「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「アガパンサス」

2006-06-29 00:15:31 | 和歌

 ハッキリせずに、鬱陶しい梅雨空の気分を晴らして、アガパンサスが咲いた。
 
 この花は、稀に見る涼やかな色調が命ゆえ、的確な色の名前を使いたいものだと思った。
「白藍しらあい」或いは「瓶覗かめのぞき」等の名前が思い出されたが、オボロな記憶は頼りにならないので、色見本と比べてみたらどうもシックリしない。あれこれ比べていたら「淡藤色あわふじいろ」に出会った。絵心が無い虚庵居士ゆえ、適格か否かは自信がないが、当らずとも遠からずであろう。薄い紫がかって爽やかな色調が、陰鬱な気分をスカッとさせてくれる。





 梅雨の合い間をネラッテ写真に納めたが、爽やかではあるが余りにクッキリ・コッキリしすぎて、合点がゆかない。その内に雨が降り出した。雨に濡れるのは苦手の虚庵居士ゆえ、辛抱できずに切り上げたら、案の定、素人写真になったが、雨に濡れるアガパンサスにはそれなりの潤いがある。

 何本かの茎を陽ざしに向けてニョキニョキと伸ばす姿は、横文字で賑やかにお喋りをしながら、乙女たちが背比べする様を想像させて、ユーモラスな風情もある。和名を「紫君子蘭」と言うそうだが、「うつろ庵」の庭にも馴染んで咲いている。






             うつろ庵の庭には稀な横文字の
 
             花咲きにけり梅雨のさなかに 



             シャンと立つ茎の頂き さんざめく
 
             乙女のお喋りアガパンサスかも 



             降る雨に濡れるも厭わず嬉々と咲く
 
             淡藤色のアガパンサスかな