Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
English: http://www.kunitakahashi.com/blog

ゴミの山に埋もれて

2012-10-29 16:38:52 | アジア
2週間程前、ゴミ問題の撮影のため、 南部のバンガロールに行く機会があった。

インド、特にムンバイのような大都市では、路上に放置されたゴミの山などはありきたりの光景で、歩道や川の中、海辺、駐車場に遊び場…どこにいっても散乱したゴミから逃げることはできない。それに納得する訳ではないけれど、ゴミのある景色にはすっかり慣れてしまって、悲しいかな無意識のうちに、今ではほとんど気にかけなくなってしまった。

そんなときに、この仕事はゴミの問題にまた眼を向けるいいきっかけになった。

世界銀行は数ヶ月前、2025年までに世界のゴミ問題が危機的状態になるという報告を発表したが(実際に何をもって「危機的状態」というのかはわからないが)、見渡す限りのゴミの山となった投棄場や、町中至るところに放置された未回収のゴミのなかに身を置いてみて、2025年を待つまでもなく、もうすでに世界は危機的状態にあるんじゃないかと切実に感じることになった。

インドで一日に排出されるゴミの量はおよそ10万トン。これはオリンピック用の競泳プールの40個分だ。ともに12億以上という大量の人口を抱える中国とインドが、ゴミ排出量において世界1、2位を占めているが、勿論両国だけが責められるべき問題ではない。ゴミは人類の問題、いや、地球の問題なのだ。

地球上に生きる動物のうち、人間だけがゴミをだし続ける。ここでどうすべきかなどという説教を垂れるつもりは毛頭ないが、一人一人が責任ある行動というものを理解していることを願うばかりだ。このままの状態を続けていけば、結局ゴミの洪水に溺れ死ぬのは僕ら自身なのだから。

(もっと写真をみる http://www.kunitakahashi.com/blog/2012/10/29/garbage-crisis-in-india/ )

初めてのミャンマー(ビルマ)へ

2012-10-15 17:09:31 | アジア
先月、2週間ほどミャンマー(ビルマ)を訪れる機会があった。

この仕事がはいったとき、この国を20年近く撮り続けている友人が、 撮影の苦労をいつも語っていたことを思い出した。軍事政権時代には、路上に数知れない程の兵士、私服警官、密告者がひしめいていたのだ。

昨年、50年近く続いた軍事政権が昨年終焉を迎え、総選挙が開かれてミャンマーは民主化の道を歩むことになったが、これと同時に市民の生活は大きく変わりつつある。今回この国を初めて訪れる僕には、以前の状況と比較することはできないのだが、それでも予想していたより遥かに自由に写真が撮れたのは驚きだった。

市場、駅、バス停、映画館…どこへ行っても、文句を言われたり制止されることなく撮ることができた。会釈すれば笑顔が返ってくるという人の好さもタイやカンボジアと似たような感じだが、ミャンマーは国が開かれたばかりで観光客も少ないので、まだ外国人ずれしていない無垢さももっているようだ。

首都ヤンゴンでは、町が速いスピードで変化しているのを体感できる。古い建物はどんどん建て替えられ、インフラ関係の工事もあちこちでおこなわれている。西洋人の観光客グループも結構みかけたが 、外国からのビジネスや観光増加を受け、ホテルの宿泊代は昨年から2―3倍に暴騰したという。

この先数年ミャンマーの経済が伸びていくのは間違いないだろう。ただ、その利益を国民みなが享受できるようになるかどうかは別問題だ。都市部での階級格差に加え、国内には130以上の民族が存在している。国をひとつにまとめるのは新政府にとって大きなチャレンジになるはずだ。

ミャンマーの人々を好きになったので、また近いうち訪れることができればいいなと思う。そのときは、さらに多くのハッピーな面々と出会えることを願いたい。

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