報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「正信号を探索せよ」 4

2018-11-21 19:32:33 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月8日12:30.天候:晴 豪華客船“正信”号、客室上階]

 黄色い金庫には、顕正号と正信号を牛耳っていたテロ組織のロゴマークが取り付けられている。
 それは今にも飛び掛からんとする大型犬を模した物であると思われ、それに同じ色且つ同じロゴマークが印刷されたカードを当てると、犬の目の部分が光ってロックが外れる。

 愛原:「リサ、今度は開けても大丈夫そうかい?」
 リサ:「うん、大丈夫そう」

 私の質問にリサは頷いた。
 さっきのことといい、リサはBOWなだけに、他のクリーチャーの気配をいち早く感じ取る能力もあるのだろう。

 善場:「OKです」

 善場さんがBSAA隊長に合図をすると、今度は隊長が隊員達に合図をした。
 それでも万が一に備え、銃を構えるのは忘れない。
 隊員が一気に扉を開けると、中には……鍵が入っていた。

 

 愛原:「随分と大きくて古めかしい鍵だな?」

 BSAAの隊員は鍵を取り出す。

 愛原:「どこの鍵でしょうか?」

 しかし善場さんは私の質問には答えず、隊長と英語でやり取りをしている。

 高野:「この人達、事前情報は掴んでいて、顕正号には銀色の鍵があったでしょうというような話をしています」

 高野君が代わりに通訳してくれていた。

 愛原:「銀の鍵か」

 ここで見つけたのは少し色褪せてはいるものの、金色の鍵である。
 純金というわけではなく、単なる金メッキであろう。

 善場:「皆さん、御協力ありがとうございました。愛原さん達に対する御協力はこれで十分です。まもなく探索時間終了となりますので、そろそろ引き上げましょう」

 善場さんが挨拶していると……。

 隊長:「Hey,wait.」

 隊長がそれを遮った。
 そして、また英語で何かを言う。

 高野:「このカードキーで、まだ開けられそうなドアがあるそうです」
 愛原:「ドア?金庫じゃなくて?」

 高野君も英語で隊長に話し掛ける。

 高橋:「チッ。俺も、もう少し英語を真面目に勉強すれば良かったなぁ……」

 私と同じく外国語の苦手な高橋は舌打ちをした。

 善場:「愛原さん、そのカードキーで開けられそうなドアがあるそうです。もう少しお付き合い願えますか?」
 愛原:「いいですよ。今日1日、どうせヒマですし」
 高野:「場所はどこですか?」

 取りあえず3ヶ所ほど。
 近い所から行くことにした。
 まずは客室下階にある船内図書館。

 高橋:「ここもゾンビがやたらいましたよ。本棚倒して、3匹ほど下敷きにしてやりましたね」
 愛原:「オマエらしいな……」
 高野:「そこのダクトからリッカーが飛び出して来た時には、ビックリしましたわ」
 愛原:「うへー!危なくて、迂闊にダクトの下歩けないなー!」

 鍵が掛かっているというのは、蔵書室の方だった。

 隊長:「This.」

 なるほど。
 確かにドアノブの上には、あの金庫と同じ狂犬のロゴマークが取り付けられている。

 リサ:「怪物が!」

 だがその時、リサがドアの向こうを指さした。

 リサ:「怪物がいるよ!」
 愛原:「マジか!?」

 善場さんがすぐに英語でBSAA隊員達にそれを伝える。
 すると隊長は隊員に閃光手榴弾を用意させた。

 善場:「突入の準備ができましたので、ロックを解除して欲しいということです」
 愛原:「わ、分かりました!」
 善場:「ロックを解除したら、すぐにドアから離れろとのことです」
 愛原:「了解です!」

 私はカードキーを当ててロックを解除した。
 隊員の1人が少しだけドアを開けると、すぐにポイッと閃光手榴弾を投げ込んだ。
 爆発音がして、ドアの隙間からでも分かるほどの閃光が室内を包んだようだ。
 そして!

 隊長:「Go!Go!Go!」

 隊長が隊員達に突入を命じた。
 すぐに銃を構えた隊員達が室内に突入する。
 と!

 愛原:「うわっ、やっぱり何かいたか!?」

 すぐに中から銃声が聞こえた。
 アサルトライフルの音だとすぐに分かったのは、私も霧生市の惨禍を潜り抜けたからか。

 隊員A:「Clear!」
 隊長:「OK!」

 隊長も中に入っていった。
 私達は……素人扱いなので、まだ入室が許可されていない。
 部屋の外で見張りをしている隊員が英語で何かを言った。

 高野:「クリーチャーの類だとすると、室内がウィルスで汚染されている恐れがあるそうです。今それを確認しているので、少し待てということですね」
 愛原:「なるほど」

 BSAA隊員達の着ている軍服やフルフェイスのヘルメットには、そういった汚染された空気内であっても一定時間は活動できるよう、高性能のフィルターが取り付けられているのだそうだ。
 因みにもしリサの発言が間違いで、実は中にいたのは普通の人間だった場合はどうするのかという疑問もあるだろう。
 だからこそBSAA隊員達は本物の手榴弾ではなく、閃光手榴弾を使用したものと思われる。
 爆発音と眩い光が放たれるが、実は殺傷能力は無い。
 中に人質がいるかもしれないが、同時にテロリストもいる場合、作戦の1つとして行われることもあると聞いたことがある。
 人質も巻き込んではしまうが、殺傷能力は無いので。

 隊長:「All clear.Come in.」
 善場:「OK.大丈夫だそうです。入りましょう」
 愛原:「はい」

 私達が中に入ると、床には血だまりができていた。
 そして、そこにはハンターが3体ほど転がっていた。
 霧生市のバイオハザードでも現れた奴だ。
 2足歩行の爬虫類の化け物という表現で分かるかな?
 大きさは大人のゴリラほどだ。
 高橋なんて、『緑のゴリラ』とか『緑のジャイアン』とか呼んでたな。

 愛原:「ハンターがいたとは……」
 善場:「やはり、バイオテロ組織が接収していた船だということは間違い無いようですね」

 善場さんは自分のスマホを出した。
 どうやら上司に現況を報告して、マスコミの内部取材を中止させるつもりらしい。

 高野:「ハンターがいたせいか、メチャクチャに荒らされてますね」
 愛原:「全くだ。これじゃ、何かを探すどころじゃないか」

 するとその時、リサが何かを見つけた。
 それは何だと思う?

 1:誰かの死体
 2:壁に掛けられた人物画
 3:床に落ちていた別の鍵
 4:机の上のカードキー
 5:本棚の下のマシンガン
コメント (2)
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