生垣の珊瑚樹が花を付けた。
花自体はごく小さなものだが、花房は二十センチ程もあろうか、かなりの大きさだから、遠くから観ると緑の葉の中に、ぽっと白い花房が浮かんで、意外なほど存在感がある。
蜂たちも目ざとく見つけて、沢山集まって来る。眼で見て飛んでくるのか、発達した嗅覚を駆使して、これに導かれて来るのかは知らないが、かなりの数の蜜蜂や、時には写真のような熊蜂(くまんばち)もやって来て、熱心に花蜜をあさっている。よい香りと言うにはほど遠いが、蜂たちにとっては噎せ返る芳香と、堪らない花蜜なのであろう。
蜂たちの次には、アブラムシと蟻の共演が始まる。何処からともなく発生するアブラムシが、花房や、葉の新芽に取り付いて樹液を吸い始める。これを察知した蟻たちは、アブラムシから分泌される体液を求めて、見事なコラボレーションが展開される。
蟻が手(前足)でアブラムシの「背中を愛撫する」と、アブラムシはこれに応えて体液を分泌するらしい。珊瑚樹は様々なドラマを見せてくれる、愉快な大劇場でもある。
生垣の白き花房見やりつつ
声掛けにけり 行くさ還るさ
手のかかる生垣なるかとボヤキつつ
焦がれぬるかも秋の珊瑚に
熊蜂も蜜蜂たちも集いきて
羽音 かしまし 昼の 花房