[10月6日10:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション前]
私の名前は愛原リサ。
訳あって都内に住んでいる。
名字は私の世話をしてくれている愛原学先生から頂いた。
高橋正義兄ちゃん曰く、「いずれは日本一の名探偵になられる御方」ということで、私も先生と呼んでいたのだけれど、先生は弟子でもない私から『先生』と呼ばれるが嫌らしく、今は『さん』付けで呼んでいる。
BOWである私が学校に行きたいと言ったら、本当に行かせてくれたいい人。
でも、今日から学校は3連休である。
今日はクラスメートのサイトー(本名何だったっけ?)が家に招いてくれるという。
早速、お邪魔してみることにした。
正体を隠しているとはいえ、サイアク化け物になってしまうこの私に、いの1番に友達になってくれるなんて、実はいいコなのかも。
クラスの他のコ達は、「女王様気取り」だとか、「高飛車でワガママ」とか言ってるけど。
リサ:「それじゃ愛原さん、お兄ちゃん、行ってきます」
愛原:「ああ。友達付き合い、大事にな」
高橋:「ムカついたらボコして、どっちが強いか教えてやれ」
愛原:「おい!」
愛原さんと高橋兄ちゃんのボケとツッコミは面白い。
探偵としてだけでなく、漫才コンビとしてもやっていけるかも。
私は部屋を出て、マンションの入口まで行ってみた。
リサ:「サイトー、おはよう」
斉藤:「リサさん、おはよう!迎えに来たよ!」
リサ:「わざわざ?お家の場所、教えてくれたら自分で行ったのに」
斉藤:「いいのいいの!何しろ、初めての私のお客さんなんだからっ」(≧∇≦)
初めて?小学校の時、誰も家に招かなかった?
私には小学校時代の記憶が無いけれども、クラスの皆は……まあ、いいや。
それにしても……。
斉藤:「さーさー、リサさん!乗って乗って!」
マンションの駐車場に止まっていたのは、白塗りの高級車だった。
あいにく私は車には詳しくないので、どこのメーカーの何て車なのかは分からない。
黒いスーツ姿の白髪交じりのオジさんが、恭しく助手席後ろのドアを開けた。
(光岡自動車・ガリュー。これでも先代の年式である。写真はウィキペディアより)
リサ:「いいの?」
斉藤:「いいのいいの!」
私とサイトーは後ろのシートに座った。
何だか、前の席と間隔が広くて、却って落ち着かない。
車は檻に入れられて運ばれた時のトラックと、愛原さん達と乗ったタクシーと都営バスくらしか無いからなぁ……。
運転手:「それでは御嬢様、どちらまで参りましょうか?」
斉藤:「埼玉の実家まで送ってくれる?」
運転手:「かしこまりました」
リサ:「えっ、埼玉?」
車が走り出した。
斉藤:「そうよ。わたし、本当は埼玉に住んでたの。だけど中学受験を機に、1人暮らしを始めたの」
リサ:「一人暮らし!?」
中学生で!?
運転手:「専属メイドと2人暮らしでございます」
リサ:「メイド!?」
運転手:「時々家庭教師も来ますよ」
斉藤:「あっ、こら!勝手に言わないの!」
運転手:「大変失礼致しました」
リサ:「えっと……普段は学校の近くのマンションに住んでるってことだよね?」
斉藤:「そうよ」
リサ:「そっちに行かないの?」
斉藤:「お父さんがね、『気の置ける友達ができたら、うちに連れて来なさい』ってうるさいの。本当はマンションの方でも良かったのに」
運転手:「御嬢様、旦那様のお言い付けでございますので……」
斉藤:「分かってるわよ」
運転手:「それでは首都高速を通って参りますので、今一度シートベルト御着用の確認を」
斉藤:「はいはい」
愛原さん曰く、東京中央学園は私立なだけに、セレブな生徒もよく通うと聞いていたけど、まさかサイトーがそうだったとは……。
リサ:「あの、もしかして……」
斉藤:「なーに?大丈夫よ。ちゃんとリサさんのお父さんの言い付け通り、夕方までには帰るようにするから」
リサ:「そうじゃなくて、私も『斉藤さん』と呼んだ方がいい?」
斉藤:「やーだ、何言ってんの。私のこと気軽に呼んでくれたの、リサさんだけなんだから。リサさんだけはいいのよ」
あ、そうそう。
愛原さんは、学校では『私の保護者≒お父さん』ということになっている。
愛原さん的には、「まだそんな歳じゃねぇ」ということだけど……。
[同日11:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区上落合]
車は大きな一軒家が立ち並ぶ住宅街の中に入った。
そして、ひときわ大きな家の前で止まる。
リサ:「すごーい。大きなお家……。3階建て」
斉藤:「大したこと無いよ。部屋数は確保したいのに敷地が狭いから、無理くり3階建てにしただけよ」
しかし駐車場は広く、3台分は止まれそうだ。
しかもうち1台はこの車より、もっと高級そうな黒塗りの車が止まっていた。
リサ:「あの車は何?」
斉藤:「ああ、プレジデントね。あれはお父さんの通勤用。あれも新庄が運転するのよ」
リサ:「新庄?」
運転手:「ああ、私の事でございます。以後、お見知り置きを……」
新庄運転手は恭しく私にお辞儀をすると、車を車庫の中に入れた。
新庄:「お疲れ様でした」
斉藤:「ありがとう。暗くなる前にリサさんを送ってあげたいわ」
新庄:「かしこまりました。それでは本日16時30分の御出発で如何でしょう?」
斉藤:「そうね。それで頼むわ」
新庄:「かしこまりました。それでは16時30分に……」
私達は車を降りた。
斉藤:「よーこそ、ようこそ、リサさーん」
リサ:「お邪魔します……」
サイトーに連れられ、茶色いレンガの外壁が特徴の家に中に入る。
メイドA:「お帰りなさいませ、御嬢様」
メイドB:「いらっしゃいませ、愛原様」
執事:「どうぞ。旦那様がお待ちでございます」
斉藤:「とっととゴルフに行けばいいのに……」
リサ:( ゚д゚)ポカーン
わ、私はとんだ場違いの所に来てしまったのかも。
思わず、右肩が一瞬せり出してしまった。
すぐに戻したからバレてないと思うけど……。
私の名前は愛原リサ。
訳あって都内に住んでいる。
名字は私の世話をしてくれている愛原学先生から頂いた。
高橋正義兄ちゃん曰く、「いずれは日本一の名探偵になられる御方」ということで、私も先生と呼んでいたのだけれど、先生は弟子でもない私から『先生』と呼ばれるが嫌らしく、今は『さん』付けで呼んでいる。
BOWである私が学校に行きたいと言ったら、本当に行かせてくれたいい人。
でも、今日から学校は3連休である。
今日はクラスメートのサイトー(本名何だったっけ?)が家に招いてくれるという。
早速、お邪魔してみることにした。
正体を隠しているとはいえ、サイアク化け物になってしまうこの私に、いの1番に友達になってくれるなんて、実はいいコなのかも。
クラスの他のコ達は、「女王様気取り」だとか、「高飛車でワガママ」とか言ってるけど。
リサ:「それじゃ愛原さん、お兄ちゃん、行ってきます」
愛原:「ああ。友達付き合い、大事にな」
高橋:「ムカついたらボコして、どっちが強いか教えてやれ」
愛原:「おい!」
愛原さんと高橋兄ちゃんのボケとツッコミは面白い。
探偵としてだけでなく、漫才コンビとしてもやっていけるかも。
私は部屋を出て、マンションの入口まで行ってみた。
リサ:「サイトー、おはよう」
斉藤:「リサさん、おはよう!迎えに来たよ!」
リサ:「わざわざ?お家の場所、教えてくれたら自分で行ったのに」
斉藤:「いいのいいの!何しろ、初めての私のお客さんなんだからっ」(≧∇≦)
初めて?小学校の時、誰も家に招かなかった?
私には小学校時代の記憶が無いけれども、クラスの皆は……まあ、いいや。
それにしても……。
斉藤:「さーさー、リサさん!乗って乗って!」
マンションの駐車場に止まっていたのは、白塗りの高級車だった。
あいにく私は車には詳しくないので、どこのメーカーの何て車なのかは分からない。
黒いスーツ姿の白髪交じりのオジさんが、恭しく助手席後ろのドアを開けた。
(光岡自動車・ガリュー。これでも先代の年式である。写真はウィキペディアより)
リサ:「いいの?」
斉藤:「いいのいいの!」
私とサイトーは後ろのシートに座った。
何だか、前の席と間隔が広くて、却って落ち着かない。
車は檻に入れられて運ばれた時のトラックと、愛原さん達と乗ったタクシーと都営バスくらしか無いからなぁ……。
運転手:「それでは御嬢様、どちらまで参りましょうか?」
斉藤:「埼玉の実家まで送ってくれる?」
運転手:「かしこまりました」
リサ:「えっ、埼玉?」
車が走り出した。
斉藤:「そうよ。わたし、本当は埼玉に住んでたの。だけど中学受験を機に、1人暮らしを始めたの」
リサ:「一人暮らし!?」
中学生で!?
運転手:「専属メイドと2人暮らしでございます」
リサ:「メイド!?」
運転手:「時々家庭教師も来ますよ」
斉藤:「あっ、こら!勝手に言わないの!」
運転手:「大変失礼致しました」
リサ:「えっと……普段は学校の近くのマンションに住んでるってことだよね?」
斉藤:「そうよ」
リサ:「そっちに行かないの?」
斉藤:「お父さんがね、『気の置ける友達ができたら、うちに連れて来なさい』ってうるさいの。本当はマンションの方でも良かったのに」
運転手:「御嬢様、旦那様のお言い付けでございますので……」
斉藤:「分かってるわよ」
運転手:「それでは首都高速を通って参りますので、今一度シートベルト御着用の確認を」
斉藤:「はいはい」
愛原さん曰く、東京中央学園は私立なだけに、セレブな生徒もよく通うと聞いていたけど、まさかサイトーがそうだったとは……。
リサ:「あの、もしかして……」
斉藤:「なーに?大丈夫よ。ちゃんとリサさんのお父さんの言い付け通り、夕方までには帰るようにするから」
リサ:「そうじゃなくて、私も『斉藤さん』と呼んだ方がいい?」
斉藤:「やーだ、何言ってんの。私のこと気軽に呼んでくれたの、リサさんだけなんだから。リサさんだけはいいのよ」
あ、そうそう。
愛原さんは、学校では『私の保護者≒お父さん』ということになっている。
愛原さん的には、「まだそんな歳じゃねぇ」ということだけど……。
[同日11:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区上落合]
車は大きな一軒家が立ち並ぶ住宅街の中に入った。
そして、ひときわ大きな家の前で止まる。
リサ:「すごーい。大きなお家……。3階建て」
斉藤:「大したこと無いよ。部屋数は確保したいのに敷地が狭いから、無理くり3階建てにしただけよ」
しかし駐車場は広く、3台分は止まれそうだ。
しかもうち1台はこの車より、もっと高級そうな黒塗りの車が止まっていた。
リサ:「あの車は何?」
斉藤:「ああ、プレジデントね。あれはお父さんの通勤用。あれも新庄が運転するのよ」
リサ:「新庄?」
運転手:「ああ、私の事でございます。以後、お見知り置きを……」
新庄運転手は恭しく私にお辞儀をすると、車を車庫の中に入れた。
新庄:「お疲れ様でした」
斉藤:「ありがとう。暗くなる前にリサさんを送ってあげたいわ」
新庄:「かしこまりました。それでは本日16時30分の御出発で如何でしょう?」
斉藤:「そうね。それで頼むわ」
新庄:「かしこまりました。それでは16時30分に……」
私達は車を降りた。
斉藤:「よーこそ、ようこそ、リサさーん」
リサ:「お邪魔します……」
サイトーに連れられ、茶色いレンガの外壁が特徴の家に中に入る。
メイドA:「お帰りなさいませ、御嬢様」
メイドB:「いらっしゃいませ、愛原様」
執事:「どうぞ。旦那様がお待ちでございます」
斉藤:「とっととゴルフに行けばいいのに……」
リサ:( ゚д゚)ポカーン
わ、私はとんだ場違いの所に来てしまったのかも。
思わず、右肩が一瞬せり出してしまった。
すぐに戻したからバレてないと思うけど……。