報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“新アンドロイドマスター” 「結月ゆかりのフィールドテスト」

2015-03-22 11:03:57 | アンドロイドマスターシリーズ
[3月23日11:30.JR大宮駅 井辺翔太&結月ゆかり]

〔お待たせ致しました。まもなく終点、大宮駅西口、終点、大宮駅西口。……〕

 井辺達を乗せたバスは無事バスプールに到着した。
 運賃はSuicaで払う井辺だが、ゆかりがPasmoで払っているのを見て、
「それは社長から?」
「いいえ。研究所からです」
 ゆかりは使用したカードを首にぶら下げながら答えた。
(デイライトはどれほど関わっているのだろう……?)
 バスから降りて駅から向かう際、井辺はそう思った。
 敷島の話からしてマルチタイプの製造を計画しているらしいが、実際今手掛けているのはこのようなボーカロイドである。
 バスに乗り降りする際、読み取り機に残額が表示されるが、マックスの金額が入金されているようだった。
 ボーカロイドへのはなむけのつもりだろうか。
「プロデューサー、これからどこへ行きますか?」
「もちろん事務所です。他のメンバーとの顔合わせもありますので。ただ、社長からは『なるべくゆっくり遠回りで来てくれ』と言われています。なかなかアバウトな指示なので、どうしたら良いか……」
「何時までに事務所に着けばいいとか……」
「いや、それもありません。まあ、終業時間が18時なので、どんなに遅くても、それまでには着いた方が良いとは思いますが」
「なるほどー」
「まずは財団があった場所をご案内します。あなたもボーカロイドである以上、避けては通れぬ道であることを伝えよとのことです」
「避けては通れない……道?」
「ええ」

[同日11:41.大宮駅・埼京線ホーム→電車内 井辺&ゆかり]

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。22番線に停車中の電車は、11時41分発、各駅停車、新宿行きです〕

「階段の昇り降りなど、段差のある所でも大丈夫なようですね」
「はい」

〔「各駅停車の新宿行きです。まもなく発車致します」〕

 ホームに発車メロディが鳴り響く。
「!」
 それに反応するゆかり。
「どうか、しましたか?」

〔22番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

「……歌は流れないんですね?」
「まあ、発車メロディですから。浦和美園駅では歌付きだと聞いたことがあります(※)」
 ※埼玉スタジアムで浦和レッズの試合がある時のみ。当然、流れる歌は浦和レッズの応援歌。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は埼京線、各駅停車、新宿行きです。次は北与野、北与野。お出口は、右側です〕

「まずはメンバーとの顔合わせなどが先です。まだ、あなたは持ち歌とかもありませんからね」
「はい」

 電車が地上に出ると、しばらくの間は見晴らしの良い所を走る。
 空気の澄んだ冬場、天気が良ければ富士山を見ることも可能だ。
 春の今は微かに見えるか見えないか、である。

 しばらく電車が南下すると、戸田市内の各駅に停車する。
 停車時間は僅かなのだが、戸田市内各駅の上りホームの発車メロディは、戸田市歌“ああ わが戸田市”のトリ部分が流れる。
 埼玉県内のJR駅では、よくあることである(大宮駅1番線のさいたま市歌、熊谷駅高崎線ホームの熊谷市歌など)。
(何でライブラリの中に入っているんだろう?)
 井辺は手持ちのタブレットの中に、今現在ゆかりが歌えるものの中に、“ああ わが戸田市”が入っていることに首を傾げた。
 時間調整で長めに停車した戸田公園駅で、発車メロディが長めに流れたものだから、危うくゆかりが歌い出すところだった。
(もしかしてこの演出の為に、社長はあんなことを……。今となっては分からないが……)

[同日12:20.JR新宿駅→西新宿 井辺&ゆかり]

 緑色の帯を巻いた電車がまだ何か工事をしているホームに入線した。

〔しんじゅく〜、新宿〜。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

「人の多い駅です。歩行には十分気をつけてください」
 と、井辺は注意を促す。
 それでもまた貨物線(だった)ホームは、それほどでもないのだが……。
「おおー。人がいっぱいですねー」
「新宿駅ですから。西口へ向かいます」
 センサーとカメラを駆使して、ゆかりは人でごった返すコンコースを通過して行く。
「上手いですね。これなら現場などへも1人で行けそうですね」
「ありがとうございます」

 西新宿の高層ビル群。
 そのうちの1つに、財団が入居していたビルがあった。
 だが、その高層階部分は工事をしていた。
 中に入ってみると、『40階から上は改修工事の為、閉鎖中です』と書かれている。
「プロデューサー、これは?」
「テロの爪痕です」
「えっ?」
「財団が退去する1ヶ月前に、このビルの高層階でテロが発生したそうです。イスラムの過激派は人間が爆弾を抱えて飛び込んできますが、ここではロボットが自爆することで起きた爆弾テロだそうです。おかげで、解散が早まりました。見事、先方の思惑通りになったということですね」
「それと私と何の関係が……?」
「デビュー前のボーカロイドが何体か破壊されました」
「え?……ええーっ!?」
「テロ組織の目的は財団の早期解散と、ボーカロイドの破壊でしょう。正しく、先方の勝利です。あなたも、その脅威に晒されているということです。その覚悟を決めて頂く期間でもあるのです」
 と、井辺は言った。
 それはまるで、自分にも言い聞かせているようだった。
「わ……私、頑張ります!ボーカロイドとして!」
「一緒に頑張りましょう」
「はい!」

 このビルの1階にあるカフェ。
 井辺はここで昼食を取ることにしたのだが、これも織り込み済み。
 何故なら……。
「いらっしゃいませ!カフェ“シーサイド新宿”へようこそ!メニューです!」
 メイド服を着た店員がやってきた。
「どうも」
「…………」
 相変わらずポーカーフェイスで表情を変えない井辺に対し、唖然とするゆかり。
「……プロデューサー、ここ……メイド喫茶か、何かですか?」
「まあ、そうでしょうね。ただ、秋葉原にある件の店とはノリは違いますが。何故なら……」
「製造番号MA21-22.メイド7姉妹、“海組”の1機、メイドロボットの六海(むつみ)です。かずみん(一海のことか?)がお世話になっています。敷島エージェンシーのプロデューサーさん」
「いえ、どうも。……名前まではまだ登録されていませんか。まあ、いいです。この、ランチセットのBを。その間、彼女用の充電器と冷却用のラジエーターも合わせてください」
「かしこまりました!」
 六海が行ってしまうと、井辺はつぶやくように言った。
「一海さんと同型機でしたか。それでよく似ていたのですね」
 因みに番号順に製造順番が決まっているのかというと、そうではないらしい。
 何故なら1番最初にできた七海が、そういう名前だからだ。
 んでもって、7機全て製造されているわけではないらしい。
 因みにその説明は手持ちのタブレットで、六海などの個体をスキャンすることで可能。
 カメラやQRコード読取機で、体全体を読み取るような感覚でOKだ。
「因みに秋葉原には秋葉原で、別のメイドロボ喫茶があるそうです」
「へえ……。皆、頑張ってるんですねぇ……」
「財団解散後、引き取り手の無かったメイドロボットを廃棄するのは勿体ないと、敷島社長のような方がカフェを経営することになったそうです。……ので、経営母体は新宿も秋葉原も同じです」
「廃棄!?捨てちゃうんですか!?」
「まあ……保管場所も無いそうですし、稼働もしていないロボットに掛けるメンテナンス費用も勿体ないということですね」
 井辺は上司から言われただけのことを、そのまま言っただけだったが……。

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2 コメント

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つぶやき (作者)
2015-03-22 15:11:44
日曜日に寺院参詣なんて久しぶりだ。
泊まり勤務明けで行ったので眠い。
埼京線は何でよく眠れるんだろう?
来月の添書登山の申し込みだ。
高速バスも予約したし、月1登山の自己誓願は一応達成できている。
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つぶやき 2 (作者)
2015-03-22 18:45:49
 今日で無くなる最後の現場に、挨拶して一日が終わる。
 メトロ有楽町線や、りんかい線に乗り鉄する機会も無くなるだろう。
 メトロ10000系にも、さよならだな。

 ……あ、りんかい線はコミケで乗るからいいかw
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