探し求めていた「未央柳・びょうやなぎ」の花に、やっとめぐり逢えた。
いと細き金糸の蕊を揺らしつつ
小虻飛び来る昼下がりかな
細い金糸を一杯に広げるこの花には、もっと相応しい名前を授けてやりたいと思うのだが・・・。植物学も花にも詳しくない虚庵居士が云々するのは、差し控えるべきかも知れないが、「未央柳」という名前では、繊細な金糸を誇る花に、申し訳ない思いが募るというものだ。
つい数日前に、雨にしとど濡れて風情ある金糸梅に会ったが、「金糸」の名前は、この花にこそ使わせてやりたいものだ。
花は己の命を弁えて、然るべき身の処し方するが、この花の散り際ほど鮮やかな例を他に知らない。最も誇りとする金糸の蕊(しべ)を、一番先に思い切りよく「はらり」と落とし、その後
おもむろに花びらを散らして、醜い萎れた姿をとどめないのだ。
たまたま写真を撮っていたら、その「金糸の蕊」がはらりと散った。
この蕊をこよなく「いとおしむ」虚庵居士への、無言の挨拶であろうか。
ぬばたまの黒きドレスの胸元は
未央柳の金糸ぞ映えなむ
たまきはる命を知るらめ 未央柳の
無言のあいさつ 金糸しべ散る