「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「珊瑚樹」

2006-06-15 00:43:59 | 和歌


 生垣の珊瑚樹が花を付けた。

 花自体はごく小さなものだが、花房は二十センチ程もあろうか、かなりの大きさだから、遠くから観ると緑の葉の中に、ぽっと白い花房が浮かんで、意外なほど存在感がある。

 蜂たちも目ざとく見つけて、沢山集まって来る。眼で見て飛んでくるのか、発達した嗅覚を駆使して、これに導かれて来るのかは知らないが、かなりの数の蜜蜂や、時には写真のような熊蜂(くまんばち)もやって来て、熱心に花蜜をあさっている。よい香りと言うにはほど遠いが、蜂たちにとっては噎せ返る芳香と、堪らない花蜜なのであろう。

 蜂たちの次には、アブラムシと蟻の共演が始まる。何処からともなく発生するアブラムシが、花房や、葉の新芽に取り付いて樹液を吸い始める。これを察知した蟻たちは、アブラムシから分泌される体液を求めて、見事なコラボレーションが展開される。
蟻が手(前足)でアブラムシの「背中を愛撫する」と、アブラムシはこれに応えて体液を分泌するらしい。珊瑚樹は様々なドラマを見せてくれる、愉快な大劇場でもある。






             生垣の白き花房見やりつつ

             声掛けにけり 行くさ還るさ
 


             手のかかる生垣なるかとボヤキつつ
 
             焦がれぬるかも秋の珊瑚に



             熊蜂も蜜蜂たちも集いきて
 
             羽音 かしまし 昼の 花房