先週、シカゴ郊外にある日本人学校で、中学生を相手に話をする機会をいただいた。
「平和学習」という授業に参加し、僕のこれまでのイラクでの経験を写真をみせながら講演してきたのだが、そのときの生徒たちの感想文が今日郵送されてきた。
講演前は、生徒達の日常とあまりにかけ離れたイラクや戦争のことなど、興味を持って聞いて貰えるだろうかと疑念をもっていたのだが、それなりに真剣に受け止めていてくれたようで、感想文にはみな切実な思いが綴られていた。
彼らのほとんどが、「戦争のことなどこれまで考えたこともなかった」、「初めて戦争の怖さを知ることができた」と述べている。アメリカに住んでいるのに、と少し不思議に思うが、よく考えてみれば無理もない、米軍のイラク侵攻が始まったとき彼らはまだ7,8歳に過ぎなかったし、その多くは日本にいたはずだ。
そんななか、一風変わった興味深い文章があった。本人の了解がないのでこの生徒の名前は伏せておくが、彼の言葉をいくつか引用してみたい。
「。。。僕みたいな人はゲームくらいでしか戦争を知れないからです。ゲームでは目の前の敵を倒していけばクリアとなりますが、現実は敵でもない民間人の命さえも奪うことになります。無論ゲームの中では民間人なんて登場しませんので、戦争に対する見方は、実際の体験者と比べれば全く違うものになると思います」
「戦争とは仕方のないことだと思います。仕方ないの一言で流せることではないということはわかっています。しかし、実際あちこちに戦争の花を咲かせる種は落ちていると思います。その種たちだって既に実をつけて、あと一歩の所まで来てるかもしれません」
「日本は過去に太平洋戦争で負けて、誰もが平和を望んだはずなのに60年ちょっと時が流れただけで、再び戦争をしようとしています。つまり、平和がわからなくなってきているのではないかと思います。平和とはどういうことなのか?と聞かれたら、おそらく日本人は8割くらいの人が答えられないと思います。それが10割に達してしまったときに戦争が始まってしまうのではないかと思います」
細かいことは抜きにして、現在僕らをとりまく現代の状況をうまく言い表しているなあ、と感心させられた。
写真展や本の感想を送ってもらう度に、子供たちの感受性、というか、彼らなりのものの見方にははっとさせられるものがある。そんな彼らからの反応に接するたびに、こちらももっと頑張って伝えなくては。。。などと勇気づけられるから、まあ僕も単純なものだ。
記憶というものは風化してしまうもの。今回の僕の講演で、死体や傷ついた人の写真をみてショックを受けたことや、戦争について考えてみたことも、生徒たちはすぐに忘れてしまうだろう。
しかし、何年か先の将来、彼らが戦争や平和について自己の意思表示をすべく時がきたとき、僕の見せた写真や話をふと思い出して堂々と戦争反対の意見を述べてくれるとしたら、講演の甲斐もあるものだ。。。と思っている。
「平和学習」という授業に参加し、僕のこれまでのイラクでの経験を写真をみせながら講演してきたのだが、そのときの生徒たちの感想文が今日郵送されてきた。
講演前は、生徒達の日常とあまりにかけ離れたイラクや戦争のことなど、興味を持って聞いて貰えるだろうかと疑念をもっていたのだが、それなりに真剣に受け止めていてくれたようで、感想文にはみな切実な思いが綴られていた。
彼らのほとんどが、「戦争のことなどこれまで考えたこともなかった」、「初めて戦争の怖さを知ることができた」と述べている。アメリカに住んでいるのに、と少し不思議に思うが、よく考えてみれば無理もない、米軍のイラク侵攻が始まったとき彼らはまだ7,8歳に過ぎなかったし、その多くは日本にいたはずだ。
そんななか、一風変わった興味深い文章があった。本人の了解がないのでこの生徒の名前は伏せておくが、彼の言葉をいくつか引用してみたい。
「。。。僕みたいな人はゲームくらいでしか戦争を知れないからです。ゲームでは目の前の敵を倒していけばクリアとなりますが、現実は敵でもない民間人の命さえも奪うことになります。無論ゲームの中では民間人なんて登場しませんので、戦争に対する見方は、実際の体験者と比べれば全く違うものになると思います」
「戦争とは仕方のないことだと思います。仕方ないの一言で流せることではないということはわかっています。しかし、実際あちこちに戦争の花を咲かせる種は落ちていると思います。その種たちだって既に実をつけて、あと一歩の所まで来てるかもしれません」
「日本は過去に太平洋戦争で負けて、誰もが平和を望んだはずなのに60年ちょっと時が流れただけで、再び戦争をしようとしています。つまり、平和がわからなくなってきているのではないかと思います。平和とはどういうことなのか?と聞かれたら、おそらく日本人は8割くらいの人が答えられないと思います。それが10割に達してしまったときに戦争が始まってしまうのではないかと思います」
細かいことは抜きにして、現在僕らをとりまく現代の状況をうまく言い表しているなあ、と感心させられた。
写真展や本の感想を送ってもらう度に、子供たちの感受性、というか、彼らなりのものの見方にははっとさせられるものがある。そんな彼らからの反応に接するたびに、こちらももっと頑張って伝えなくては。。。などと勇気づけられるから、まあ僕も単純なものだ。
記憶というものは風化してしまうもの。今回の僕の講演で、死体や傷ついた人の写真をみてショックを受けたことや、戦争について考えてみたことも、生徒たちはすぐに忘れてしまうだろう。
しかし、何年か先の将来、彼らが戦争や平和について自己の意思表示をすべく時がきたとき、僕の見せた写真や話をふと思い出して堂々と戦争反対の意見を述べてくれるとしたら、講演の甲斐もあるものだ。。。と思っている。