「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「金糸梅」

2006-06-13 15:34:35 | 和歌

 金糸梅が雨にしとど濡れて、咲いていた。

 枝の下には、花びらがかなり散り敷いている。雨に叩かれたゆえか、花時を迎えて、既に日を経たのであろうか。或いは道行く人が触れて、散り敷いたか。

 雨の滴が溜まりやすいこの花は何れも首を傾けて、雨を凌ぐ術を弁えているようだ。自然の花達の防御本能には、驚くばかりである。

 花には気の毒だが、梅雨のころの花は、雨に濡れて滴を湛えた姿に風情があって、虚庵居士は好きだ。雨の中を傘を差して花を愛ずる男など、およそ様にはならないが・・・。

 金糸梅と花の色も、姿もよく似た 未央柳(びょうやなぎ)という花がある。
その花こそが「金糸」に相応しいと、虚庵居士には思われるのだが・・・。中々お眼にかかれないのが、残念である。






             風吹かば湛える滴も落ちなむに
  
             こうべを傾け耐える花かな
  


             花びらの先に湛える大粒の
  
             雫の光る金糸梅かも
  


             金糸梅のさ枝な垂れそ行く人の
  
             みあしに花の触れなば散らむに