「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「未央柳」

2006-06-16 00:08:10 | 和歌

 探し求めていた「未央柳・びょうやなぎ」の花に、やっとめぐり逢えた。






             いと細き金糸の蕊を揺らしつつ
 
             小虻飛び来る昼下がりかな 



 細い金糸を一杯に広げるこの花には、もっと相応しい名前を授けてやりたいと思うのだが・・・。植物学も花にも詳しくない虚庵居士が云々するのは、差し控えるべきかも知れないが、「未央柳」という名前では、繊細な金糸を誇る花に、申し訳ない思いが募るというものだ。

 つい数日前に、雨にしとど濡れて風情ある金糸梅に会ったが、「金糸」の名前は、この花にこそ使わせてやりたいものだ。

 花は己の命を弁えて、然るべき身の処し方するが、この花の散り際ほど鮮やかな例を他に知らない。最も誇りとする金糸の蕊(しべ)を、一番先に思い切りよく「はらり」と落とし、その後
おもむろに花びらを散らして、醜い萎れた姿をとどめないのだ。

 たまたま写真を撮っていたら、その「金糸の蕊」がはらりと散った。
 この蕊をこよなく「いとおしむ」虚庵居士への、無言の挨拶であろうか。






             ぬばたまの黒きドレスの胸元は 
 
             未央柳の金糸ぞ映えなむ



             たまきはる命を知るらめ 未央柳の 

             無言のあいさつ 金糸しべ散る