた。
 ずぶ濡れの高橋だった。

 高橋:「先生!分かりましたよ!やっぱ犯人アイツです!錦糸町のクソ野郎もう1度ボコしたらゲロりました!!」
 愛原:「やっぱりそうか!よーし、でかした!すぐに証拠を押さえに行くぞ!」
 高野:「その前に体拭いて行って。風邪引くよ」
 愛原:「あれ、どうしたんだ、リサ?俺に何か用か?」
 リサ:「う、うん……ううん……。何でもない。ちょっと寄ってみただけ……」
 高橋:「オマエなぁ、こっちはクソ忙しいんだから、冷やかしなら帰れ!」
 高野:「いいじゃないのよ、別に。どうせ机余ってるんだから……」
 愛原:「『ジャポネットやすだ』で頼んだら、オマケで一組付いてきたからなぁ」
 高橋:「だから先生、そんなインチキ臭ェ所に頼むのはちょっと……って言ったんですよ!」
 愛原:「今度から気を付けるよ。それじゃ高野君、すぐに行くからまた留守番頼む!」
 高野:「はいはい。カメラ持ちました?」
 愛原:「持った持った!」
 高野:「ICレコーダー持った?」
 高橋:「持った持った!」

 そして、バタバタと事務所を出て行く愛原と高橋。
 が、すぐに戻って来た。

 高野:「どうしたの?」
 愛原:「車の免許証忘れた!」
 高橋:「車のキー忘れた!」
 高野:「
 リサ:「…………」
 
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