Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
English: http://www.kunitakahashi.com/blog

エアコンの普及と地球温暖化

2012-07-18 18:57:45 | アジア
少し前に、エアコンの普及と地球温暖化についての興味深い記事のための撮影をする機会があった。

ニューヨーク・タイムスに掲載された詳しい記事はこちらになるが、要約はこんなところだ。

大気中のオゾン層の破壊を食い止めるため、1987年に採択されたモントリオール議定書で、エアコンのガス規制がとり決められた。各国のこの努力は成功したが、皮肉なことに、規制されたガスの代わりに使用されてきた別のガスが、オゾン層には影響を及ぼさないにも関わらず、地球温暖化の要因になっている、というのだ。それも二酸化炭素の2千倍以上の悪影響だという。しかも、オゾン層保護と温暖化防止の両方に有用で、現在使用されているガスの代わりになるものは、いまのところないらしい。

さらに、先進国と途上国の利害対立もこの問題に拍車をかけている。欧米諸国は中国やインドなどの途上国に現存のエアコン生産を停止して、温暖化を防ぐ次のモデルへの移行を促しているが、当然のことながら反発にあっている。なんといっても中国・インドではエアコンの販売率が年間20パーセントの伸びなのだ。経済効果は大きい。

確かにこの記事に述べられているような問題の解決は易しくないと思う。しかし、この超過密都市ムンバイに住むようになってからというもの、環境問題は僕の頭から離れることがなくなってしまった。路上に積まれる大量の生ゴミの山、ポリ袋やプラゴミと人糞にまみれた小川、汚臭に新型のウィルスとか伝染病…。町中にはまともな寝床ももたない人間がいたるところに溢れかえっている。こんな環境で生活していると、環境保護主義者でもない僕でさえ、地球の未来、そして将来の人間生活というのものに不安を憶えずにはいられなくなってくるのだ。

結局のところ、唯一の解決策は、地球上のひとりひとりの人間、そして、各国政府が責任を持って環境改善の政策を推進していくことしかないのだろう。言うのは安し、だが、現実はそんなに単純ではない。だけど、やらなくてはならないでしょう。もう後がないんだから。

(もっと写真をみる http://www.kunitakahashi.com/blog/2012/07/18/ac-sales-and-global-warming/ )