「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「越路下野草」

2006-06-12 00:04:05 | 和歌
 行きつけの蕎麦屋で、「蕎麦湯割り」と「とろろせいろ」を頂いて、いい気分で外に出たら、
門べに何とも繊細な花が咲いていて、見送ってくれた。

 店の中に取って返して、女主人に花の名を問うた。
「こしじしもつけそう、で御座います」
「??・・・」
「越路下野草と書きますのよ、おほほ・・・」

 茶花によさそうな、品のある花だった。
帰宅して調べたら、「京鹿子」という区別の付け難い園芸種もあるらしい。「下野」とも「下野草」ともよく似ている。「越路下野草」は草の字が使われているが、歴とした花木である。何ともややこしい花名であるが、何か謂れがあるに違いない。(後日調査の結果、花木ではなく、「多年草」だと判明したので、注記する。)

 梅雨が始まって間もないが、繊細に咲く「越路下野草」に出会えて、今年の梅雨は爽やかに過ごせそうだ。






             蕎麦湯割と とろろ蒸籠(せいろ)を頂けば
   
             越路下野 門べに見送る
  


             玉蕾はじけて咲けば稚けくも
  
             線香花火を思ほゆるかな
  


             この夏は孫を抱きて花火せむ
  
             越路下野花の如きを