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フォトグラファー高橋邦典
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「国際ヨガの日」の隠された思惑

2015-06-19 21:44:38 | アジア
今週日曜日の6月21日は「国際ヨガの日」。インドのモディ首相が国連に働きかけ、今年制定されたばかりの日だから、知っている人はまだ多くはないかもしれない。それでも報道によれば177カ国がなんらかのかたちでこの日を祝うといわれているので、なかなか注目は集めているのだろう。言いだしっぺであり、ヨガの本家であるインドでは、さすがに政府をあげての熱の入れようで、この日の朝におこなわれる大規模な集団ヨガ・セッションには3万5千人が集まると予想されている。僕は前日より国外にでてしまうので撮影できないのが残念だ。

モディ首相は、この「国際ヨガの日」を起爆剤として、若者たちを中心としたヨガの普及を熱心に推し進めようとしている。政府内では学校での必修科目としてヨガをとりいれようという動きもあるほどだ。しかし、こんなヨガ・フィーバーの熱が上がるにつれ、政治的議論が起こり始めた。単に国民の健康向上という面以外に、実はモディ政権には隠された真の思惑があるんじゃないか?

西洋の国々や日本では、ヨガは一般的に健康法のひとつとして受け入れられおり、そこに宗教色はほとんどない。ところがインド人にとっては、ヨガはヒンドゥー教のサンスクリットと切り離せないものであるから、どうしてもヒンドゥー教のイメージがつきまとう。そのため、ヨガの普及を政府が促進することに対してイスラム教徒たちが反発しだしたのだ。

もともとモディ首相にはグジャラート州知事時代から「ヒンドゥー教至上主義者」というレッテルがはられていた。2002年の同州内の暴動中、イスラム教徒への惨殺を放置し、何の手立てもうたなかったという理由からだ。しかし首相になってからは、選挙で多大な協力をうけたRSS(ヒンドゥー至上主義の民族義勇団)とも注意深く距離を置き、極右のイメージを払拭しようと努めていた感があった。イスラム教徒たちがモディ政府の動きには敏感になるのはそんな理由がある。

モディ首相がついに本性を表わしてきたのか、それともイスラム教徒たちの単なる考えすぎか?答えがでるのには数年は要するだろう。

(この記事はヤフージャパン・ニュースにも掲載しています)

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