Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
English: http://www.kunitakahashi.com/blog

アフガニスタン初のボーリング場

2012-05-24 18:07:26 | アジア
カブルに滞在中、地元のカメラマンの友人からアフガニスタン初のボーリング場ができたとの話をきいたので覗きにいってきた。

アフガニスタンとボーリング、という二つがなんだか自分の中でしっくりと結びつかなかったのだが、これがなかなかの人気。「ストライカーズ」という名のこのボーリング場の室内は青や緑の派手なイルミネーションに照らされ、レーンでは子供からじいさんまでカラフルなボールを投げ一喜一憂している。ほとんどの客たちはボーリングなど初めての経験のようで、フォームもなんだかぎこちなく、それがまたコミカルでもあるのだが、そんなことはおかまいなし。みな初めてのゲームを楽しんでいる。

これだけでも面白い話だが、さらに興味深いことに、この施設のオーナーが若いアフガン女性だということだ。28歳のミーナさんは家族と共に避難民としてパキスタン、そしてカナダで育ったが、故郷のアフガニスタンに戻り昨年秋にこのボーリング場をひらいた。

彼女のようなチャレンジ精神に溢れる女性の存在は頼もしい。保守的で閉鎖的なこの国で、女性の地位向上を目指したり、ビジネスに興味をもっている女性たちのいいお手本になることだろう。こんな女性が増えていく事によって、アフガニスタンの将来もまた少しずつ変わっていくのだと思う。

(ニューヨークタイムスの掲載記事 http://www.nytimes.com/2012/05/15/world/asia/bowling-alleys-12-lanes-lead-to-another-afghanistan.html?_r=1&pagewanted=all )

(もっと写真を見る http://www.kunitakahashi.com/blog/2012/05/24/afghan-bowling/ )

アフガニスタンの日常

2012-05-20 08:59:00 | アジア
3週間のアフガニスタン滞在を終えて昨夜ムンバイに戻ってきた。

昨年8月のラマダン中と違い、初夏の気候は心地よかったが、何より腹をへらしたドライバーや通訳たちと仕事をせずにすんだのは幸いだった。ラマダン中はみは日の出から日没まで飲まず食わずの絶食なので、地元の人間たちと仕事をするのに結構な気を使わなくてはならなくなるからだ。

ここにアップしたのは、仕事の合間に撮っていたストリート・ショット。深刻な問題などを扱ったものではなく、みな日常生活の断片だ。

今回も多くの人たちとの出会いがあった。これきりの出会いかもしれないし、また彼らと時間を共有することもあるかもしれない。いずれにしても、あまり長い月日の経つ前に、またアフガニスタンに戻って来る機会があるといいなと思う。この国の美しい山々と、フレンドリーな人々が僕は好きだ。

(もっと写真を見る http://www.kunitakahashi.com/blog/2012/05/20/daily-life-in-afghanistan/ )

カブルの新築スイミング・プール

2012-05-17 12:22:02 | アジア
昨日カブールの室内スイミングプールを訪ねてみた。

このプールは1週間前にオープンしたばかり。ジャクジやスチームサウナ、カフェテリアも設置され、オーナーによれば、アフガニスタン国内では最大のプール施設だという。新築だけあって、設備もきれいだ。

泳いでいた若者たちはほとんどが学生だったが、みな熱心にトレーナーの指導を受けていた。なぜ水泳?と尋ねると、なかなか面白い答えが返ってきた。

「他のスポーツより清潔だからね」

「水泳するとかっこいい体型になるし」

まあその動機はどうあれ、動乱のこの国で、若者たちがいろんなスポーツを経験できるのは素晴らしいことだと思う。

残念なのは、少なくとも現段階ではプールは男性専用なことだ。トレーナーがなんだか申し訳なさそうにこう答えた。

「この国の状況や習慣を踏まえると、男女共用のプールはまだまだ難しいんです」

(もっと写真を見る http://www.kunitakahashi.com/blog/2012/05/17/new-swimming-pool-in-kabul/ )

カブル自爆テロ

2012-05-03 11:49:22 | アジア
昨日早朝、またカブルで自爆テロがおこった。ターゲットはグリーン・ビレッジとよばれる敷地で、コントラクターや政府、NGO関係など多くの外国人が利用していたゲストハウス施設だ。爆発の巻き添えをくった市民や子供など少なくとも8人が死亡、18人以上が怪我をしたと報じられた。

記者と数人の米国の役人たちと共に南部に飛ぶことになっていた僕は、ちょうどテロが起こった時に米国大使館で待機中だったが、事件直後に大使館のゲートはすべて閉められ、その後3時間以上外にでることができなくなった。ようやく解放されて爆破現場に着いた時にはすでに、テロリストたちはみな自爆したか撃たれて殺され、事態は沈静したあとだった。

一昨日突然アフガニスタンを訪れ、カルザイ大統領とあらたな長期戦略協定に署名したオバマ大統領だが、これに怒ったタリバンが、爆破テロはオバマに対するメッセージであり、外国の占領勢力や腐敗した役人たちに対し、さらにあらたなテロ攻撃をはじめるとの声明を発表した。

アフガニスタンを訪れるたび、いつもこんなナンセンスなバイオレンスに直面せざるを得なくなる。( http://www.kunitakahashi.com/blog/2011/08/21/never-ending-tragedy-suicide-attack-in-afghanistan/ ) 多くの場合、実際に犠牲になるのはタリバンが狙う外国人よりも、たまたま現場に居合わせた罪のない一般市民だ。タリバンは、外国占領軍を追い出すためというが、果たしてNATO軍や米軍が撤退をする2014年のあとに、彼らはテロ攻撃をきっぱりと止めるのだろうか?イラクの抵抗勢力も同じ事を言っていたが、米軍が撤退した現在も、バクダッドでの爆弾テロは起こり続けている。

この不毛なバイオレンスが、美しいこの国で文字通り「終わりなき戦い」にならないことを、ただ願うばかりだ。

(もっと写真を見る http://www.kunitakahashi.com/blog/2012/05/03/bombing-in-kabul-again/ )