Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
English: http://www.kunitakahashi.com/blog

ネパール

2010-01-26 23:57:44 | アジア
一週間ほど前からニューヨーク・タイムスの仕事でネパールに来ている。

撮影時間が長いうえに、やたら停電が多く(首都のカトマンズでは1日10時間くらい停電しているようだ)ネット環境が悪いのでほとんどプログなど更新する暇がない。メールのチェックも最低限しかできないのだが、今日アメリカの友人からすでに写真が掲載されたと連絡をもらった。

http://www.nytimes.com/2010/01/26/world/asia/26nepal.html?ref=world

タイムスからのアサインメントは4日ほどで終わったので、その後自分で他の取材をするために10日間ほど滞在を延ばしている。ネパールは初めてだしなかなか面白い町だなとは思うが、宗教や生活様式など、かなりインドと似た部分があるので、期待していたよりはやや新鮮味には欠けていたかな。

また近いうち取材内容について報告できる機会があると思う。

クンブ・メラ

2010-01-17 23:10:53 | アジア
ヒンドゥー教の大行事であるクンブ・メラの撮影のために、インド北部にあるハリドゥワという町で6日間を過ごしたあと、昨夜ムンバイに戻ってきた。

滞在中、ハイチが大地震で大変なことになってしまったので行きたいのはやまやまだったが、さすがにインドからでは遠すぎるし金がかかりすぎる。米国から既にフォトグラファー達がごっそり現地入りしているし、今回は彼らに場を譲るしかないなとあきらめ、ハリドゥワでの撮影を続けてきた。

クンブ・メラとは、12年に一度、インドの四つの聖地もちまわりでおこなわれるインドゥー教の祭典で、この時期に聖なるガンジス川で沐浴をすればこれまで犯した罪を洗い清められると信じられており、3ヶ月の期間中に百万から千万の単位の人々が訪れる世界でも最大規模の宗教行事だ。

予想が外れたのは、サドゥーたちの沐浴がみられなかったこと。サドゥーというのは、聖人というか仙人というか、はたまた世捨て人とでもいうか、家ももたず真理をもとめ放浪を続ける、インドの旅行記などでは必ずといっていいほど写真にでてくる、あのとぐろを巻いたような長髪と長いヒゲの男達のことだ。

今回はクンブの沐浴初め、といったもので一般大衆が対象。サドゥーの姿は数えるほどしか見当たらなかった。彼らが大挙してガンジスに沐浴するのは2月12日のロイヤル・バスということだ。きちんと下調べせずに、友人の話しを鵜呑みにしていったのがあさはかだったが、現地に相当数来ていたカメラマンたちと話をしてみると、実はみな同じ誤解をしていたのだった。

いずれにしてもクンブ・メラを初めて見る僕にとっては新鮮な体験だったし、写真もかなり気に入ったものが撮れたので、いい経験になった。もし他の仕事が入っていなければ、サドゥー達の撮影のために来月また戻ろうと思っている。この土地やガートの撮影の勝手も心得たので、次回戻ってくるときはもう余計な気をまわさずに済む。

しかしこういう行事を見るたびに思うのは、インドでは現在でも宗教が日常に密着しているということだ。日本では宗教がらみで多くの人々が足を運ぶのはせいぜい初詣くらいになってしまったが、こちらでは毎月のようにどこかの州で祭りや行事がおこなわれている。ムンバイなどの都市では高層ビルが次々と建てられ生活も物質主義的になりつつあるが、反面こういった精神面での伝統も固持されている、懐の深い国なのだ。

世界高いタワー

2010-01-05 23:20:17 | 中東
大晦日にいきなり古巣のトリビューンから仕事がはいり、急遽ドバイへ行ってきた。5日間の撮影をこなし、ムンバイへの帰路、空港でこれを書いている。

メインの撮影対象は、高さ828メートルを誇る世界一の高層ビル、ブルジュ・ハリファ(ハリファ・タワー)。昨夜おこなわれた派手な完成式典にあわせて、数日前からこのタワーや他の建築物、ドバイの日常などを撮影してきた。

世界一の高さとはいえ、なぜ建物ごときにわざわざ費用をかけてインドから僕を派遣するのかはじめは疑問に思ったのだが、実はこのブルジュ・ハリファはシカゴの建築家エイドリアン・スミスが設計したものだったのだ。スミスは高さ世界トップ10のビルのうち3つを設計しており、シカゴとの関わりが深いということで、トリビューンも建築に詳しい記者をドバイまでおくることになったらしい。

建築物の撮影とはいえ、突然の大晦日の現地入りだったのでかなり慌ただしかった。ムンバイから搭乗予定だったエア・インディアが大幅に遅れ、年明けの様子を撮り逃すのを恐れた僕は空港で急遽他のエアラインのチケットを購入するはめに。なんとか日暮れ直後にドバイに到着することができたが、その晩は午前1時まで撮影し、以来連日あちこち駆け回っていた。

実はこのタワー、昨夜の完成式典までは、ブルジュ・ドバイ、とよばれていたのだが、式典中に首長のシェイク・モハメッドが突然このタワーの名称変更を発表。アラブ連邦首長国連邦(UAE)の大統領であり、首長国アブダビの首相も兼任するハリファにちなんだ名前になった。この名称変更の発表は多くの人を驚かせたが、昨年11月のドバイ・ショックの際、アブダビはドバイに100億ドルを支援し救済したといういきさつがあるので、実はこの際にタワーの名称について裏取引があったのでは、と勘ぐる人も少なくない。

僕が前回ドバイに立ち寄ったのは3年前だったので、そのときにはこのタワーは着工されたばかりだったし、付近の巨大ショッピングーセンターなども完成していなかった。新たに開通したメトロ市電なども含め、金融危機とはいいながらも、久しぶりに訪れたこの町の目覚ましい発展ぶりには驚かされた。

それはそうと、まあ良くあることだが、今回も急な仕事依頼だったおかげで2日から行く予定だったラジャスタンへの旅行をキャンセルするはめに。。。まあ休暇で金を使うよりは仕事して蓄えたほうがいいんだけどね。