Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
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食べ物の好き嫌い

2006-06-04 23:21:37 | リベリア
日本食をご馳走したい、という友人の希望でシカゴ郊外にある日本人家庭にムスとファトゥを連れて行くことになったのだが、ちょっと気になることがあった。

僕自身も最近気づいたのだが、彼女たちは食べ慣れたアフリカ料理以外、ほとんど食事を受けつけないのだ。

リベリアではスパイスのきいた魚のスープとライス、チキンやキャッサバの葉などを良く食べるが、シカゴにはリベリア料理をだす店はない。そんなに極端には味も違わないから大丈夫だろうと先日連れていったケイジャン・フードの店では、魚のフライもライスも、一口舐めただけであとはまったく手をつけなかった。ぶどうなどの食べ慣れない果物もだめだし、りんごさえもグリーンアップルのほうが甘いといって、赤いりんごは食べないという徹底さ。。。

そんないきさつもあったので、まず日本食など無理だと思い、その旨を友人に忠告したあと、安全策にファトゥにリベリアの魚スープをつくってもらい持参することにした。

そして当日。。。

友人宅では、さすがに刺身は駄目だったようだが、ファトゥはかぼちゃの煮物や中華そばなどはなんとかクリアしていたようだ。ムスはほとんど日本食には手をつけなかったが、ほとんど友人の子供たちと走り回って遊んでいたので、食事はそれほどの関心ごとではなかったよう。心配していたほどの結果にはならなかったので、少しほっとする。

彼女たちには、僕らが普通に考えるように、「せっかく外国にきたのだからその土地の料理や、珍しいものを食べてみよう」という考え方自体が頭にないのかもしれない。生まれてから同じものをずっと食べ続けてきて、料理とか食べ物といえばこういうものだという固定観念ができているので、仕方がないのだろうか。単なる食べ物の好き嫌いとはまた違った次元の問題なんだろうな。

アメリカではジャンク・フードが氾濫しているから、それが幸か不幸かの判断はつけ難いが、とりあえずはいろいろな食文化を体験できる選択肢のある僕らは恵まれているのだと、とあらためて考えさせられた。




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13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
村意識 (bluesnow)
2006-06-05 21:26:40
ファトウさんたちを悪く言うつもりはぜんぜんないので、どうか誤解なきよう。自分の知らない食に対してどういう態度をとるか、は、その人の世界観と密接な相関関係があると思います。私が今住んでいる小さな田舎町の白人たちも、日本食になど見向きもしません。刺身なんて原始人の食べ方と思っているでしょう。何やらわけのわからないものでも、思いきって飲みこむぐらいの気持ちで口にしようとするのは、世界に向けてかなりの開放感をもっている人でしょう。どっちのタイプの人が世界に多いか。。たぶん自分の”村意識”にこだわり、そこから出ない人のほうが多いと思いますよ。選択肢が多いことを”恵まれている”と考える人は世界の少数派じゃないかな。で、怖いのはそのことを忘れちゃうことですね。(自戒をこめてます)
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Unknown (がんこもの)
2006-06-05 23:42:15
リベリアの人も、コートジボワールの人も新しい味にチャレンジしないですよね。

特に料理に砂糖が入ることが信じられない感じでした。

私は「がんこもの」なんて思っていましたが、我が家の子どもたちも2年間のコートジボワール生活の間、ほとんど現地食を食べませんでしたから、やはりがんこものです。



>、「せっかく外国にきたのだからその土地の料理や、珍しいものを食べてみよう」



これは、結構大人の考えかもしれないです。(私も同じことを考えていましたから)

子どもは逆にチャレンジしたくないのかもしれないですね。



でも、同じ時期コートジボワールにいたほかの日本人家庭の子どもはどんどんチャレンジしていたから、やはり個性かしら??
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訂正!!!! (じょじょ)
2006-06-05 23:43:41
名前のところにタイトルを入れてしまいました。

私は「小心な、がんこもの」だけど、名前まで「がんこもの」にはしたくないです。。。
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ムス、ファトゥ、ありがとう! (マカロニ)
2006-06-06 01:12:15
遊びに来ていただきありがとうございました!

ファトゥの作ったペッパー(フィッシュ)スープもおいしかったですね。みんなで”完食~”でした。

ムスも我が家の男どもを従えて楽しそうに遊んでましたね~。「結構アネゴ肌ね」とか思いました。 でも片方の手ともう片方の腕で何の違和感もなくウチの2才前の娘に靴をはかせてあげている姿を見て、本当にやさしくていいお姉ちゃんだな、と思いました。(4才の弟がいるそうですね。)



それから、アメリカのメジャーのトークショーに出演したり、彼女をとりまく状況が大きく変わってきているようですね。「何が(どういうふうに、どこで暮らすのが)彼女にとって一番いいのか、というのは本当に難しい問題ですが、今の純朴で優しい心をずっと持ち続けて欲しいな、と思いました。
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たべもの (ゆうこさん)
2006-06-06 13:10:36
「食べる」ということは、「生きる」ということに直結しているのですが、平和で恵まれた私たちはついそこに「楽しみ」「遊び」を求める余裕があるのではないでしょうか。生きることが厳しい人たちが「食べる」ことに慎重なのは当然で、でも本当はそのほうが真理なような気がします。
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Unknown (星河)
2006-06-06 13:13:28
>いろいろな食文化を体験できる選択肢のある僕らは恵まれているのだ



「一番忘れてはいけない事」なのでしょうね。
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いつもの味 (マカロニ)
2006-06-07 00:19:33
確かに世界中の多くの人々の「食べる」という行為は生命維持のための栄養補給という目的をはるかに超え、「楽しみ」「遊び」になっていますよね。「いろんな食べ物にトライしてみよう」というのはどの国であってもその人の好奇心に寄るものが多く、(例えば日本であっても、目新しい野菜、果物などを見つけた時、とりあえず買ってみようという人と手に取らない人といますよね。)一方、「おいしいものが食べたい」というのは万人に共通していることではないかと思います。そこで「おいしいもの」とは何かとなると「食べ慣れているいつもの味」と答える人も少なからずいるのではないでしょうか?

ファトゥのスープは魚、野菜、スパイス、いろいろ入ってムスにとって「一番おいしいお母さんのいつもの味」だったと思います。

余談ですが、高橋さんから事前に「日本食は100%ムリ」と聞いていたので、(ファトゥは自分で作って持って来るとのこと)開き直ってコテコテの日本の料理ばかりを用意していたら、なんのなんのファトゥは次から次へとトライしてくれるではありませんか~!もっとも、高橋さん他友人たちから「君は今日は大事なゲスト、クイーンなんだ。だからさしみも食べないと!」と、よくわからない論理で(こんなクイーンいやだ(笑))料理を勧められていましたが...手をつけてもらうことを期待していなかった私はとてもうれしかったです。





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新奇恐怖 (小俵小太郎)
2006-06-08 07:07:10
小俵小太郎と申します。初めて書き込みをします。在米20年の団塊世代です。

友人の紹介により高橋さんのブログを知りました。



さて食べ物の嗜好についてですが、心理学には素人ではありますが、心理学でいう「新奇恐怖」と言われる分野ではないかと思います。やさしい解説はこちらです。



http://kids21.gr.jp/syokuikutokusyu/tokushukiji0601_1.htm



味覚の嗜好はだいたい6才位までに形成されるとされています。日本人は大人になるまでに比較的広い分野の食物摂取をするので、嗜好の幅も広くなると考えていいのではないでしょうか。それでもやはり子供の頃に身に付いた食習慣はなかなか変わらないものだと思います。
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寛容育成教育 (bluesnow)
2006-06-08 22:32:09
子供のときに身につく人間の味覚がそれほどまで堅固なものだからこそ、多民族文化尊重教育の一番の効果的な方法は食をともにするということでしょうね。要するに、おいしいかおいしくないか、好きか嫌いかのレベルではなく、相手が自分とは違うという現実に対する「寛容」を養うというわけで。。知らない国の、わけのわからない食べ物を目をつぶって飲みこんででも口に入れようとするのは、恐怖克服以外のなにものでもないって感じです。(笑)
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マクドナルドの偉大さ (bluesnow)
2006-06-08 22:57:01
すみません、何度も。(今ちょうどこの問題を考えてるもので)で、人間の味覚と恐怖感の関係を考えると、マクドナルドのすごいところは、ビジネスの当初から「どこへ行ってもいつも同じ味を出す」をモットーにして、生産ラインを考えたことですね。いつも同じ味だから、客は「安心」できるー乳幼児に離乳食のようにしてマクドナルドを食べさせているのをアメリカではよく見かけますが、マクドナルドで子供の味覚を作ってしまうと、もう一生逃げられないというわけです。すごい!!!(笑)マクドナルドの世界戦略というのもあって、「世界中同じ」を考えている部分もあるでしょうけど、確かマレーシアで食べたマクドナルドは、六角だか八角だか、中国料理に使うスパイスが効きすぎて食べられなかったのを思いだしました。新奇恐怖を克服しなくてもいいのが、しょせんファーストフードたるゆえんかもしれません。(笑)
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