先月のリベリア滞在中に、思いがけなかった嬉しい再会がひとつあった。
2003年の内戦時、モンロビアの病院でたまたま撮影したジョセフにまた会うことができたのだ。
当時、彼は砲弾の破片で負傷し、病院で右腕の切断手術を受けたばかりだった。肩から包帯を巻かれ、どこかうつろな眼差しでベッドに座る彼にレンズを向けて、僕は数枚シャッターをきったのだった。
実はその翌年、子供たちを探すために再びリベリアを訪れたとき、モモやムスと同様にジョセフも見つけ出したのだが、それ以来彼を訪ねていなかったのだ。
それが今回、アンピュティー(手足を切断された人)のサッカーチームの練習を取材中に、偶然ユニフォーム姿のジョセフに再会することになった。幼さの残る顔はそのままだったが、チームでゴールキーパーを務める彼は見違えるほど逞しくなっていた。さらに、今年3月におこなわれたアフリカン・カップでベスト・ゴールキーパー賞を受賞するほどの活躍ぶりだ。
「あれからどうしてる?」
そう訊ねた僕に、リベリア人が良く使う単語を使って、彼はぽつりと答えた。
「Small, small(まあまあ)。。。かな」
話はそれるが、リベリア人はなんでもSmall small、だ。直訳では「小さい」という、大きさを表す尺度の意味の「スモール」だけれど、この国では量とか程度、適当な具合、もみな「スモール」の一言で片付けてしまう。「ご飯食べた?」「スモール、スモール」、「調子どう?」「スモール、スモール」、路上の物乞いもみな「俺に何かスモールください。。。」といった具合なのだ。
ベスト・ゴールキーパーの栄冠を得たとはいえ、それがジョセフの私生活に反映するわけでもない。繁華街の路上で、彼は違法コピーされた海賊版の映画DVDを売りながら細々と暮らしている。食べるので精一杯だから学校にいく余裕もない、という。
部屋を提供してくれる叔母がいるのでジョセフはまだ恵まれているほうだが、チームの選手の多くはその日暮らしのホームレスだ。スーパーマーケットや路上で物乞いをしながらなんとか食いつないでいる。もともと失業率80パーセントをこえるこの国で、片手片足といったハンディキャップをもつ人間たちが仕事にありつくのは至難の業だ。
「サッカーやってるときが一番楽しいよ。本当はプロになりたいけど、リベリアじゃ無理かな。。。」
ジョセフは言った。
経済立て直しに苦戦している政府にとって、ハンディキャップを持つ人のための福祉向上や、スポーツ振興まではなかなか手が回らないのが現状だ。残念ながら、民間スポンサーでもつかない限り、チームのプロ化はおろか、ジョセフを初めとする選手たちがまともな生活をおくれるようになるまでにはまだまだ時間がかかるだろう。
2003年の内戦時、モンロビアの病院でたまたま撮影したジョセフにまた会うことができたのだ。
当時、彼は砲弾の破片で負傷し、病院で右腕の切断手術を受けたばかりだった。肩から包帯を巻かれ、どこかうつろな眼差しでベッドに座る彼にレンズを向けて、僕は数枚シャッターをきったのだった。
実はその翌年、子供たちを探すために再びリベリアを訪れたとき、モモやムスと同様にジョセフも見つけ出したのだが、それ以来彼を訪ねていなかったのだ。
それが今回、アンピュティー(手足を切断された人)のサッカーチームの練習を取材中に、偶然ユニフォーム姿のジョセフに再会することになった。幼さの残る顔はそのままだったが、チームでゴールキーパーを務める彼は見違えるほど逞しくなっていた。さらに、今年3月におこなわれたアフリカン・カップでベスト・ゴールキーパー賞を受賞するほどの活躍ぶりだ。
「あれからどうしてる?」
そう訊ねた僕に、リベリア人が良く使う単語を使って、彼はぽつりと答えた。
「Small, small(まあまあ)。。。かな」
話はそれるが、リベリア人はなんでもSmall small、だ。直訳では「小さい」という、大きさを表す尺度の意味の「スモール」だけれど、この国では量とか程度、適当な具合、もみな「スモール」の一言で片付けてしまう。「ご飯食べた?」「スモール、スモール」、「調子どう?」「スモール、スモール」、路上の物乞いもみな「俺に何かスモールください。。。」といった具合なのだ。
ベスト・ゴールキーパーの栄冠を得たとはいえ、それがジョセフの私生活に反映するわけでもない。繁華街の路上で、彼は違法コピーされた海賊版の映画DVDを売りながら細々と暮らしている。食べるので精一杯だから学校にいく余裕もない、という。
部屋を提供してくれる叔母がいるのでジョセフはまだ恵まれているほうだが、チームの選手の多くはその日暮らしのホームレスだ。スーパーマーケットや路上で物乞いをしながらなんとか食いつないでいる。もともと失業率80パーセントをこえるこの国で、片手片足といったハンディキャップをもつ人間たちが仕事にありつくのは至難の業だ。
「サッカーやってるときが一番楽しいよ。本当はプロになりたいけど、リベリアじゃ無理かな。。。」
ジョセフは言った。
経済立て直しに苦戦している政府にとって、ハンディキャップを持つ人のための福祉向上や、スポーツ振興まではなかなか手が回らないのが現状だ。残念ながら、民間スポンサーでもつかない限り、チームのプロ化はおろか、ジョセフを初めとする選手たちがまともな生活をおくれるようになるまでにはまだまだ時間がかかるだろう。
相変わらず良い写真ですね。
「スモール」興味深い表現だ。
日本人流に表現すると程を知るてなところだろうか。
さて、ちょっと教えてください。
この写真はデジカメで撮ったものですか?
それとモードラ等で連写したものの1枚でしょうか?
さらにF値や使用レンズのmm、シャッタースピードなどの情報をいただければ参考になります。
いみし。
横浜でゴールキーパースクールを主宰しています。
「片腕のゴールキーパー」の写真を見て、とても感銘を受けました。
ハンデがあっても絶対ゴールを守るという、ボールへの視線。
ジョセフのあきらめない気持ち、楽しむ気持ちが写真から伝わってきました。
もし差し支えなければ、ホームページでこの写真を
紹介させていただいてもよろしいでしょうか?
いきなり勝手な申し出で大変失礼しますが、
ご検討よろしくお願いします。
この日本で
ジョセフのように純粋にサッカーを楽しめる環境を
作っていきたいと思いました。