報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「ワンスターホテルでの一夜、再び」

2017-09-25 19:26:00 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[9月12日18:00.天候:晴 東京都江東区森下 ワンスターホテル内レストラン“マジックスター”]

 稲生:「何とか分かりましたよ。幸いにも、情報提供者が現れてくれましてね」
 マリア:「そうか。それは良かった」
 稲生:「マリアさんの方は?」
 マリア:「何てことない。ナディアみたいなヤツだった」
 稲生:「ナディア……。悟郎さんの!?」
 マリア:「その例えで言うと分かりやすいだろう?」
 稲生:「そうですね」
 マリア:「あの例が他にもあったってことさ」
 稲生:「素晴らしいパターンですね」
 マリア:「ま、レアケースだと思うよ。私もその1人になろうとしてる」
 稲生:「なるほど。……えっ?」
 マリア:「で、そっちの詳しい話は?」

 稲生はマリアに東京中央学園での話を聞かせた。

 マリア:「よし、分かった。明日にでも行こう」
 稲生:「えっ、後輩を連れて行く必要がありますが……」
 マリア:「何で?」
 稲生:「合宿所の鍵とか、使用許可とか取りませんと……」

 マリアは溜め息をついた。

 マリア:「ユウタ、私達はもう一介の人間ではないの。世界を裏から操るダンテ一門の魔道師だ。そんなみみっちぃこと言ってちゃダメだ」
 稲生:「と、言いますと?」
 マリア:「鍵なんて普通の鍵なんだろう?」
 稲生:「今やオートロックで機械警備も入ってるという話です。ですから……」
 マリア:「一介の人間が作ったセキュリティなんぞ、これで……」

 マリアはサッと自分の魔法の杖を出した。

 稲生:「いや、しかし、まだ何の確証も無い状態で行くわけですから、ヘタに事を荒立てるのは……」
 マリア:「

 マリア、カウンターの上の酒をグイグイ飲む。

 キャサリン:「マリアンナちゃん!?それ、テキーラよ!?」
 稲生:「ええーっ!?」

 テキーラを飲み干したマリア、ドンッとグラスをカウンターに叩き置く。

 マリア:「ブハァ〜っ!ユ〜タ〜っ?!」
 稲生:「は、はい!?」
 マリア:「姉弟子のアタシがやるっつってんだから、素直にOKしろや!ああーっ!?」
 稲生:「よ、酔ってる!?」
 マリア:「だいたいまだ見習のアンタがマスターの私に意見するなんてどういう了見?上下関係がもっと厳しい組なら、それだけでビンタもんだよ、分かってんの?だいたいユウタは……」
 キャサリン:「あらあら」
 稲生:「キャサリンさん、助けてください!」
 キャサリン:「んー、まあ、確かにそこはマリアンナの言う通りかもって思うかな」
 稲生:「そんなぁ……」
 マリア:「まだ分かんないんなら、脱げ!」
 稲生:「何でですか!?」
 マリア:「意気地が無いんなら、チ◯ポ付いてるのか確認してやる!」
 稲生:「やめてください!」
 マリア:「アタシの言う事聞けないってんなら脱げーっ!」

 その頃、フロントにいるエレーナは、レストランの様子を水晶球で見ていた。

 エレーナ:「ったく。何でこう魔女ってのは、酒癖悪いヤツ多いかな……。なあ?リリィ」
 リリアンヌ:「フヒッ!?お、お酒飲んだ方が……その……魔力が高まると言いますかぁ……フフフフ……」
 エレーナ:「皆してアル中まっしぐらだね」
 リリアンヌ:「わ、私は飲ま……必要な時しか飲みませんよ……」
 エレーナ:「とにかく、リリィはまだ小さい体なんだから、酒は飲み過ぎるなってことよ」
 リリアンヌ:「フヒヒヒ……。気をつけます……」

 で、レストランから戻って来る稲生。
 随分ズタボロである。

 エレーナ:「なに?その逆レ◯プされた感マックスみたいな恰好はw」
 稲生:「ええ。逆レ◯プされました」
 エレーナ:「ヤられる瞬間、アンコールwww」
 稲生:「ったく。他人事だと思って……」
 キャサリン:「エレーナちゃん、ちょっとマリアンナちゃん運ぶの手伝ってくれる?」
 エレーナ:「リリィ、行って来い。悪酔いウィッチーズ」
 リリアンヌ:「フヒッ!?で、でも……私1人の力じゃ……とても、マリアンナ先輩を運ぶのは……」
 エレーナ:「何も素手でやれとは言ってないよ。車で運べばいい」
 リリアンヌ:「フヒッ、なるほど。分かりました」

 リリアンヌ、奥へ1度引っ込む。
 そして、ガラガラと押して来たのは……。

 稲生:「車椅子じゃなくて、台車かよ!」
 リリアンヌ:「フヒッ!?だ、ダメですか?」
 エレーナ:「あー……うん。これが一般のお客様になら後で説教だけど、マリアンナだったら許す」
 マリア:「てめ、このやろ……!ヒック!」
 エレーナ:「あー、はいはい。酔っ払いは黙って寝てな」
 稲生:「いいよいいよ、僕が車椅子持って来る!奥のどこにあるの?」
 エレーナ:「フロントの中にあるよ」
 稲生:「あるなら言えよ!」
 リリアンヌ:「稲生先輩、私も手伝います」
 稲生:「ああ、悪いね」

 やっとマリアを車椅子に乗せて、エレベーターへと突き進む。

 稲生:「マリアさん、エレベーター乗りますよ」
 マリア:「シンドラーで死んでらーなんてヤだよ。ヒック!」
 稲生:「大丈夫です。日立製ですから」
 リリアンヌ:「では、5階へ。フヒヒヒヒ……」

 エレベーターのドアが閉まった。

 オーナー:「マリアンナさん、随分と明るい性格になったじゃないか」
 エレーナ:「オーナー。ただ単に、酒癖悪いだけだと思いますけどねぇ……」
 オーナー:「しかし、少なくとも、稲生さんとかなり打ち解けているのは事実だろう。あれが『根暗な魔女でも、必ず明るく幸せになれる』という流れになってくれるといいんだけどねぇ」
 エレーナ:「……だったらオーナー。うちの流派は間違ってると思います」
 オーナー:「どうして?」
 エレーナ:「男と打ち解けて幸せになれたら、確かに素晴らしいことですが、そもそもダンテ門流の魔道師の9割は女ですよ」
 オーナー:「そこなんだよなぁ……。何でこう、男女比が偏り過ぎているかなぁ……」
 エレーナ:「その『根暗な魔女』達が、男の入門を妨害するからでしょうね。勇太が入って来た時も、えっらい騒ぎでしたから」
 オーナー:「それが今や……。ほんと、何でもやってみるものだよ」
 エレーナ:「そうですね」
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本日の動向 20170925

2017-09-25 17:51:14 | リアル旅行記
 先ほど帰宅しました。

 宿泊先のスーパーホテル富士宮を出た後の私は、富嶽温泉華の湯に行って温泉を楽しんだという次第であります。
 さすが宿泊もできる施設なだけあって、ほんの数時間だけ滞在するには勿体ないくらいの設備を兼ね備えていた。
 風呂の数がいくつもあり、全て入っていたらのぼせてしまうほどだ。
 報恩坊時代に行った記憶があるのだが、もう忘れたな。
 是非また行きたい所である。

 
 (ホテルの客室窓から撮影した富士山。まだ雪は無い。私の場合、大石寺に行かない時にのみ富士山が顔を出してくれる)

 
 (レストラン入口で対応するバージョン5.0Pepper君。怯えているような顔をしているのは、私の背後にマルチタイプの識別信号を受信したからか)

 
 (復路も南朝鮮製ヒュンダイだっ、この!狭いし、エンジン音うるさいし!その割に加速力弱いし)

 日曜日の月曜日だと空いてていいね。
 特に、富士山の登山道が閉鎖された後ともなると。
 大石寺参詣抜きでも、改めて観光したい町である。
コメント (9)
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“大魔道師の弟子” 「再・学校であった怖い話」 2

2017-09-25 08:30:24 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[9月12日13:15.天候:晴 東京都台東区 学校法人東京中央学園上野高校]

 沼沢:「よお、稲生か。また来てくれたのか。今日はどうした?」

 稲生はまず担任だった沼沢と会うことにした。

 稲生:「沼沢先生、お久しぶりです」

 基本的に他校への転勤が無いのが、私立の良い所だ。

 稲生:「実は今の新聞部長に会いたいんですよ」
 沼沢:「新聞部長だって?分かった。もうそろそろ終わる頃だから、ちょっと待っててくれ」
 稲生:「終わる?」
 沼沢:「昨日、今日と定期テストだぞ。9月の今頃はその時期だ」
 稲生:「あ……」
 沼沢:「『変な人形が出るー』とか、『逆さ女が!』とか騒いでたなぁ……」
 稲生:「いや、ハハハ……」
 沼沢:「あの銀髪の剣客さんは元気か?」

 威吹、伝説になっていた。

 稲生:「ええ、おかげさまで。今ではもう妻子持ちですよ」
 沼沢:「ほお。それはそれは……」

 そんな感じで話し込んでいると、学校のチャイムが鳴った。

 沼沢:「おっ、終わったな。じゃあ、ちょっと校内放送掛けて来る」
 稲生:「どうもすいません」

 それからしばらくして、稲生と現在の新聞部長が部室で合流した。

 部長:「あの伝説の先輩が来られるなんて……。一体、何があったんですか?」
 稲生:「あれからもう5年以上は経っているのに、まだ伝説になってるんだ」
 部長:「そりゃもう!会合を開くだけで呪われるという伝説をクラッシュしてくれたOBとして有名ですよ」
 稲生:「あれは僕もいっぱいいっぱいだったよ。それにあの時は他の部員や協力者の人達のおかげで、まあ何とかなったようなものだし……」
 部長:「是非またお話を聞かせてください」
 稲生:「そうだね。ところで今日、僕が来たのは他でも無いんだ」
 部長:「何でしょう?」
 稲生:「僕が卒業してから、『学校の七不思議特集』を何度かやったみたいじゃない?」
 部長:「ええ」
 稲生:「その時の記事や取材メモを見せてもらうことはできないか?」
 部長:「構いませんよ。先輩の頼みでしたら」
 稲生:「すまない」
 部長:「でも先輩」
 稲生:「あー、大丈夫。メモの内容はみだりに口外したりしないよ」
 部長:「あ、いえ、そういうことじゃなくて……」
 稲生:「ん?」
 部長:「取材メモはかなり膨大ですよ。何をお探しなんですか?ある程度、的を絞ってからの方が……」
 稲生:「うん。実は合宿所であった怖い話を探してるんだ」
 部長:「合宿所……。あの栃木にあるヤツですか」
 稲生:「そう」
 部長:「それなら、先輩達が自らボクシング部であった怖い話を取材されてるじゃないですか」
 稲生:「いや、それじゃない。それ以外のものを探してるんだ」
 部長:「それ以外のもの……?自分の代では取材してないですねぇ……」
 稲生:「そんな簡単に……」
 部長:「だってそうじゃないですか。いくら学校の施設とはいえ、この上野高校以外の場所で怪談話ってほとんど無いんですよ。男子バレー部も合宿所に行って、そこに棲んでいた幽霊に嫌がらせされた話はありましたが、実際にその幽霊が嫌がらせをし始めたのはここに帰って来てからですからね」
 稲生:「それは僕の代での話だよね。とにかく、取材メモを見せてくれないか」
 部長:「分かりました」

 部長が取材メモが保管されている棚を開けようとした時だった。
 部室のドアがノックされた。

 部長:「はい?」

 部長が部屋のドアを開けた。
 すると、そこにいたのは……。

 男子生徒:「こんにちは。新聞部の部室は、ここでよろしいですか?」
 部長:「そうだけど……」
 男子生徒:「僕は1年5組の荒田譲治と言います。こちらに新聞部のOBの人が来てらっしゃると聞いて来ました」
 稲生:「僕のことかい?」
 荒田:「稲生勇太先輩ですね。僕、大河内の従弟です」
 稲生:「お、大河内君の!?」

 あまり似てないなと思った。

 荒田:「ロックな彼と違って僕は文科系なので、あまり似てないと言われます」
 稲生:「あ、いや、その……」
 荒田:「僕もこの学校の怖い話は知ってるんですよ。ここに来られたということは、それをお探しになったのかと思いまして」
 稲生:「まだ1年生なのに?……あー、1年生でも怖い話を知っていた人はいたか」
 荒田:「ええ。僕の場合、その従兄から聞いた話なんですよ」
 稲生:「僕も聞いたことがある話かな?」
 荒田:「それは合宿所であった話のことですか?」
 稲生:「えっ?いや、違うよ!」
 荒田:「僕が聞いたのは、その合宿所であった話のことなんですよ」
 部長:「それは素晴らしい。早速聞かせてもらいましょうか」
 稲生:「もうお昼時だ。2人とも、まだお昼まだでしょ?お昼でも食べながらにしよう」
 荒田:「先輩の奢りですね。ごちそうさまです」
 部長:「ゴチです!」
 稲生:「いや、まあ、そうなんだけど……」

 稲生は苦笑した。

[同日14:00.天候:晴 JR上野駅前 某ファーストフード店]

 稲生:「『3時の魔道師』か。名前からしてガチっぽいな」
 部長:「それにしても先輩、どうして合宿所の怖い話を探してるんですか?」
 稲生:「あー、えっと……それは……」
 部長:「もしかして先輩方が対処した『魔界の穴』と関係あるんですか?」
 稲生:「関係あると言えばある、無いと言えば無いかな」
 荒田:「何ですか、それは?」
 稲生:「それを確認したいんだ。だけど、何の確証も無く行けるわけないし。だからもし新聞部で既に取材してないか、まず確認に来たんだ」
 荒田:「それじゃ、物凄く良いタイミングだったわけですね」
 稲生:「そういうことになるね」

 稲生はズズズとコーヒーを啜った。

 稲生:(今やこっちが怪談話を発生される側、とはさすがに言えない……。それにしても、『3時の魔道師』か……)
 部長:「『3時の魔道師』とやらは、誰が名付けたんだい?」
 荒田:「あ、それは僕です。元々名前が無いので、僕が便宜上付けたんです」
 稲生:「なるほど。合宿所にある特別な時計を操作すれば現れるというわけか」
 荒田:「そうです。だけど、合宿所なんてなかなか利用する機会が無いじゃないですか」
 稲生:「確かに。僕も新聞部の取材ということでなけりゃ、行く機会無かったな」
 部長:「分かりました。それなら、自分から合宿所に行けるように手配してみます」
 稲生:「うん、よろしく頼むよ」
 荒田:「僕も、この話の提供者ということで同行させてはもらえませんでしょうか?」
 部長:「分かった。話を付けてみる」
 荒田:「よろしくお願い致します」
コメント (2)
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