報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

スピンオフ“愛原リサの日常” 「おうちデート?」 Take2

2018-11-03 19:55:00 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月6日10:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション前]

 私の名前は愛原リサ。
 訳あって都内に住んでいる。
 名字は私の世話をしてくれている愛原学先生から頂いた。
 高橋正義兄ちゃん曰く、「いずれは日本一の名探偵になられる御方」ということで、私も先生と呼んでいたのだけれど、先生は弟子でもない私から『先生』と呼ばれるが嫌らしく、今は『さん』付けで呼んでいる。
 BOWである私が学校に行きたいと言ったら、本当に行かせてくれたいい人。
 でも、今日から学校は3連休である。
 今日はクラスメートのサイトー(本名何だったっけ?)が家に招いてくれるという。
 早速、お邪魔してみることにした。
 正体を隠しているとはいえ、サイアク化け物になってしまうこの私に、いの1番に友達になってくれるなんて、実はいいコなのかも。
 クラスの他のコ達は、「女王様気取り」だとか、「高飛車でワガママ」とか言ってるけど。

 リサ:「それじゃ愛原さん、お兄ちゃん、行ってきます」
 愛原:「ああ。友達付き合い、大事にな」
 高橋:「ムカついたらボコして、どっちが強いか教えてやれ」
 愛原:「おい!」

 愛原さんと高橋兄ちゃんのボケとツッコミは面白い。
 探偵としてだけでなく、漫才コンビとしてもやっていけるかも。
 私は部屋を出て、マンションの入口まで行ってみた。

 リサ:「サイトー、おはよう」
 斉藤:「リサさん、おはよう!迎えに来たよ!」
 リサ:「わざわざ?お家の場所、教えてくれたら自分で行ったのに」
 斉藤:「いいのいいの!何しろ、初めての私のお客さんなんだからっ」(≧∇≦)

 初めて?小学校の時、誰も家に招かなかった?
 私には小学校時代の記憶が無いけれども、クラスの皆は……まあ、いいや。
 それにしても……。

 斉藤:「さーさー、リサさん!乗って乗って!」

 マンションの駐車場に止まっていたのは、白塗りの高級車だった。
 あいにく私は車には詳しくないので、どこのメーカーの何て車なのかは分からない。
 黒いスーツ姿の白髪交じりのオジさんが、恭しく助手席後ろのドアを開けた。

 
(光岡自動車・ガリュー。これでも先代の年式である。写真はウィキペディアより)

 リサ:「いいの?」
 斉藤:「いいのいいの!」

 私とサイトーは後ろのシートに座った。
 何だか、前の席と間隔が広くて、却って落ち着かない。
 車は檻に入れられて運ばれた時のトラックと、愛原さん達と乗ったタクシーと都営バスくらしか無いからなぁ……。

 運転手:「それでは御嬢様、どちらまで参りましょうか?」
 斉藤:「埼玉の実家まで送ってくれる?」
 運転手:「かしこまりました」
 リサ:「えっ、埼玉?」

 車が走り出した。

 斉藤:「そうよ。わたし、本当は埼玉に住んでたの。だけど中学受験を機に、1人暮らしを始めたの」
 リサ:「一人暮らし!?」

 中学生で!?

 運転手:「専属メイドと2人暮らしでございます」
 リサ:「メイド!?」
 運転手:「時々家庭教師も来ますよ」
 斉藤:「あっ、こら!勝手に言わないの!」
 運転手:「大変失礼致しました」
 リサ:「えっと……普段は学校の近くのマンションに住んでるってことだよね?」
 斉藤:「そうよ」
 リサ:「そっちに行かないの?」
 斉藤:「お父さんがね、『気の置ける友達ができたら、うちに連れて来なさい』ってうるさいの。本当はマンションの方でも良かったのに」
 運転手:「御嬢様、旦那様のお言い付けでございますので……」
 斉藤:「分かってるわよ」
 運転手:「それでは首都高速を通って参りますので、今一度シートベルト御着用の確認を」
 斉藤:「はいはい」

 愛原さん曰く、東京中央学園は私立なだけに、セレブな生徒もよく通うと聞いていたけど、まさかサイトーがそうだったとは……。

 リサ:「あの、もしかして……」
 斉藤:「なーに?大丈夫よ。ちゃんとリサさんのお父さんの言い付け通り、夕方までには帰るようにするから」
 リサ:「そうじゃなくて、私も『斉藤さん』と呼んだ方がいい?」
 斉藤:「やーだ、何言ってんの。私のこと気軽に呼んでくれたの、リサさんだけなんだから。リサさんだけはいいのよ」

 あ、そうそう。
 愛原さんは、学校では『私の保護者≒お父さん』ということになっている。
 愛原さん的には、「まだそんな歳じゃねぇ」ということだけど……。

[同日11:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区上落合]

 車は大きな一軒家が立ち並ぶ住宅街の中に入った。
 そして、ひときわ大きな家の前で止まる。

 リサ:「すごーい。大きなお家……。3階建て」
 斉藤:「大したこと無いよ。部屋数は確保したいのに敷地が狭いから、無理くり3階建てにしただけよ」

 しかし駐車場は広く、3台分は止まれそうだ。
 しかもうち1台はこの車より、もっと高級そうな黒塗りの車が止まっていた。

 リサ:「あの車は何?」
 斉藤:「ああ、プレジデントね。あれはお父さんの通勤用。あれも新庄が運転するのよ」
 リサ:「新庄?」
 運転手:「ああ、私の事でございます。以後、お見知り置きを……」

 新庄運転手は恭しく私にお辞儀をすると、車を車庫の中に入れた。

 新庄:「お疲れ様でした」
 斉藤:「ありがとう。暗くなる前にリサさんを送ってあげたいわ」
 新庄:「かしこまりました。それでは本日16時30分の御出発で如何でしょう?」
 斉藤:「そうね。それで頼むわ」
 新庄:「かしこまりました。それでは16時30分に……」

 私達は車を降りた。

 斉藤:「よーこそ、ようこそ、リサさーん
 リサ:「お邪魔します……」

 サイトーに連れられ、茶色いレンガの外壁が特徴の家に中に入る。

 メイドA:「お帰りなさいませ、御嬢様」
 メイドB:「いらっしゃいませ、愛原様」
 執事:「どうぞ。旦那様がお待ちでございます」
 斉藤:「とっととゴルフに行けばいいのに……」
 リサ:( ゚д゚)ポカーン

 わ、私はとんだ場違いの所に来てしまったのかも。
 思わず、右肩が一瞬せり出してしまった。
 すぐに戻したからバレてないと思うけど……。
コメント (13)
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