「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「フェイジュア」

2006-06-17 00:39:03 | 和歌

 「けったいな」花に出会った。






             白妙の花びら内より押し広げ
 
             しべ紅に いきり立つかな



 偶々居合わせたご主人に伺えば、「フェイジュア」だという。レモン大の緑色の果物が生るそうだ。「果物屋でも見かけませんね」との問いかけに、「南米原産で最近になって輸入した果物ですから、国内ではまだ少ないのでしょう」とのご返事であった。


 四枚の花弁は、満開になるとピンクの内側を包み込むように筒状に丸まって、白く垂れ下がる。赤い針状の蕊を支える姿も、中々ユニークである。ご主人は立ち話をしつつ、白い花びらを摘み「ひょい」と口に入れた。あっけに取られていたら、「甘いんですよ」と勧められて、口に含んでみた。
しつこくない甘さと、ほろ苦さが口に広がった。

 「挿し木で簡単に根付きますよ、よかったらお持ちになりますか?」
と聞かれるので、一枝切って下さるのかと思ったら、挿し木して五十センチ程に育ち、蕾を付けた一鉢を下さった。

 今朝見ると頂戴した細い苗木が、見事に花を咲かせて、雨に濡れていた。



             フェイジュアの紅の蕊 金色の
 
             粒を誇るか高く掲げて 







             頂きしフェイジュアの花咲きにけり
 
             雫を湛えて煌めく朝かな