日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

政治が面白くなった そして最先端研究開発支援プログラムの2700億円は

2009-09-19 13:12:12 | Weblog

09年度補正予算の執行見直しがいよいよ動き出したが、その経緯を報じる朝日朝刊の見出しがなかなか面白い。大まかな見直し基準はトップダウンで決めるものの、数値目標はあえて設けない。となると各閣僚がどの程度の執行凍結額をもってくるかでその働きぶりや、官僚の忠誠度が試されることになる、と言うことらしい。国民の目にも分かりやすい。お手並み拝見と行こう。

最先端研究開発支援プログラムについても、次のような記事が四面に出ていた。


これでまず分かったことは、最先端研究開発支援プログラムの予算執行停止に権限を持つのが菅直人副総理であるということ、川端達夫文部科学相はその基金を使えるようになれば有難いと思う立場にあること、である。09年度補正予算はもともと景気刺激のために組まれたもの。最先端研究開発支援プログラムは景気刺激に即効のあるようなものではないし、その観点からは予算執行の優先順位は決して高くはない。この記事にある菅副総理の所見は妥当であると思う。

ここまで書いてきてGoogleニュースを見ると、早くも次のような記事が出ていた。

最先端研究費:2700億円の支給対象者再検討 副文科相

 2700億円の研究費を30人の研究者に配分する「最先端研究開発支援プログラム」について、鈴木寛・副文部科学相は19日未明の会見で、支給対象者の再検討も含め見直すことを明らかにした。

 このプログラムは09年度補正予算で計約4.3兆円を計上した46基金の一つ。総選挙後の9月に麻生政権が、ノーベル賞受賞者の田中耕一・島津製作所フェローや人工多能性幹細胞(iPS細胞)を開発した山中伸弥・京都大教授などの支給対象者30人を公表した。岡田克也・民主党幹事長(当時)は「この時期に決まることに違和感を覚えないわけではない。凍結も当然ある」と話していた。

 鈴木副文科相は「2700億円という額以上に、支給対象者の選考プロセスに問題がある」と指摘。「麻生首相の『とにかく早くやれ』という指示で、十分議論のないまま、荒っぽい方法で選考された。30人という人数を含めて再検討したい」と話した。今後、川端達夫文科相、科学技術担当相を兼務する菅直人副総理・国家戦略担当相を中心に精査するという。【奥野敦史】
(毎日新聞 2009年9月19日 10時42分(最終更新 9月19日 11時30分))

やはり文部科学省もそれなりの権限があるのか、どうもこの辺りが分かりにくい。この記事の強調表示は私がしたが、いったいこの鈴木副文科相が何をしようとしているのか、これだけでは判断がつかない。当面求められているのは予算の執行か停止の決定であるから、『支給対象者の選考プロセスに問題がある』とは具体的に何を指すのか分からないが、要は即執行停止を示唆しているのであろうか。

その一方、『30人という人数を含めて再検討したい』とはどういうことなのか。これは予算執行を前提にしていると受け取られるので、即執行停止とは辻褄が合わない。さらに言えば、菅副総理、川端文部大臣の発言以上に鈴木副大臣が立ち入った取り沙汰しているのはどういうことだろう。官僚の口を封じた分、それぞれの政治家がおしゃべりを楽しむようになったのだろうか。2700億円は執行停止にはしないが、支給対象者の人数を含めて選考し直す、と副大臣が言いたいのであれば、それはお門違いというもの、口出ししすぎである。科学立国を目指しての戦略は、やはり識見の高い科学・技術者を含めて打ち立てるべきものであるからだ。