Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
English: http://www.kunitakahashi.com/blog

カメラマンに対するカイロの人々の心変わり

2011-02-15 15:45:34 | アフリカ
昨日の朝、タハリール広場に残りデモを続けていた100人程の人々が広場を去った。ムバラク大統領辞任後も、より具体的な政権改革を求めていた人たちだ。

いまだに人々が集まり祝ったり、散発的なデモの類いはおこなわれているが、広場は徐々に平静をとり戻しつつある。

際立った変化は、僕ら外国人カメラマン達に対する人々の態度だ。

どういうわけかここ数日、写真に対して人々がやけに神経質になってきており、撮影の邪魔をする輩が増えてきた。昨日も、テレビカメラマンが広場の慰霊碑を撮っているだけで兵士に襲われ、別のカメラマンは道路の再塗装をしていたボランティア・ワーカーを撮っていたら一団の男たちに取り囲まれたという。僕自身も広場でおこなわれていた警察官のデモを撮影中、10人くらいに囲まれ、蹴飛ばされてカメラを強引に奪われそうになった。なんとかメモリーカードを渡しただけで助かったが、揉み合っているうちにレンズが壊れ、腕時計も盗られてしまった。ほとんどニュースの価値のないイベントを撮っていてこのざまだから、全く割りにあわない。

なぜこれほど人々が写真を嫌がるのか定かではないが、いずれにしても、この現象も一過性のものである事を願いたい。大半のエジプト人はいい人だし、この滞在中も彼らの親切に触れる機会は多かった。

数日後にインドに戻る予定だが、1年後あたりにこの町に戻って来たとき、人々がどんな風に迎えてくれるか興味深いところだ。願わくば、写真が自由に撮れるような空気につつまれていることを祈って。

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ムバラク辞任

2011-02-12 15:18:33 | アフリカ
まるでジェットコースターのようなアップダウンの2日間だった。

一昨日、国民やメディアの予想を裏切り辞任しないと断言したムバラク大統領。タハリール広場でデモを続けていた人々は勿論、歴史に残る瞬間に立ち会いたいと思っていた僕ら報道陣にとってもその期待を大きく裏切られた夜となった。

それから24時間もたたないうちに、大統領は突然の辞任を発表した。

飛び上がる人、踊りだす人、ピースサインやエジプト国旗を振り上げた群集で埋まった広場は歓喜の渦に巻き込まれ、町をあげてのお祭りさわぎは一晩中続けられた。

ムバラク大統領の決定を変えたその裏にどんな政治的駆け引きがあったかは定かではない。それでも市井の人々によって引き起こされたエジプト革命は、大統領の辞任によってその最大の目的は果たすことができた。

これからはあらたな歴史のはじまりだ。解決すべき問題は多く、安易な道にはならないだろう。それでもエジプトの人々には、この市民革命の精神を忘れず、彼らの夢見る自由のある国家をつくりあげていってほしいと思う。

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エジプト市民革命

2011-02-09 13:45:31 | アフリカ
ムバラク大統領の辞任を求めて隆起した民衆たちの集会は、今日で16日目。会場となったタハリール広場にはいまでも数千人が寝泊まりしデモを続けている。

先週おこった反政府派とムバラク支持派の激しい衝突や、ムバラク支持者たちによる外国人ジャーナリストたちに対する武力攻撃もみる限り影を潜めたようだ。僕の友人であるカメラマン数人も殴られ機材を奪われたり、拘束されたりしたが、いまはそういう事件もなくデモは平和に続けられている。

ムンバイでの私用のために出遅れた僕がカイロに到着したのは武力衝突の翌日だった。報道カメラマンとしては、この衝突を逃したのはさすがに痛い。ニュースの取材ではいうまでもなく現場に出るタイミングが重要なのだ。

人々のエネルギーは満ちあふれているが、ある意味だらだらと同じようなデモが続くなか、写真も繰り返しが多くなってきた。そろそろ別な角度での取材を考える時期だろう。金曜日(イスラム教徒の祝日で、なにか決定がなされるときはこの日が多い)の様子をみてから今後の進退を決めるとするか。。。

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