小昼顔が、清楚に咲いていた。
「うつろ庵」と同じ町内に、竹枝垣を設えているお宅があるが、竹枝垣が古びて何とも居えぬ風情を醸している。このお宅は、別荘代わりにここを使っておられて、時々しか住人にはお眼にかかれない。普段は東京にお住まいのようだ。殆ど留守をされているので、当然のことではあるが、建物や、庭木などの手入れも侭ならないようにお見受けしてきた。果たして今年は竹枝垣に小昼顔が絡んで、花を咲かせた。
無責任な傍観者としては、小昼顔が絡んだ古びた竹枝垣は、この上ない初夏の情景で、このお宅の前を通る度に、楽しませてもらっている。
願わくば、たまの滞在の折に、雑草と一緒に引き抜かないで欲しいものだ。
頬紅を薄くはたくや小昼顔の
花咲きにけり竹枝垣にも
何故ならむ浴衣の乙女の立ち姿に
思い重なるこひるがお哉
団扇絵に描き写して贈らむか
孫の乳呑み児 持つ手を夢見て