昨年、ご近所の「おばあちゃま」に頂いた風蝶草が咲いた。
おばあちゃまの庭に咲いていた、いや殆ど咲き終わって、長い髭に萎れた花びらが纏わり付いた「異形の花」を見て、花の名前を教えて貰ったのが、おばあちゃまとの馴れ初め。その時もお話し好きなおばあちゃまは、中々お話が止まらなかった。
その日の夕暮れ近くになって、おばあちゃまが「風蝶草・クレオネ」と「姫檜扇・ひめひおうぎ」を持って来て下さった。夕暮れの門べでも、お話をたっぷりと愉しんでお帰りになった。その時の風蝶草のこぼれ種が育って、花を咲かせてくれた。
昨日、おばあちゃまは通りすがりに「あら、咲いたわね」とひと言だけ声を掛けて行過ぎた。「姫檜扇はいかが?」とのひと言が無くて、虚庵居士はほっとした。「姫檜扇」は鉢植えの手入れが不十分だので、枯れてしまったかと心配したが、辛うじて芽を出したものの花を付けなかったからだ。
クレオネが、微かな風に揺れていた・・・。
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おばあちゃまの風蝶草ぞ咲きにけり
「あら 咲いたわね」の ひと声涼やか
とまらないお話しどこまで続くやら
花に始まり孫のことども
今日昨日おとといの花それぞれに
表情豊かなクレオネ揺れいて